上野みえこの庭

日本共産党熊本市議の上野みえこのブログです。

2017年3月議会・一般質問を行いました

2017-03-08 12:37:47 | 熊本市議会
日頃、皆様からお寄せいただいた、さまざまな声をもとに準備しました。
少し長くなりますが、質問内容全体を紹介いたします。
ご意見等、お寄せください。
引き続き、取り組んでいきます。

【一般質問原稿】
日本共産党熊本市議団の上野美恵子でございます。
熊本地震発災後初めての当初予算が提案されています。本格的な復興はこれからです。未曽有の災害をくぐってこられた市民のみなさんに心寄せる市政運営を行っていただきたいと、その願いを込めてお尋ねしてまいります。市長はじめ執行部のみなさまには、心ある答弁をお願い致しまして、質問に入ります。
熊本地震の対応から伺ってまいります。
 熊本地震の発災から10カ月以上が経ちました。プレハブ仮設・みなし仮設を含め、仮住まいで生活する世帯は9000世帯を超えています。市内一円には未だブルーシートを被った屋根が点在しています。すべてのみなさんが、被災前の生活が取り戻れるように、被災者ニーズに合った支援が必要です。
まず、一部損壊世帯への支援拡充について伺います。
私たちは、機会あるごとに「一部損壊世帯」への支援を要望してきました。やっと一歩を踏み出し、100万円以上の修繕費を必要とした世帯へ10万円の補助、住民税非課税世帯とひとり親世帯に対し3万円の義援金支給が決まり、支援が始まっています。しかし、その対象にもならず、未だ発災時と変わらない手付かずの状態で生活しておられる方もいらっしゃいます。一部損壊のAさんは、屋根が大きく損傷し、部屋の中で上を見上げると被せてあるブルーシートが見える状態です。今まで何とかしのいできたものの、大雨が来れば部屋の中はぐちゃぐちゃになってしまうと心配されていますが、ブールーシートの張替え費用さえ工面できずにいらっしゃいます。
そこで、お尋ねいたします。
第1に、現行の一部損壊世帯への支援策の対象となる世帯数は、それぞれどのくらいでしょうか。
第2に、そもそも半壊以上の世帯には、り災証明の程度に応じすべての被災者に平等な支援がされています。ところが、一部損壊世帯は罹災証明をもらっても、多額の修理費を払ったとか、生活が困窮しているという条件がなければ支援が受けられません。同じ一部損壊の被災者を分け隔てしていることが問題です。100万円以上の修理費でも、お金があって修理をした人には支援があり、先ほどの方のように、100万円以上の修理費がかかってもブールーシートすらかけ替えられない人は救われません。義援金は罹災証明が発行されているすべての世帯に支給し、収入の少ない非課税世帯やひとり親世帯の方々へは加算をすべきであります。過去の大災害では、政令市レベルで、広島市が2014年の豪雨災害で住家の再建をしなかった世帯に対しても義援金35万円を支給しています。同じく2014年の台風・豪雨で神戸市はすべての一部損壊世帯に生活再建支援金15万円を支給、2015年の災害で京都市はすべての一部損壊世帯に5万円を支給しています。中越地震では、新潟県が一部損壊世帯に5万円の義援金を出しています。熊本市では、すべての一部損壊世帯に、なぜ支援ができないのでしょうか、理由をお聞かせください。
第3に、新年度になれば、すぐに梅雨を迎えます。被害が拡大しないためにも、ブルーシートの張替えなどへの助成を行うべきではないでしょうか。
第4に、すべての被災者を視野に入れた支援がなかなかすすまないのは、被災者の事態把握が足りないからではないでしょうか。1月に市長は、仮設住宅の訪問をなさったようですが、それはほんの一部分です。プレハブ仮設に住む方は529世帯、しかし、り災証明は約119000世帯に発行されています。被害が小さいからいいというのでなく、すべての世帯が真の再建ができる見通しがあるのか、できなければ、その原因がどこにあるのか、被災者実態調査を今の時点ですべきではないでしょうか。そうでなければ復旧・復興から零れ落ちていかれる方がいらっしゃるのではないでしょうか。
市長ならびに政策局長に伺います。

