世界一周クルーズ (第17章) BY 芝原 稔
紅海だ!
船で何日も同じような生活を送っていると、一昨日が昨日なのか、昨日が一昨日だったのか区別がつかなくなる。この原稿を書くときも既に書いたのか、未だなのか、船のメール室のパソコンはすべて消去されるので困ったものである。メモはあるが自分自身でも判読出来ない悪筆、家に帰ってから資料を見ながら整理する気はあるが、船でこういう事態になるとは想像もできなかった。重複や記憶違いがあればお許し願いたい。
船でのアトラクションはいくつもあるが、奥山初子さんの「エジプト四方山話」にも感心した。彼女の話を聞くのは2度目だがとにかく話がユニークだ。彼女自身の話によれば、エジプトでエジプト人と大恋愛、そして結婚、しかし1年で離婚、今はエジプトで旅行会社を経営しているそうな。そして彼女のパピルス絵付け教室に参加した。(写真:下)
今は29日13時、キプロスの東を北に向けて航行している。噂とおり揺れが激しい。家内はダウンして寝ている。私はトラベルミンを飲んでホームページの遅れを取り戻すべく奮闘中。
さて23日、今日はキャプテンズカクテルパーティーの日、15時から正装し寝るまでネクタイははずせない。(写真:トップ左)今夜はイエメンとソマリアのマンダブ海峡を通過するため、日没後は海賊対策でデッキの扉は施錠され甲板には出られない。ここの海賊は重装備で危険、最大速度の36キロで走るしかないようだ。24日朝、海賊に襲われることもなく、船は紅海を進んでいた。海の色は紅くない。早速図書館で百科事典を調べてみる。この海域は昔から赤い海草が繁茂し、海が赤く見えたからだという。
26日12時、サファガに入港。(写真:右)想像していたより大きな港町だ。樹木一本もない禿山を背景にアパートらしいマンションやビルもあり、舗装道路に車が走るのも見える。ここでルクソール・カイロへの2泊3日のオーバーランドツアーに出かける約40名が下船した。「楽しい旅を!」と声をかける。僅か一ヶ月足らずだが戦友?だ。このサファガの沖合いは年中海水温が高く、魚の成育に適し種類も多いそうな。中国料理で有名なナポレオンフィッシュやハタ・エイ・まぐろなど。また透明度が30-40メーターと高い。サファガからシナイ半島の先端の沖合いは、昔から海路の要所であり、多くの船が座礁・沈没している。1941年にはドイツの軍艦チムレゴーウムが沈没、今でもトラックやライフル銃が残されているそうだ。これらを住家とする魚も多く、世界のダイビングスポットとして脚光を浴び発展しているらしい。いよいよ明日早朝、船はスエズに到着、一日がかりで運河を通過して地中海に出る。今回のクルーズの見どころの一つである。