世界一周クルーズ (第55章) BY 芝原 稔
寄港地の楽しみ方 ツアーを含めて
今回のクルーズでの寄港地は、16ヵ国、24港に及ぶ。オーストラリアを除く4大陸を回り、同時点で国家の盛衰を比較し、歴史の移り変わりを、国の豊かさ、人々の豊かさ、文化を比較する、またとない機会である。回る国々は、すべて、良いにせよ、悪いにせよ、お互いに影響しながら、今日が在ることが痛感させられる。寄港地を貪欲に見たいとの思いで上陸した。もう少し夫々の歴史を勉強しておくべきだったと反省しながら。
今回のクルーズでは、オプショナルツアーは総数81コースあり、その内オーバーランドツ アー(寄港地をまたがるツアー)は7コースある。ツアーの申し込みは、乗船のほぼ3ヶ月前まで。但し余裕があれば、オーバーランドツアー以外は、ツアー前日でも可能である。ツアー代金はコースにより、日本円、USドル、ユーロで、乗船中の費用と共に、月1回請求される。船内には「ツアーデスク」があり予約の変更・取り消し、寄港地の情報なども扱ってくれる。前日にはツアーの説明会が開催され、日程表なども配られる。
ツアーには現地ガイドとツアーデスクのスタッフが同行する。殆どの寄港地には、港から 市街地まで無料のシャトルバス(写真・上と左)が運行される。個人で上陸を楽しむか、(個人ツアーもツアーデスクで相談出来る)、グループで出かけるか(例えば二家族でタクシーを頼む)、またはオプションツアー参加するか選択する必要がある。英語か現地語の会話が出来て、交通インフラが良くて、治安状態が良ければ、個人で動くほうがスケジュールも自由に調整出来て、費用的にも楽しむことが出来る。
今回のクルーズで参加人数が多いベスト5は (船内発表)
- インド・ムンバイ市内半日観光・・・207名
- イタリア・バーリ・アルベロベッロ・マテーラ1日観光・・・178名
- アメリカ・ジュノーメンデルホール氷河と市内観光・・・162名
- アラブ首長国連邦・ドバイ半日観光・・・142名
- 国境横断イグアスの滝とサンパウロ観光3泊4日・・・128名
1項のムンバイのコースはタージマハルホテル・インド門(写真・右)・洗濯場見学のコース、現地ガイドの日本語の意味が分からず、しかも3時間半で80USドル。タクシーを使って二人で廻れば三分の一ですむ。ホテルは如何に名門を誇る旧館とはいえ、狭い空間で汗を拭きながらのショッピングはいただけない。
2項(イタリア)と3項(ジュノー)は距離もあり、インフラも悪く、個人ではなかなか行けない場所を、ガイドつきで要領良く廻り、ツアーの価値大いに有り。
イグアスの滝には残念ながら参加できなかったが、参加者は良かったとの評判。あのアルゼンチンという国で、128名もの大集団でのツアー、フライトは2班に分かれ、早い組は朝5時前に出発、遅い組はトランジットで3時間待ち、晩飯なしと色々とハプニング付きのツアーだったそうだ。
コースが81もあれば、当たり外れがあるのはやむを得ないと思うが、現地の旅行会社が三流なのか、日本クルーズ客船の事前調査が不十分なのか、ムンバイのように考えられないようなお粗末なツアーもあった。私が参加したツアーでの「ベスト7」は次の通り、本編で詳しく述べているが、ツアー代金と概要を述べる。
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1.世界遺産アルベロベット&マテーラ一日観光 (134ユーロ)
イタリヤの統一国家の誕生は19世紀、それまで長い間、小国が独立し夫々独自の文化を育ててきた。円錐形の屋根と白い壁の町、アルベロベッロ(写真・上)。
石器時代から築き上げられ洞窟住居の、そして今では廃墟の街、マテーラ(写真・右)、本当に不思議な街である。
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2.スワード・レザレクション自然探訪クルーズ (US$110)
アラスカクルーズの最北の町、スワードからレザレクション湾にクルーズをし、アザラシ・くじら・ラッコや野生の鳥を見る三時間のクルーズ。素晴らしかったのひと言。唯、自然破壊からか、野生動物が少なくなっている。地球温暖化の影響か、氷河の後退を痛感させられた。
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3.ソイエールとバルデモサ一日観光 (177ユーロ)
地中海に浮かぶスペインの領土。レトロな観光列車でソイエールへ、其処からおもちゃの様な路面電車に乗り、港町ポルトデソイエールで昼食、ショパンがジョルジュサンドとの愛の逃避行で有名な美しい村・パルデモサ(写真・上右)を訪れる。其処には観光の顔と素晴らしい自然が残っている。
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4.世界遺産アマルフィ海岸とソレント一日観光 (148ユーロ)
ソレント(写真・左)からサレルまで40kmの海岸線が続く、美しい海岸線をドライブする。ギリシャ・ローマから20数世紀にわたり、海岸の岸壁に、独自の都市文化を築き上げてきた街々を、紺碧の海を背景に楽しめる素晴らしいドライブ(写真・右)。
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5.ブエノスアイレス一日観光 (US$179)
移住したヨーロッパの人々が、本国以上の街を建設せんとした街、古いもの、新しいもの、富めるもの、貧しいもの、全てが混然と存在し、植民地時代の歴史が凝縮した街を見る。
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6.アテネとスニオン岬一日観光 (140ユーロ)
パルテノン神殿、スニオン岬にあるポセイドン神殿跡を見る。一生に一度は訪れたいギリシャ文明発祥の歴史遺産を見る。今日本でも楽しまれている園芸植物の原種であろう野草が咲き乱れていた。
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7.「アドリア海の真珠」 ドブロブニク一日観光 (165ユーロ)
ユーゴ・スロバキアの一郭として、独裁者チトーの支配下に置かれ、その後は長きにわたり内戦に苦しんだ、中世の面影を残す、城壁の町、ドブロブニク、旅行会社がはやし立てる街、あまり観光化される前に一度は見ておきたい。
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今度はワースト4のツアーも紹介しておく。
記述の通り、日本クルーズ客船の企画の貧困・調査の不足を露呈した最悪のツアー。いまどき超一流のホテルの一角で、売れ残り物?をショッピングするような企画のお粗末さ。話にならない。
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2.三大ピラミッドをスフィンクス一日観光 (US$155)
これも企画のお粗末さ、調査不足、現地旅行会社の選定ミスの重なったツアー。現地のインフラ能力を、遥かにオーバーする多量のツアー人数、「余りにもバスが多いので、予定のトイレ休憩が出来なかった」と我慢比べ、昼食も暑い中での定員オーバーで我慢比べ、全て我慢・我慢の一日だった。これも旅の思い出の一つか。
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3.世界遺産ロードス島半日観光 (60ユーロ)
イスラムからの最後の砦、キリスト騎士団が築き上げた城壁の街への訪問。残念ながら、ガイドは英語、時間は3時間、60ユーロと高すぎる。これなら個人で訪問すべきだったと後悔。
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4.世界遺産オリンダとレシフェ半日観光 (US$130)
歴史都市レシフェの面影や、世界遺産オリンダの街の美しさは、このツアーでは痛感出来ず。ツアー時間は2時間半、オリンダまでバスの往復、現地自由散策(写真・右)、英語ガイドとツアーの企画がお粗末ではないか。
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問題は、企画など色々あったが、24港の上陸は、印象も深く、今後、写真や資料でいろいろ詳しく調べてみたい。また再度このクルーズで実現したい所ばかりである。