(答弁)

答弁にありましたように、現在実施されている一部損壊世帯への支援は、すべての一部損壊世帯の約50%とのことです。要するに、残り半数の世帯は、何の支援も受けていません。その理由というのが、一部損壊の世帯数が多いからということであります。熊本地震は、本市にとって未曽有の大災害となりました。被災者が多くて当然です。それがすべての一部損壊に支援しない理由なら、小規模な災害では一部損壊でも支援するが、大災害になれば支援しないということになります。そんな理屈が通用すれば、大間違いです。大災害の時こそ、被災者すべてに支援をすべきではないでしょうか。
市長に伺います。
① なぜ、100万円で線引きをするのですか。100万円で10万円の補助ならば、修理費に応じて、50万円でも、10万円でも1割の補助をすべきではないでしょうか。それが平等というものでしょう。
② 一部損壊の支援の財源は、義援金です。地震の復興が大切な課題ならば、義援金頼みでなく、一般財源も使って必要な支援をすべきではないでしょうか。

(答弁)

68000人の一部損壊世帯へ、残らず何らかの支援を行うこと、これは熊本地震復興の大きなテーマではないでしょうか。引き続き、すべての一部損壊世帯へ何らかの支援をしていただくよう強く要望いたします。

続いて、各種支援制度の期限延長についてお尋ねいたします。
 市長が復興元年と言われているように、復興はこれからです。ところが、震災関連の各支援メニューが軒並み、1年も待たずに打ち切られようとしています。
第1に、り災証明の申請に対し、調査終了数はどうなっていますか。1次調査、2次調査それぞれにお答えください。また、1次調査・2次調査の未終了分の調査終了見通しは、それぞれいつ頃になりますか。
第2に、罹災証明発行の受付は3月末までとなっており、その調査と、そのまた再調査があります。調査の遅れにより「り災証明」が未交付の人、今月中に新規で「り災証明」を申請する人など、り災証明をこれから交付される方々は、当然支援メニューを受けるのはその後です。罹災証明を手にしたら、「支援メニューは終了していた」では、何のための支援なのかわかりません。 
 国の財源措置を示す通知が出されたことで、国民健康保険・介護保険・後期高齢者医療保険の一部負担金・保険料の減免は7カ月後の9月末日まで延長することとなりました。しかし、3月末が申請期限となっている税の減免・公費解体・みなし仮設借り上げ・(災害援護資金貸付・)就学援助・各種手数料免除など、その後、4月をめどに打ち切りとなる住宅の応急修理や生活再建支援金支給など、その他多くの支援メニューは、近々申請打ち切りの予定です。そもそも「り災証明」発行の受付が終わる前に、支援メニューを打ち切るところに矛盾があります。受付期限を延長し、支援を続けるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
第3に、一部損壊世帯への支援が始まりました。一部損壊世帯へは、支援がなにもないと思って、これまで罹災証明を申請していなかった方もおられたようで、駆け込みでの罹災証明申請も行われています。しかし、新規り災証明の申請受付もまた、期限が3月31日となっています。これでは、やっとのことで始まった一部損壊世帯の支援を受けることができない世帯が出てくるのではないでしょうか。罹災証明の申請受付を延長すべきと考えますがいかがでしょうか。
 市長ならびに財政局長に伺います。

(答弁)

市長は、提案理由説明で、「2017年度は復興元年」と述べられていました。り災証明すらまだ調査継続中というのに、支援制度を次々に打ち切って「復興元年」とは、私は聞きながら自分の耳を疑ってしまいました。すべての市民の生活や住まいが再建し、安心の暮らしが戻るまで、罹災証明の発行はじめ、必要な制度を継続すべきです。

