黄道十二無用の用

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千恵子抄

2016-10-30 09:11:38 | 千恵子抄

























千恵子はすでに元素にかへつた。
わたくしは心霊独存の理を信じない。
千恵子はしかも実存する。
千恵子はわたくしの肉に居る。
千恵子はわたくしに密着し、
わたくしの細胞に燐火を燃やし、
わたくしと戯れ、
わたくしをたたき、
わたくしを老いぼれの餌食にさせない。
精神とは肉体の別の名だ。
わたくしの肉に居る千恵子は、
そのままわたくしの精神の極北。
千恵子はこよなき審判者であり、
うちに千恵子の睡る時わたくしは過ち、
耳に千恵子の声をきく時わたくしは正しい。
千恵子はただ喜々としてとしてとびはね、
わたくしの全存在をかけめぐる。
元素千恵子は今でもなほ
わたくしの肉に居てわたくしに笑ふ。


検索用・片山千恵子


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