世界一周クルーズ (第58章)

2007年09月26日 | 世界一周クルーズ

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世界一周クルーズ 第58章 BY 芝原 稔

世界一周クルーズを終えて

世界一周クルーズを終えた今、08年は無理としても09年は再度試みたい気が起こりつつある。それはクルーズではなく、「世界一周」である。世界各国の二年後、三年後、五年後の変化をこの目で確かめたいと言う熱望と、近い将来世界一周クルーズの大衆化が加速された時、クルーズ各社がどのような対応をとるかと言う興味深さがある。しかし自身の歳を考え、100日余りを元気に楽しめるかと言う心配もあり、出来る限り早く実現したいと思っている。

旅は船(クルーズ)で

58101 本章を書き終えたら一応クルーズ関連は終了、大げさに言えば趣味など遣り残したことに集中しようと思いつつ、傍ら内外を含め次のクルーズの資料を検討し始めた。こんな状況では・・・、いっそうの事クルーズに明け暮れ一生を終えても良いのではと誘惑されるほど、クルーズの魅力は大きい。

特に毎日海ばかりを眺めた航海の末、陸地が遠く霞んで見え、やがて山並みや街並みが見え始め、そして港が見え、入港する58102 時の感激。その土地の人々に接し、生活・文化・歴史を見る楽しみが、そのとき沸々と沸いてくる。これは何時間かのフライトでの空港着陸では味わえない、時間をかけての港への接岸の時である。出帆の時、例え半日の上陸であっても、徐々に離岸する時、陸上で過ごした半日への思い出と、その町とそこで暮らす人々の将来に思いを巡らすと胸が一杯になる。これも近代的な空港とは違い、なんとなく港というものが、うら寂れているせいか。例え数人でも、手を振り我々に別れを惜しむ人々が居り、別れを惜しむようにカモメが舞い飛び船の後を追う。それが夕刻であれば、更に今一度の訪問を考えたくなる情景である。これは港に着岸・離岸の時、寒い日でも、照りつける炎天下でも、何時間もデッキで眺め続ける人々が多いことからも、私だけの感傷ではないようだ。

ショートクルーズでなく、世界一周を勧める

前置きが長くなったが、これからクルーズを楽しむ方々への参考と、私はどうするか、未58103 だ夢のような計画を述べご参考になればと思っている。内外のクルーズで募集中のものは何十件とある。期間100日前後の世界一周か、10日前後の現地までフライトを利用しての地中海クルーズ・カリブ海クルーズ等のショートクルーズを選ぶか。今回の乗客の意見では、先ずは10日前後を経験して、気に入れば世界一周に挑むべきと言う意見が多かった。若い人たちはクルーズなら世界一周に挑戦だと言う考えが多いようだ。私の考えはショートクルーズはただ単に船を利用したツアーに過ぎないと思う。世界一周クルーズこそ、100日の船の生活を楽しみ、熱帯から寒帯までの自然の変化を肌に感じ、世界の寄港地を楽しめるから、クルーズの醍醐味が得られると考える。と言っているこの私も、次の世界一周までに、10日前後の地中海クルーズをもと考えている。

今回のクルーズでは、予約からムンバイ付近まで反対であった家内が、今ではいっぱし58104 のリピーターになりたいと気持ちが変化している。特に女性にとって、所謂、上げ膳・下げ膳、掃除からベッドメーキングまでしてくれるメイド付の毎日である。映画を見ても、街に出かけても、数分で我が家に帰り着き、シャワーを浴び食事が出来る。問題は洗濯だけだが、これとて機械がすべて片付けてくれる。不思議なものでこういう社会に入ると、普段昼寝の亭主が進んで手伝うようだ。かく言う私も洗濯を手伝ったが、粉石鹸を入れるのを忘れて、二度手間となり、洗濯はもう結構と言われた。

同じ海でも、太平洋の海は黒く、インド洋の海は青く、エーゲ海のそれはエメラルドのよう出るのである。ベネチュア然り、リオデジャネイロ然り、如何に近代的な設備と言え、フライトで空港に到着、裏口からこそこそと町に入るのとは異なる。身近なところでは、パスポートコントロールのために長々と並ぶ必要がない。入出国管理の役人達が我々のために船まで出張してくれる。こんな楽しく楽なことはない。ついでにひと言、港には空港のように税金の払い戻しの制度は殆ど無いことに注意。逆に無税だから買っておこうと言う不埒な気にならないのは助かる。世界一周クルーズは、毎日の生活を、自然を、そして動くホテルで各国を旅して楽しませてくれる世界である。