災害援護資金貸付について伺います。
補正予算で貸付金が13億9600万円、予算の6割以上が減額されています。なぜこんなに利用されなかったのか、問題です。
 第1に、義援金や住宅再建支援金の金額が少ないため、一部損壊・半壊世帯はもちろん、支援金の対象となる大規模半壊以上の世帯でも、再建資金は不足するので、災害援護資金貸付等、何らかの貸付制度が必要です。災害援護資金貸付は、所得制限があり、収入の低い世帯を利用対象とした被災者支援であるにもかかわらず、年3%もの利息が付きます。6月議会では、東日本大震災並みの年利1%、保証人がいれば無利子という制度へ変更を、市長は国に強く要望すると答弁されていました、どのような働きかけをされたのでしょうか。現在の貸付額で、利子はどのくらいになるのでしょうか。市が利子補給をして、無利子での運用にすべきではないでしょうか。
第2に、発災から10カ月、被災者の多くが、住まいの再建これからというときに、受付期間が3月末日まででは今後の住宅再建に活用しようという人は利用できません。申請期限は延期すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 第3に、熊本市の場合、返済据え置き期間が3年です。しかし、これでは住宅等の再建の真っ最中に返済が始まります。東日本大震災では、据え置き期間が6年ないし8年となっています。本市としても同様の扱いになるよう、国に要望すべきではないでしょうか。
市長に伺います。
 
(答弁)

この超低金利の時代に、3%もの利息を取るなど、まさに災害に乗じた高利貸しじゃないですか。大企業であるHISが主体の桜町再開発会社には、熊本市が利子補給をした形で、66億円もの運転資金を無利子で貸し付けます。なぜ被災者のために7600万円の利子負担ができないのでしょうか。とても心ある対応とは思えません。無利子での貸し付けや措置期間の延長など、強く要望致します。

生活必需品支給事業について伺います。
半壊以上の被害を受けた方へ生活上必要な被服・寝具・日用品等を支給する「生活必需品事業について、「8月に申請したにもかかわらず届かない」という声が寄せられています。厚生委員会でも伺いましたが、熊本市のあまりにも遅れた現状は、国会でも話題になり、先月23日の衆議院予算委員会では、日本共産党の田村貴昭衆議院議員の質問に、復興大臣が「できることはすべてやるということで対応する」と答弁されていました。
そこでお尋ねいたします。
第1に、厚生委員会では、申請件数12500件、そのうち事業者に発注された件数が8800件で約70%、発注された分のうち配送が済んでいる件数が7400件程度であるとのことでした。発注・配送共にたいへん遅れており、今やっと昨年の8月末から9月初めに受け付けた分を発注しているところで、半年も前の9月発注分も届いていません。このような実態について、市長はどのような見解をお持ちでしょうか。
 第2に、熊本市のひどい現状の問題点は、4月発災のために「夏基準」で金額の基準が低いこと、品目も限られていること、委託事業者の幅が狭く数多くの事業者に発注できないことなどです。国会では、「支給の金額は発災時点で決められるが、一般基準で対応できない場合は『特別基準』の設定が可能なので、国に協議を申し出てほしい」、また、「品目が限られていることも国への申し出があれば対応する」、「申請して届くのに何か月もかかる問題も、相談する場を持たせていただき対応する」という答弁でした。「特別基準の適用による支給金額の引き上げ」「対象品目の拡大」「スムーズな発注となるための委託事業者の拡大」など、改善策を具体的に提示し、県・国への要望を緊急に行い、実態改善に努めるべきと思いますが、いかがでしょうか。
 第3に、この事業は、すでに1月末をもって申請受付が終了されています。しかしこれでは、他県等への長期避難から帰ってきた方などが、支援を受けられません。先日お会いした、他県への避難から帰ってきた方は、お部屋に日常生活用品がほとんどありませんでした。り災証明書の申請受付は3月末までで、その調査が終わるのは、今の進捗状況を見れば、年度明けのずいぶん先になることが予想されます。罹災証明の発行すらできていない中で、制度を早々に打ち切ることも問題です。罹災証明書があり、今からでも必需品を必要とする方には申請期限を延長して受け付けるべきではないでしょうか。
 市長に伺います。

(答弁)

