Give Me A Reasonをこの「おきるおとな、ねむるこども」シリーズに嵌め込むのは些かこじつけに過ぎるだろうか。確かに、これをオーソドックスなラブソングとして聴けば、たとえ夜の歌だとはいえ眠る事とこどもであることを直接結び付ける強い理由は見当たらない。確かに、それでいいだろう。話はそこで終わる。
話を終わらせない方向で考えてみる。このblogの読者ならお馴染みであろう、宇多田ヒカルの歌詞を読み解く際の必殺の処方をここで適用する。歌詞の上で恋愛の相手(恋人でも、好きな人でも)だと我々が思い込んでいる"you、君、あなた"を「母」と読み換えて歌詞を吟味するのだ。
これさえ踏まえれば、あとは歌詞を読むだけで事足りる。
『Give me a reason to show you
いつか君に追いつきたい
(won't you) Tell me why I should try to
近づくほどに遠くなるみたいだ』
『Give me a reason to show you
振り返りながら来た道
(won't you) Tell me why I should try to
もう立ち止まることを恐れないよ』
今までと全然歌詞の見え方が変わったと思う。あとは次に嵐の女神を続けて聴けばよい。何も恐れる事はないだろう。
こう解釈すれば、Give Me A Reasonの場面設定が夜で、"こどもからの声"を伝えていることがわかってくる。みてみよう。
『Only Sixteen 今夜』
16歳の夜である。尾崎とはちょっと違う。いやそんな余計な事はいい。こどもでもおとなでもないお年頃、というあやふやな口火の切り方だ。
『守られるだけじゃなく 誰かを守りたい』
これも、母との関係性の中から成長し自立しようとする娘の気概が感じられる。なるほど16歳の夜である。まぁこの"母"は特殊で、16歳前後3年間は人生暗かったそうだが、多分笑い事では全くないんだろう。いやそれもまぁ今はいいか。
『一人だけの誓い ギュッと囁いて眠る』
これも相手が恋人とかだと意味のよくわからん1行だが、母と自分を省みての決意なりなんなりを囁いていると解釈すれば筋が通る。こどもとしての誓いを胸に抱いているのでこれから眠るのだ。今から誓いをカタチにしようというよりは、その思いをまず胸に刻み込む為にここから夢をみるのである。
『If I had you この夜もコワクないのに』
もしあなたがいたら夜が怖くない、なんていう相手が居るのならそれは母親、そして語り手はそのこどもだろう。コワクとは"子惑"であり、母が居れば子は心が惑う事もないという意味である。流石にこれはこじつけか。
そして最後。決定打。
『ほんとはワケなんて要らない
こどもみたいに声を上げて走ろう』
あれだけ理由をくれ理由をくれと歌い続けてきたのにワケなんて要らないときた。タイトル全否定だ。そして、こどもみたいに声を上げて走るのである。無垢への回帰。GBH的に言えばInnocenceと夢である。誓いを囁いて眠りにつき母を恋い慕い、夢の中でこどもに戻る。やはりこの歌もまた「おきるおとな、ねむるこども」シリーズに相応しい。
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