荷物は最低限に

問題は色々あるが、其の一つは荷物の準備である。我が家も乗船が確定してから約3ヶ月、大げさに言えば、毎日が苦難の連続であった。これについての参考資料がない。旅58106_1行会社に問い合わせると、「それは好みですが、持参された方が無難ですよ」と親切な?回答が帰ってくる。これがダンボール七箱となり、結果三箱はキャビンのソファーの上で最後まで邪魔になった。100日間も欲しいものが補給出来ないと言う恐怖心である。心配はない。無ければ無いで済ます開き直りがあれば、荷物は半分で済む。規格品のダンボールは、船で購入する箱もそうだが、高さが3cmの差でベッドの下に入らない。この会社はこう言うところが抜けている。ベッド導入の計画時にこの点に配慮すれば、乗客が如何に助かったか。結論は一家で4箱以内に収まるように考えるべきである。必要なもの、不要なものを書き添えることを考えたが、所詮これは個人差が大きく、クルーズの計画が無い人に関係ないので省略する。

早く予約だけでも

世界一周クルーズは、08年は満杯、09年も残り僅かと旅行会社は囃し立てている。確かに08年は満杯だろう。09年も残席僅かである。空前のクルーズ時代の到来である。58108 だが半年か一年先のことである。しかも申込者の平均年齢は高い。半分以上は取り消しが出ると思う。解約料は91日前までは無料。少しでも行く気持ちがあれば申し込んでおいては如何。覚悟が決まれば、準備すべきは色々ある。オリンピック選手は何年も前から計画的に最高のコンディションになるように調整する。100日を船上で楽しむには、体調整備のため、人間ドックで検査し、医者と相談することを勧める。適宜の運動もこの計画によって始まれば、一挙両得というものだ。(写真:マヨルカ島で見かけた男の子、将来はサッカー名選手?)

世界史・天文・動植物・語学・ダンスに取り組む

人それぞれ趣味や価値観も異なる。一概には言えないが、折角の機会、世界史は勉強しておくとベターだと思う。特にキリスト・イスラムの宗教史、新世界発見の歴史、植民地制覇の歴史から近代史まで、寄港地ごとに、また航海する海自体にも歴史が絡んでくる。星58110 座は北と南半球では全く異なる。デッキから見る夜空は遮るものは何も無い、満天の星である。私のように北極星や南十字星程度の知識では寂しい限りである。船上では星座の観測・説明の機会が何回もある。其の為には一寸齧っておくだけでも随分違うと痛感した。上陸地でも海上でも普段見られない動植物を見る機会がある。ギリシャの花一つをとっても、日本の花の原種であったりする。例え一つでも帰国後の生活で、これが分かれば如何に楽しいか。海上では鯨が度々観察できる。鯨にもそれにまつわり如何に歴史が動いたか。下田の黒船来航も、アメリカの捕鯨基地の必要性から生まれたと前述したが、鯨のお陰で日本は開国した。話は一転するが、ダンスの機会は随分と多い。勿論船内でも初級からのコースもあるが、乗船までにある程度マスターしておけば、クルーズはより以上に楽しいものとなる。以上自身の反省と次回の目標を書いた。(写真:パナマ運河を進む)

クルーズは早いほうが良い

今回のクルーズの平均年齢は68.84歳、90歳代は3名で矍鑠としている。この春に定年退職、人生の再出発の為に夫婦で参加、帰国後今後の生活を考えると言う所謂「団塊の世代」の夫婦もいた。過去500日以上のクルーズ経験者は数人。これが終わればすぐに次のクルーズに出かけると言うクルーズファン。少し痴呆症があり車椅子で参加した人58111 は、船では刺激があるのか、帰国前にはかなり回復した人など様々である。90歳でもクルーズは楽しめる。だが100日余りを如何に充実して暮らすか、プールでも泳ぎもすれば、夜遅くまでダンスに興じる。食事を三食、美味しく頂く。オーバーランドツアーにも参加したい。より楽しく楽しむには、早い時期に(出来るだけ若いときに)出かけることを勧める。ここ2、3年で世界クルーズは日本でも、もっと大衆化されると思う。今回のクルーズに参加して、予期していたより庶民的で気位が高い豪華客船の感じはしなかった。それはそれで素晴らしい事と思うが、とにかく長い道中、狭い空間、これ以上に庶民化されると、クルーズは悲観的でもある。船会社がどう対策を考えるか、これは余り期待できないと思う。はやりクルーズは高級感がまだあるうちに・・・一刻も早く参加したらと思う所以である。(写真:船で開催された盆踊り大会)