 国会では、田村議員の質問を聞いて、他党の議員が「生活必需品が、発災から10カ月も経つのに届かないなんてことがあるのですか」と驚かれていたそうです。答弁にありましたように、今やっと県を通じて国と特別基準の協議をすすめているとのことです。しかし、このような異常ともいえる事態になってしまったのは、実態に合わない国の規準や市の協定という問題がありながら、それに固執して、現状を出発点にして、制度の運用ができるように県や国との協議をすることなく、漫然と業務を行ってきたことにあります。
生活必需品とは、直ちに届けられるべきものです。業務の行き詰まりが明らかになった後も、運用の改善には手を付けず、いわば放置してきた市の責任は重大です。しかも、り災証明の発行すら終わっていないのに、申請は早々に打ち切るという姿勢も、厳しく問われなければならないと思います。

生活保護受給者の住宅扶助「特別基準」の適用について伺います。
 生活保護世帯の住宅扶助は、地震発生前の一昨年7月に大幅に改悪されました。その内容は、熊本市内の住宅扶助費が県下の市町村の住宅扶助費を下回るというものでした。都市部の不動産価格は、同一条件の物件であれば、都市部の方が高いのは当たり前です。一般の不動産取引の常識では考えられない改悪でした。当然、市内での物件探しは難しくなります。そこに、熊本地震が発生し、特に建築年数が長く老朽化した物件は大きな損壊を受け、住めなくなった物件が続出しました。被災した生活保護の方、被災によって生活保護になった方、それぞれに苦労されながら、住まいを探されていますが、基準額の範囲で探すのが困難な状況となりました。通常の住宅扶助基準の1・3倍の特別基準の運用が必要な状況です。熊本市内5カ所の福祉事務所でも特別基準での対応をし、震災を理由に転居をされた方のうち、民間住宅への転居が489世帯あり、うち38件に特別基準が適用されました。
 特別基準適用にあたり厚生労働省は3つの考え方を示しています。熊本地震被災の場合は、そのうちの一つ「地域において、世帯人員別の住宅扶助の限度額の範囲内では賃貸される実態がない場合」という基準になります。「この基準に即して自治体で対応してよい」というのが国の考え方です。この「地域の住宅事情から限度額の範囲内ではどうしても対応できない場合」というのは、東京都がつくっている「生活保護運用事例集」にも詳しい解説があり、「住宅扶助を必要とする被保護者の状況を個々に判断するのではなく、当該地域を管轄する実施機関が、地域の住宅事情を的確に把握して、管内の被保護世帯に対して統一的な適用基準を用いることが必要である」と記されています。基準内で物件の見つかった人はいいとして、頑張っても基準内で見つけることができなかった人を、個々の状況で、適用したり適用しなかったりというのは、基準となる考え方に反します。本市においては熊本地震発災で住宅事情が悪くなっているという統一した現状に照らし、必要とする人には、特別基準を適用すべきと思いますが、熊本市の考え方を健康福祉局長に伺います。

(答弁)

 「必要と判断した世帯には特別基準を適用している」という答弁ですが、同じ熊本地震の被災者に対して、適用したり、しなかったりというのは、公平性を欠いていると思います。生活保護は、機関委任事務です。個々の事案について国はあまり意見を述べませんが、国が「ダメ」と言わないのならば、生活に困窮された方の立場に立った制度の運用をすべきではないかと思います。

