世界一周クルーズ (第1章) BY 芝原 稔
ぱしふぃっく びーなす に決定
個人旅行やツアーで年二三回旅行を楽しんできたが、75歳を過ぎるとヨーロッパまでの長時間フライト、荷物の移動、疲れた身体での夜間の荷物整理、朝早くからのホテル出発、そして次から次へと観光地を観て回るのがだんだん億劫になってきた。そこでゆっくりとした船の旅行と考え、資料を集め検討を始めた。
ルーズで海に浮かぶ豪華なホテルを楽しむ」のうたい文句の AMORELLA (写真左)に乗船したが、食事も客室も大した事もなくがっかりした。またクイーンエリザベスⅡ世が横浜に寄航したとき横浜港一周の一泊を経験したが、食事とサービスが高級ホテルに比べて桁違いにお粗末だった経験がある。もっとも船旅は一泊ではその真髄をとても味わい得られないのもかも知れないが。
日本客船での世界一周は 1973年2月14日横浜港を出港した初代にっぽん丸(元あるぜんちな丸)が最初とされている。このクルーズは、南米に向けて移住者輸送の最後の航海を兼ねており、そこから世界一周をしたそうだ。純粋なレジャー目的の世界一周クルーズは、翌年1974年の「新さくら丸」が最初だったようだ。
クルーズへの憧れ 昔、ケイリー・グラントとデボラ・カー主演のアメリカ映画「めぐり逢 い」を見たが、地中海からニューヨークへ向う豪華客船で、リッチな二人が優雅な旅をする。夜は正装をしてダイニング・ルームに集い、バーで語らう。夢のような船旅の物語を今でも覚えている。海外ではごく一般的なクルーズも、まだまだ日本では、贅沢な限られた人たちの旅と思っていた。だが何時かは実現したいと、カリブ海クルーズ、地中海クルーズ、ライン河船の旅、そしてドナウ川船の旅などを検討したが、現地までのフライトが必要であり、約十日間の旅で往復四日間が、フライトや港までの移動で費やされ、しかも荷物の問題は解決されず、海側の船室の場合は、費用も案外高く魅力あるものは見つからなかった。これまでは予算や、日程が長期になるので、無理かと諦めていた「世界一周クルーズ」に方 針を決め、海外を含め調査・検討を始めた。
外国船によるクルーズは
- 日本から出港し、日本に帰港するクルーズはなく、最低片道はフライトになる
- 100日以上、船上も寄港地のツアーもすべて英語の生活になる
- 洋食が主体で和食は限られる
- パブリック・スペースは外国船は豪華だが、客室は日本船のほうが比較的広く使い易いようだ
- 日本船は展望風呂を備えているが、外国船にはそれがなく、100日間シャワーだけの生活で耐えられるであろうか(バス付を選べば解決するが)
- 外国船ではいろいろ豪華なエンターテイメントや設備があるが、有料のものも多く、またチップの支払いも日本人には案外煩わしい
等々の理由から、日本船での世界一周クルーズに的を絞った。
日本の世界一周のクルーズでは
- 飛鳥Ⅱ 郵船クルーズ 48,621トン 乗客 750 乗組員 360
- ぱしふぃっく 日本クルーズ客船 26,518トン 乗客 696 乗組員 204
- にっぽん丸 商船三井客船 21,903トン 乗客 408 乗組員 160
- トパーズ ピースボートが運営 世界一周は07年で56回と実績あり
と四つの案で検討開始、日数は約100日間、標準的なステートルームで、二人参加の条件で、一名あたりの料金は、飛鳥Ⅱ(350~430万)、ぱしふぃっく(260~370万)、にっぽん丸(298~400万)、トパーズ(200~240万)、但しにっぽん丸は07年催行しないため08年料金。トパーズは案外若者ばかりではなく、年齢層も広範囲だが、食事・設備など夫婦で豪勢な船旅を楽しむ感じではなく、気軽な一人旅向きだったので今回は除外した。
飛鳥Ⅱは世界の客船マーケットで高い評価をうけ、伝統ある郵船が世界最高水準の設備とサービス・食事を誇り、世界クルーズならこれと第一候補とした。
にっぽん丸は、船が古くやや小型だが、日本船では初めての世界一周のクルーズを行った日本を代表する船。横浜での体験乗船では、さすが商船三井と思わせるサービスと、特に食事は和食・洋食を取り混ぜて群を抜いて好評だそうだ。
第二の候補だった「ぱしふぃっく」は、もっと多くの人にクルーズを楽しんでというコンセプトで、価格を下げるなど家族的なクルーズで、ガラス張りのサウナや大型ジャグジー・プール・フィットネスセンターが自慢。体験乗船ではややサービスが劣る感じ。
周遊コース 問題はコースだが、にっぽん丸は2007年は世界一周の計画がなく残念ながら除外した。飛鳥Ⅱはトルコからボスポラス海峡を通過して、黒海のオデッサを訪れるのも魅力的。またイギリスのリバプールやアイルランドのダブリンの寄港も捨て難い。
ぱしふぃっくは、スエズ運河・パナマ運河を航行し、世界文化遺産に登録されている、ロードス島・ピレウス・ドブロブニク・ベネチア・バーリ・リスボン・キュラーソなどを訪れる。特に最近日本でも話題になっているクロアチアのドブロブニクに寄航するのが楽しみ。距離的にとても訪問出来そうにない南米のブエノスアイレス・リオデジャネイロもコースに入っている。最後はサンフランシスコからバンクーバーを経てハバード氷河を訪れる。帰路の太平洋はアリューシャン列島沿いが魅力的。ユーラシア・アフリカ・南アメリカ・北アメリカを世界四大陸を歴訪し、南はアルゼンチンから北はアラスカのスワードまで地球を縦断できるのが魅力的。コースは、私にとって、ぱしふぃっくびーなすが最適。
価格・設備・イベントやエンターテイメントの充実度・食事・サービスなどと検討を重ね、特に周遊コースの良さを加味して、ぱしふぃっくびーなすに決定した。