世界一周クルーズ (第53章) BY 芝原 稔
船内生活 食事
赤道の長さは約40,000Km、クルーズは約65,000Kmと地球の円周を1周半、時速30Kmそこそこで航海したことになる。太平洋を南へ、そしてインド洋を横断、地中海を西へ、大西洋を南へ、ブラジルからアラスカへ北上、そして太平洋を横断して日本へ。即ち、 地球を横、縦に横断と言う、今回のクルーズは、今思えば、長い長い航海であった。そして104日間と長い日々を、狭い空間で、どのような生活で楽しく過ごすか。先ずは食事である。先ず食事を取り上げるのは、と言う人も居るとは思うが、104日間、美味しく、栄養のバランスがあり、変化のある食事を、楽しく取れるかどうかはクルーズで最も大事な事である。クルーズの一日の食事は
- 和定食かフードバーの朝食
- 和・洋のメニューの昼食、写真(右上)はある日の和食
- フルコースディナー(写真下)のほか、和・洋のメニューの夕食
昼食・夕食には軽めの和食メニューもあり、クルーズの後半には案外軽食を頼む人も多いようだ。早起きの人には、マーフィンやパンケーキなどのアーリーモーニングも用意されているが、残念ながら私は一回も利用なし。休み前のひと時、麺類・おかゆ・おにぎり・サンドイッチ・果物などのミッドナイトビュッフェがある。ダンスの後などで、利用する人も案外多いが、私は3回だけ。今思うともっと食べておけばと後悔しきり。
すべてメインダイニングルーム(トップの写真)で、テーブルは6~10名の合い席。飲み物はアルコールなどを除き無料。ロイヤルの乗客はグランドサロン、負け惜しみではないが、如何に格調高く、洗練された静かな雰囲気でも、104日は耐え られるか?一度試された結果を教えていただきたい。その他オープンバー、ピアノサロンではティータイム以外でもコーヒー・ジュースなど無料で美女のサービスつき。上陸した時、コーヒーなどや外食を控え、オープンバーでということになる。金持ちにしては案外チャッカリしている。
毎日3食、乗客約360名、クルー210名、ヨーロッパ系クルー10名の3種類のメニューを考えるのは藤原料理長、料理人は日本人13名、外国人26名、合計39名(写真・右下)で賄っている。(写真・右) 食材は日本で積み込んだもの以外、生鮮食品はシンガポール・ドバイ・ピレウス・ナポリ・リスボン・ブエノスアイレス・バンクーバーなど8寄港地で積み込む。積み 込む様子は、7階オープンバーよりよく見える。無責任な暇人は、パイナップルだ、トマトだ、と見ている。例えばブエノスアイレスでは4トントラック2台、2トン2台。4階より積み込むのは料理人35名で4時間の重労働だ。細かい話だが、この日はパイナップル650個、バナナ200キロ、メロン600個、卵4500個だそうだ。毎日4階の倉庫より5名が必要な材料を調理場に運ぶ。握りずしは勿論手作業、キャベツの刻みは手作業、大根おろし以外は全て手作業だそうだ。そこいらのファミリーレストランとは違うようだ。しかもお客の平均年齢を考慮して、総カロリーは1,800~2,000に押さえ、塩分は控えめ、油はひまわり油など植物性のみ。因みに104日でお米はコシヒカリ10トン、卵5万個、とうふ4300パックなどなど。
昼食・洋食の和洋の利用割合は、洋食が45回、和食が143回、多国籍食が17回、案外和食党だ。和洋が選べる朝食でも圧倒的に和食が多かった。年齢もあるのかな? また売れ筋アルコールのランキングは、1位キリン一番絞り、2位アサヒスーパードライだそうだ。テーブルはウエイターの案内、我々は朝食で空いていれば、右舷の窓際、夕食は左舷の窓際、昼食は適当に選んでいた。思えば一回も同席しなかった人が相当いる。
航海中には写真のようなトロピカルデッキディナー・地中海デッキディナー・赤道祭でのデッキディナーがある。またスエズやパナマの運河では、運河を見て、適当な時間にバイキング形式で食事が出来る。夕食時、3日に1回程度か、誕生日・結婚記念日のお祝 いがある。(写真・右) 夕食時窓から見える落日の夕焼けは、言葉では言い尽くせないほど美しい。また寄港地が近づいた時、これから上陸する国に思いを馳せながら、アジア・ヨーロッパ・南米・北米などそれぞれ異なった山々・街並みを見ての食事(写真・左)は船旅でこそ味わえる醍醐味の一つである。時々、鯨だ、ドルフィンだとの声で、食事中窓際に集まり、遅かったと残念がったのも懐かしい。 それにも増して、朝食のフルーツ、りんご・スイカ・メロン・グレープフルーツ・イチジク・いちご・マンゴー・パパイア・ライチ・マンゴスチンなどのトロピカルフルーツを選んで食べられるのは至福の時である。帰国すればせいぜい2種類程度の果物。あー、もう一回クルーズと思うのは、私が特に卑しいからだろうか。