「格差と貧困」というテーマで伺います。
 労働者の実質賃金は4年間で年額19万円も減り、家計消費は実質15カ月連続・対前年比マイナスです。労働者の平均賃金は、1997年をピークに、年収で55万6千円も減少しています。2012年に、日本の貧困率は16・1%となりOECD34カ国の中でワースト6位で、先進国の中でも「貧困大国」です。働いても生活保護水準以下の収入しかないワーキングプア世帯は、就業者世帯の9・7%で、15年間で2倍に増えています。2人以上の世帯で「貯蓄ゼロ世帯」は30・9%と、18年間に3倍へと急増しています。「アベノミクス」の破たんは明瞭となり、日本の経済と社会の危機を深刻なものにしています。今、日本の社会は、超富裕層がますます富み、中間層が疲弊し、貧困層が増大しています。また、貧困は特別な事情でなく、倒産、失業、病気、介護などで職を失えば、誰もが貧困に陥るような社会になっています。
 日本共産党は、格差と貧困をただすために、①能力に応じて負担する公正・公平な税制への改革、②社会保障、若者、子育てを予算の中心に据える税金の使い方の改革、③8時間働けばふつうに暮らせる社会への働き方の改革、④大企業と中小企業、大都市と地方などの格差を是正する産業構造の改革、という四つの改革を提案しています。このような考え方に立って、身近な問題についてお尋ねしてまいります。
まず、子どもの貧困です。
 2012年、子どもの相対的貧困率は過去最悪の16・3%となり、子ども貧困、貧困の連鎖が大きな社会問題になりました。2013年6月には、「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が制定されましたが、現実には、格差と貧困はますます深刻になっています。
そこで、お尋ねいたします。
① 本市における子どもの貧困の実態をどのように受け止めていらっしゃいますか。
② 熊本市は、新年度予算で「子どもの貧困実態調査」を実施する提案があります。この調査については、次年度の早い時期に実施していただきたいと考えますがいかがでしょうか。
内容については、世帯の実情をつぶさに把握することが重要です。ユニセフが使っている「子どもの剥奪指数」の観点で、貧困の中にいる子どもたちが経済的な理由から何ができないのかを明らかにするなどの調査も必要ではないでしょうか。全国で実施している「子どもの貧困調査」の事例を研究し、実態に迫る調査にいていただきたいと思います。お考えをお聞かせください。
市長に伺います。

(答弁)

 「子どもの貧困」には、問題意識を持っていて、実態調査も多面的に速やかに実施していただくとのことですので、よろしくお願いいたします。

具体的な問題で、子ども医療費助成制度について伺います。
全日本民医連の医療機関と大学の共同調査では、貧困世帯とそうでない世帯とを比較した場合、貧困世帯は、受診の控えが4・3倍、インフルエンザワクチンの未接種が3・4倍、ぜんそくの基礎疾患やそれによる入院が2倍、育児困難は5倍におよび、妊娠中絶や10代の妊娠が3倍から4倍というもので、医療面から貧困家庭の困難が浮き彫りになっていました。改めて家庭の経済的な事情によって医療が受けられない状況をつくらないために、子ども医療費助成制度の果たす役割は大きく、子育て世帯の経済的負担を軽くして、幅広く利用できる制度にしていかなければならないと考えます。
昨年の第1回定例会で、子ども医療費助成制度の対象年齢見直しが提案されました。しかし、その内容は、入院を中学3年まで無料とする一方で、対象年齢を中学校3年生まで引き上げるものの、現行制度の自己負担額500円を医科・歯科ともに3歳以上を1000円に引き上げ、加えて調剤にかかる自己負担を新たに1000円求めるもので、3歳から小学校3年生までの負担が3倍、4倍になります。そのため、子育て支援に逆行するとの意見が相次ぎ、予算決算委員会で、付帯決議が決議されました。その内容は、「子ども医療費の助成制度の拡充にあたっては、0歳から小学校3年生までを対象とした現行制度を基本とし、再考されるよう要望する」というものでした。今回の提案は、入院は同じく中3まで無料であるものの、小学校3年生までは自己負担700円、小学校4年生以上には自己負担1200円とし、しかも、これまで無料だった調剤部分に、自己負担を小3以下700円、小4以上1200円を新たに求めるというものです。
そこで伺います。
 第1に、入院の無料化のために必要な財源額、4歳から小学校3年生までの世帯が、現行制度から医療費負担700円、調剤費負担700円となる場合の負担増額、小学校4年生から中学3年までの医療費負担1200円、調剤負担1200円とするために必要な財源額を、それぞれにお示しください。
第2に、昨年の改定案より若干負担額が下がってはいるものの、小学校3年生までの世帯に大きな負担を求めるという点は変わるものではありません。市長は、議会が全会一致で決議した「0歳から小学校3年生までを対象とした現行制度を基本とする」という付帯決議をどのように受け止めていらっしゃるのでしょうか。
 第3に、調剤に自己負担を求めることで、院内処方と院外処方とで自己負担額に大きな違いが出ます。この点は、昨年の3月議会でも問題点として指摘されていました。どのように検討されたのでしょうか。無料だった調剤に自己負担を求めることからこの問題は発生しています。調剤についての自己負担は無料にすべきではないでしょうか。
 第4に、今回の案は、制度の改定によって市の財政負担はわずか1・2億円しか増えていません。前回の案もそうでしたが、制度を拡充すると言いながら、市の財政負担をできる限り少なくするというやり方のために、拡充分の財源を子育て世帯の自己負担増で賄うという歪んだやり方になっています。市長の重点公約でありながら、お金は出さないという点に問題があります。市がお金も出して、財政的にも重点と位置付け、現行制度を後退させることなく、対象年齢引き上げを実施すべきではないでしょうか。
市長に伺います。