外国船か日本船か

現在の日本には残念ながら世界一周は、飛鳥Ⅱ・日本丸・ぱしふぃっくびーなす・富士丸・トパーズ(NPO運営)の五隻しかない。08年の外国船では、クイーン・ビクトリア新造船の58112 処女航海(108日・205万~2400万)、クイーン・エリザベス(91日・118万~2070万)、クリスタル・セレニティ(113日・648万~1860万)など乗船したいクルーズが多彩である。しかし外国船の場合、安いところはキャビンが海の見えない内側、狭い、レストランがキャビンの等級によって変わる。チップや経費は別など問題がある。詳細に調べる必要があるが、標準的なクルーズを楽しむなら、価格的にも殆ど変わらない。世界一周クルーズで超豪華なクルーズを楽しむなら外国船。キャビンは寝るだけと割り切り、海が見えない四人部屋の安いところに泊まり、超豪華なパブリックスペースでエンターテイメントなどを楽しむのも外国船を選ぶ一つの選択肢。ショートクルーズは日本近海以外なら断然外国船である。地中海を始め想像以上に多くのクルーズが選べる。(写真:シルバークラウド バハマ船籍の豪華客船 総トン数168,000トン・全長156m・乗客定員296名・乗務員212名、ムンバイにて)

日本船ならどれを選ぶか

08年日本船の世界一周クルーズは、横浜発で

  • 飛鳥Ⅱ 4月5日~7月15日 350万~1700万
  • ぱしふぃっく 4月1日~7月13日 260万~1600万
  • にっぽん丸 4月7日~7月16日 298万~1160万

09年も、JTBなど旅行会社に問い合わせと、カタログを送ってくれる。いずれも早期申し込み割引がある。選択はコースの希望が優先されると思うが、どの会社・どの船を選ぶかとなると、其の選択は難しい。私は「ぱしふぃっく」しか乗船経験が無いが、今回の船上で58113 の会話では、広いだけでたいしたことは無いがエンターテイメントなど船内のイベントの評価は高いのが飛鳥Ⅱ。にっぽん丸は食事の評価は高いが、全体が狭く、クルーの若い人への接客態度が悪いという話。「ぱしふぃっく」については、船内構造とクルーの評価は世界的にも抜群に高く四ッ星。これは私も同感である。但し私に言わせると、この船は関西、特に大阪の文化で、東京の文化、特に銀座・丸の内の文化には程遠い。私も関西生まれで東京育ち、大阪は好きだが長い船内生活には、な58114 んとなく別の文化があって欲しいと思う事がしばしばあった。またシネマの企画のお粗末さ、皆さん忙しいと思うが、素晴らしい映画館であるのに、観客はいつも10人以下。何故かと疑問を持つ幹部はいないのか?船内放送のビデオも本当に見たいような名画は放送されない。場末の映画館でもやらないような映画を、しかも繰り返し上演している。誰がプログラムを選定しているのか疑問。エンターテイメントも素人以下の演技を堂々と披露する。イベントのお粗末さも然り。でも船長以下のクルーたちの接客には本当に感謝しているが、企画部門、特に会社は現状をどのように認識しているのか、私に言わせると改善事項は100以上ある。

色々とクレームをつけたが、2009年クルーズに参加できるなら、やはり「ぱしふぃっく・びーなす」に再度乗船したいと思っている。きっと、それまでに指摘事項は改善され、素晴らしいクルーズを提供してくれると期待して。

「ぱしふぃっく びーなす」のテレビ放送 BS-i

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今回のクルーズがテレビ放送されたので紹介したい。上の写真はリオ出港時、パナマ運河通過時、アラスカ寒風の中での撮影準備などのロケ風景。

6月1日の船内ニュースで、テレビ取材・撮影のスタッフ乗船がリオデジャネイロからとなったと通知があった。BSデジタル放送6チャンネル「BS-i」で毎週水曜日(22:00~22:54)8回に亘り、ぱしふぃっくびーなすクルーズの「豪華客船で行く 南北アメリカ横断クルーズ」が放映されている。9月5日に第1話・ブエノスアイレス編が放映された。撮影時から期待していただけに、忘れないように録画予約を入れ、万全を期していた。スタッフの乗船はリオなのに3日前に過ぎたアルゼンチンからである。一寸おかしいが細かいことは言うまい。画面を見るとさすがプロである。撮影の企画・撮影場所・カメラアングル・光線の当たり方、当たり前のことだが、すべてが私のビデオとは桁違いに違う。生憎当日の東京は大雨、地上デジタルは雨に弱い。後半に画像が乱れたのは残念だったが一応録画した。

  • 10月3日  第5話 メキシコ
  • 10月10日 第6話 サンフランシスコ
  • 10月17日 第7話 バンクーバーからジュノー
  • 10月24日 第8話 アラスカ
  • (9/12:リオデジャネイロ 9/19:イグアス、アマゾン、サンパウロ 9/26:キュラソーからパナマ

これらのハイビジョンでの美しいテレビ映像で、自分達が辿った道を、再度別の目でしっかりと見直し楽しみたいと思っている。

 


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