無意識日記
宇多田光 word:i_
 



結局、『Fantome』はビルボードジャパンでもオリコンでも4週連続1位を獲得という事で、めでたい。枚数は45万枚を突破、配信も合わせると既に80万ユニットを突破したらしく、いやはや、スケールの大きい話になってきたな。発売前の私は「SCv2を越えて50万枚行ってくれたら」と願望込みで宣っていたが、あっさり達成してしまいそうな勢いだ。売れている。

裏を返せば、今は他に対抗馬が居ない、いや高い密度で居ない、と言った方がいいのかな、独走を許す市場になっている訳で、寂しいっちゃ寂しい。しかし、いずれにせよいちリスナーにとっては記事の上を踊る数字の話に過ぎない。ひとりひとりが聞いて心に感じたエピソードの方がずっと重要である。

そういえば、まだ聴いていないが、LadyGAGAの新譜が母に捧げた一枚だとかいう記述を見かけたな。常々、彼女は若い頃の藤圭子に似た、頭の回転が早くてセンシティヴな人だと思っていたのだが、そんな彼女が『Fantome』とほぼ同じテーマでアルバム作りをしていたとしたら、大変興味深い。どんな作品になっている事やら。

一方、もう先週の話になるが、10月18日に90歳の誕生日を迎えたチャック・ベリーが38年ぶりのニューアルバムを出すそうな。私個人にとっては、彼がリアルタイムでアルバムをリリースするタイミングに生き合わせるのは生まれて初めての経験になる。音楽的には何も期待していない、と言おうか本当に今の彼が弾いて歌っているのならゴミみたいなサウンドが出来上がる気がするんだが、いいのだ。なんかそれだけで凄いもの。生きて新しい作品を生み出す。それ自体がどんなに有り難い事か。

縁起でもないが、チャックだってあと30年の間に死ぬかもしれない訳で、その時はやまのようにトリビュートアルバムが作られるだろうが、彼の曲はどれもおちゃらけていて浮き足立っていてもう本当にしょうがない曲ばかりだ。しかし、90歳以上まで生きてきているなら、いつだって彼を笑顔で送り出せる気がする。寧ろ、ニューアルバムのサウンドはゴミであって欲しい。「あぁ、もう全部出し尽くしているんだな」と未練を残さずに済むからね。そういう意味で、その来年発売されるニューアルバムが圧倒的に楽しみだ。あぁ偉大なるチャックベリー。皆に「まだ生きてたの!?」と呆れられるまで長生きして欲しい。

キャリアに、人生に悔いを残さない為には長生きするのがいちばんだ。それがかなわないのなら、できるだけ作品に魂を封じて遺す。それでも不十分なら、生きて残った者たちが追悼盤を作って思いを昇華させる。そうやって音楽の連なりが生死を越えて魂達を癒やしていく。生きるも死ぬもない。ただ歌はいつだって再生されるのだ。その都度生まれ変わりながら。

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