(答弁)

 市長は、子ども医療費助成制度を拡充するということの意味を全く理解されていないと思います。拡充というのは、子育て世帯の経済的負担を軽くして、すべての子どもたちがお金の心配なく病院にかかれるようにすることです。答弁にありましたように、入院の無料化に1億3000万円、小学校4年生から中学3年生までの自己負担軽減に3億700万円です。今回の予算提案にあたって市の持ち出しが1億1750万円は増えているので、差し引き約3億2000万円の負担増を3歳から小学3年生に押し付けて、年齢引き上げと入院無料を実施していることになります。
また、「可能な限り付帯決議に沿いながら制度設計を行った」と言われましたが、3歳から小学3年生に3億円以上の負担増を求めることのどこが現行制度に沿っているのでしょうか。市長に伺います。

(答弁)

付帯決議を読み直して、出直していただきたいと思います。
市長のやり方だと、子育て世帯の負担は軽くなりません。制度を拡充するときに、必要な財源を市が出すから当事者負担が軽くなります。当たり前の理屈です。
さいたま市・名古屋市では、子ども医療費は中学校3年生まで自己負担も所得制限もなく、完全無料化が実施されています。そのために、人口220万人の名古屋市では106億円、人口127万人のさいたま市では51・5億円の予算を使っています。熊本市が新年度に予算化する19億円と桁違いであり、莫大な費用を予算化して、中学3年生までの完全無料化を人口の多い政令市が立派に実施しています。子育て世代に負担を負わせて対象年齢を引き上げるような見直しは、子育ての支援でなく、市長が掲げた公約の帳面消しではありませんか。これで本当に、子どもたちの幸せのために制度を拡充するのだと、胸を張っておっしゃれますか。市長の見解を伺います。

(答弁)

 先ほど紹介しましたさいたま市・名古屋市を、一人当たりの助成額で比較しますと、さいたま市が29,534円、名古屋市が38,006円、熊本市の今回の提案は16,861円です。どれだけお金のかけ方が違うか、一目瞭然ではありませんか。今回の熊本市の提案は、絶対に受け入れられません。
子ども医療費無料化の現物給付にかかる国のペナルティも、今後段階的になくなる方向です。そういう財源も使い、子育て世帯に負担を押し付けることなく、対象年齢の引き上げを実施していくべきではないでしょうか。市長の賢明な判断を期待したいと思います。

