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やる気のない非モテの備忘録

零  ~月蝕の仮面~   70点

2009年12月01日 | ゲーム日記
零 ~月蝕の仮面~

任天堂

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Wiiの和風ホラーアドベンチャー、零シリーズの第四弾。

かつて神隠しに合い、発見されたが記憶を失った五人の少女。
その二人が謎の死を遂げ、残る三人は死の原因と失われた記憶と求めて、かつて神隠しに遭った島、朧月島へと向かう。今は廃村となった朧月島に眠る謎とは……

霊を写真におさめることによって除霊する、というシステムの和風ホラーアドベンチャー零の最新作。
PS2で発売された前三作をベースに、全体をブラッシュアップさせたようなシステムになっているので、作りは安定&無難。
……ではあるんだけど、今までのシリーズで満足している人にはそれで問題ないんだろうが、どうも自分はこのシリーズのシステムに微妙な疑問をいろいろ感じているので、そこが改善も改悪もされないままにほっとかれているのは、どうなんだろうなあ、という気はする。

まず前提となる「カメラで撮ることで除霊する」というシステムは、これは非常に優れたアイデアではあると思う。恐怖をとりのぞくために、その恐怖としっかり向き合わなければならない、というのは、とてもホラー的な要素だ。ゲーム性としても、相手が霊であるため平然と壁をすり抜けてくるのので、バイオハザードなどとはちがった立ち回りを要求されるのが面白い。
のではあるが、ダメージが数値化され、コンボなどが表示され、それに応じて点数がもらえるというシステムは、これはいささかやりすぎなんじゃないだろうか、と初代の頃から思っていた。
和風ホラーの、じわじわとしめつけてくるような雰囲気を大事にしているはずのシリーズなのに、基本的な戦闘システムがいかにもゲームゲームしすぎていて、雰囲気を損ないすぎているのではなかろうか、と。
また、敵がけっこう堅いため、何度もパシャパシャととらなくてはいけないのは、テンポも悪いし、いくら怖い敵でも何度もパシャパシャゃってりゃ怖くもなんともなくなるっつー話で、わかりやすく云うと、もっと敵の耐久力もこっちの耐久力も低めに設定してよかったんじゃないだろうか、と毎回思う。
毎回建物の雰囲気が良いだけに、このあたりの雰囲気ぶち壊しぶりはなぜ改善しないんだろうと疑問でならない。一度お約束ができるとなかなか変えられないのもわかるけど。

話は前後したが、建物の雰囲気、これはいい。一作目からそこで勝負していたソフトだけあって、今作はPS2からWiiへと順当に進化したいい廃風景が広がっている。
今作は廃村にある廃病院が舞台となっている。真夜中の廃病院というだけで舞台としては素晴らしいのに、調べるほどに村に広がっていた謎の奇病や、それに関する怪しい治療法がわかっていくなど、孤島ならではの異様な風土が明らかになっていくさまは廃マニアにはたまらない雰囲気。
同時に、なぜか一作目からやたらプッシュされていた百合要素も強化されており、女同士がやたらと愛し合ったり憎み合ったり太ももチラチラさせたりしていて、エロとホラーの組み合わせの良さを再認識させてくれる。
まあ正直、XBOXやPS3に慣れるとグラフィックにも物足りなさはあるのだが、Wiiとしては十分にがんばっているグラフィックでもあり、バイオハザードがほとんどホラーを捨て、サイレントヒルもいろいろと迷走しているいま、雰囲気ホラーゲーとしては零の独壇場であるのだけは確かだ。

が、そうであるだけに、先ほどにも書いたような戦闘部分での雰囲気ぶち壊しが気になる。
また、前作からなぜかストーリーの途中で操作キャラが入れ替わる、というシステムを採用しているのだが、これも個人的にはどうかと思う。ストーリーを多角的に見せたいのかもしれないが、そのせいで「とんでもないところに迷い込んでしまって暗中模索する自分」というホラーゲーの要であるロールプレイ要素が薄らいでしまっているのが痛い。
また、バイオハザードからお約束のようになっている「巨大な迷宮を右往左往しながらアンロックして進んでいく」という楽しみも、別のキャラでとおったことのある場所を何度もとおらなきゃいけないのがほとんどで、混乱するし目新しい場所になかなかでないしで、そりゃボリュームアップにはなるのかもしれないが、正直退屈な時間が増えるのでやめて欲しい。混乱を防ぐためにやたらと浮遊霊が行き先を導いてくれるのも、やりすぎで興ざめ。かといってなくなると行き先がわからないし……普通に1キャラで進めさせれば怒らない問題だと思うんだがなー。
さらに武器を成長させるシステムがあるため、3キャラ分成長させるのがまた面倒くさいし。

ストーリーも、村の奇習と近親相姦と職人の妄執とが絡まりあっていて、なかなか雰囲気があるのは確かなんだが、どうもシリーズでマンネリしていて、細かいところは変わっていても「またそれか」という気がしてならない。また、このシリーズの特徴として、各所に分散されている資料を読み込むことによって事件の全貌が想像できるようにはなっているのだが、このバランスがちょっと極端な気がする。
要するに、ちゃんと集めて読まないとストーリーの意味がまるでわからん。
なぜか小説は読むくせに、ゲームの資料的な文章を読むのが嫌いな自分には、探索の合間合間にやたら文章を読まされるのが正直鬱陶しかった。この辺、もう少し「読み込むと深くわかるけど読まないでも話の骨格はわかる」という風にバランスとって欲しいなあ。

新要素では、Wiiリモコンを懐中電灯にみたてて視点を変えさせる、というのがあったが、ぶっちゃけあんまり有用なシステムでもなかった気がする。面倒くさいので、画面からリモコンはずして前後左右移動で視点あわせてたし、それで問題なかった
ところどころ、リモコンでポインタ合わせてピアノをひくミニゲームがあったが、これははっきりいらなかった。面倒くさいし毎回同じパターンだし、そもそもリモコンポインタを合わせるのとピアノをひくという行為に、どこも直感的なものがない。
微妙な要素なのにラスボス戦にまでくっついてくるので、かなり面倒くさかった。

つまり、Wiiだからということで取り入れられた新要素はおおむねこけていた。
その代わり、PS2からWiiというハードの性能差の分だけ着実にパワーアップはしていた。
前三作から良い部分も悪い部分もそのまま引き継いだ順当な作品、というのが正当な評価だと思う。
個人的にこのシリーズ自体がまったく怖くはないのだが、怖い人にはたまらなく怖いみたいなので、和風の廃屋が好きな人なら。

ただ個人的に思うんだけど、映画でもそうだが、やっぱりホラーってシリーズで何度もつくるものじゃないと思う。このマンネリ感を愛している人にはたまらないのだろうが、ゃっぱりマンネリしたホラーはなかば以上ギャグの領域に入ると思うし。




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