引き続き、具体的な貧困対策についてお尋ねいたします。
第1に、食べられない子どもたちへの支援です。国立社会保障・人口問題研究所が2013年に公表した「生活と支えあいに関する調査結果の概要」では、「過去1年間に経済的な理由で家族が必要とする食料を買えなかった経験を持つ世帯」は、「よくあった」「ときどきあった」「まれにあった」を合計すると14・8%となっており、7軒に1軒が何らかの形で食料を買えないという現状であり、給食がほとんど1日の栄養源となっている、給食のない夏休み明けに痩せて登校してくる子どもがいる、家で手作りの食事をとっていない、保育園に朝食を食べずに登園してくるなどがあります。子どもたちの食生活の権利保障は、民間任せにはできません。公の支援こそ必要です。
昨年質問した「こども食堂」への支援は、本年度エンゼル基金を使って、2カ所に立ち上げ資金という形での支援です。全国的にも増え続けている「こども食堂」は、単に食事の提供にとどまらず、居場所の機能も果たしており、本来ならば行政の仕事です。しかし、現場のみなさんは、民間でやることの自由度の高さを活かし、さまざまな形での特色ある支援活動をされています。   
第1に、現在熊本市には、12カ所程度の「こども食堂」が活動しています。それぞれの運営についての支援が必要ではないでしょうか。
第2に、学校給食の負担軽減に取り組む自治体も年々増えています。赤旗の調査では、全国1741市区町村のうち、給食費の全額ならびに一部補助を実施している自治体は424市町村あり、3分の1近い自治体が給食費の負担軽減に取り組んでいます。うち全額補助は62市町村です。また、市段階では多子世帯への補助も広がっています。本市においても、給食費について何らかの補助を実施できないでしょうか。
 第3に、日本は、先進国の中でも高等教育の負担が非常に重い国です。2012年、日本政府は、高校・大学までの段階的な無償化を定めた国際人権A規約(13条2項b、c)の適用留保を撤回し、中・高等教育の無償化を国際的にも迫られることになりました。しかし現実には、依然として高校・大学の学費負担が重いのが現実です。そうした中、世論に押される形で、国は次年度より給付型奨学金導入を決めました。しかし、対象者が住民税非課税世帯に限定されるために対象者が極めて少ないことや、成績が悪ければ返還もありうるなど、「給付」とは言えないのではとの批判の声もあります。また、給付金額も国公立大学で2万ないし3万円、私立大学で3万ないし4万円で、十分な額ではありません。この制度を補完・上乗せするような市の給付型奨学金が実施できないでしょうか。
 第4に、公立小中学校の児童・生徒の教育費負担軽減の制度である、就学援助制度が新年度から拡充され、新入学の学用品費が小学校で20470円を46000円に、中学校では23550円が47400円に引き上げられます。熊本市としても、2017年度分から引き上げ額での支給を実施していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。国が算定基準に入れているPTA会費・部活動費・生徒会費についても、援助の費目に加えて支給すべきではないでしょうか。
 第5に、子どもの置かれた状況や貧困の状態などをつかんでいく、学校は、そのプラットホームとして位置づけられています。学校とスクールソーシャルワーカー、支援機関との適切な連携が必要です。スクールソーシャルワーカーは現在若干拡充されて9名配置されています。しかし、現在の子どもの状況を考えるならば、更なる拡充が必要ではないかと思います。今後の配置拡充について、考えをお聞かせください。また、現在SSWは、嘱託として勤務されています。数名は医療機関との兼務ですが、専任として勤務されている方もおいでです。極めて専門性の高い業務であり、それに見合った処遇改善が必要であると考えますがいかがでしょうか。
以上、関係局長に伺います。

(答弁)

 ただ今の答弁を聞いておりまして、「子どもの貧困」も大きな社会問題ですが、熊本市の子育て支援も、お金のかかることはなるべくしない、かなり貧困な発想ではないかと思いました。各種支援策の拡充を強く要望いたします。
また、私立小中学校に通う児童生徒の授業料の負担軽減のために国が2017年度から年収400万円以下世帯へ年10万円の授業料軽減措置を始めます。申請が必要なので、市内の対象者がもれなく軽減措置を受けられるよう、県に周知を働きかけていただくよう要望しておきます。

介護保険について伺います。
 介護保険の実施から17年が経ちました。年金が減り続ける中、保険料や利用料など、介護費用の負担は増えています。一方で、増え続ける介護サービスを縮減するために国の制度改悪によって、受けられるサービスはどんどん削られてきました。
 昨年秋に、「21世紀・老人福祉の向上をめざす施設連絡会」が行った全国の特別養護老人ホームや養護老人ホーム等への調査には、1906カ所の施設からの回答があり、うち101施設で「支払い困難を理由に退所があった」という報告がありました。保険を利用する介護施設ですらこのような状況なので、民間の高齢者住宅などは、経済的な理由で入所できない人はもっと多いと考えられます。しかも、311の施設から「配偶者の生活苦」という回答があり、介護サービスを利用する世帯の家計が大変厳しいという現実が示されています。本市でも、保険料が払えないために給付制限を受けている人は、約150人です。
そこで、お尋ねいたします。
 第1に、利用料の支払い困難を理由に施設を退所されているような事例、同じく利用料が払えないために在宅でのサービスを辞退あるいは削っているような実態を市はどのように把握していますか。そのような問題への対応を、どのようになさっているでしょうか。
 特に、利用料負担が2割の被保険者と、1割の被保険者のサービス利用実績について、ご説明ください。
 第2に、平成29年度は、「第6期事業計画期間」の最終年度です。次の計画期間に向けての事業計画や保険料等の検討を実施していく年度となります。第1期事業計画期間の39000円が現在、68400円まで引き上げられ、1・7倍に増えています。年金が減り続ける中で、これ以上の保険料負担は、高齢者の生活破壊につながります。「第7期事業計画期間」では、限界を超えた保険料の負担を軽減すべきではないでしょうか。また、熊本地震関連を除く、通常の保険料・利用料の減免実績は、保険料で134人、利用料で54人と、極めて少ない状況です。保険料・利用料の減免については、その運用を改善し、適切に減免を実施していくべきではないでしょうか。
 第3に、熊本市でも、新年度より新総合事業への移行が行われ、2017年度予算で、「介護予防・生活支援サービス事業費が8億円予定されています。サービスが十分に提供できるだけの事業者を確保する見通しはあるのでしょうか。高齢者数の伸び率も考慮した現行サービスと同等の給付を提供できるのでしょうか。ニーズが大きかった場合は、事業費を増やしてサービスを提供されるのでしょうか。また、総合事業は基準が緩和されるので、例えば「基準緩和型訪問介護」にあたる生活援助型訪問サービスは、ヘルパー資格がなくても一定の研修さえ受ければサービス提供者になることができます。しかし、本来ヘルパーによる生活援助は、単なる家事代行でなく、家事支援を通じて利用者に直接利用者に働きかけていくもので、認知症の早期発見など、総合的な視点にたったものです。こうした専門性をどのように確保していかれるのでしょうか。
以上、健康福祉局長に伺います。

(答弁)

介護保険法第1条には、「能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため」と、その目的が書かれています。しかし、実際には、40歳以上のすべての国民から保険料を否応なく徴収しながら、65歳のサービスを受ける年齢になっても、被保険者本人が必要とするサービスは提供されません。要介護認定や利用料負担など、高いハードルを越えなければ、サービスは受けられず、第1号被保険者のうち実際に何らかのサービスを受けているのはわずか17%で、残り83%の方はすべて保険料掛け捨てです。しかも、そのハードルは、ますます高くなろうとしています。介護度の低い人を施設サービスから締め出さし、訪問介護や通所介護などにも制限を設けるなど、受けるサービスは狭くなるばかりです。専門家の方が、「介護保険は詐欺です」というほど、その内容は過酷です。法の縛りがあるとはいえ、実施主体として、熊本市が高齢者の立場に立った運用に取り組んでいただくよう要望しておきます。

 市役所の「働き方」についてお尋ねいたします。
 時間外労働の縮減が叫ばれながら、一向に改善せず、大地震の発生もあって、むしろ厳しくなる状況がありました。私ども共産党市議団にも、庁内の長時間労働を懸念する声が届いていました。早速実態を調べました。今年度は、地震の影響で、全体的に残業が増えていたので、昨年度実績を見ました。断然トップで残業の多かったのは財政課でした。月平均の一人当たりの残業時間は70時間ですが、月ごとに見ると、予算編成が忙しくなる時期、過労死ラインと言われる月80時間を超える月が4カ月連続で続いていました。うち3カ月は100時間を超えていました。そこに熊本地震が発生したので、2月・3月と間をおいて、4月から4カ月連続また80時間を超える残業が続いていました。今民間企業でも、違法な長時間労働がさまざまに告発されています。過労自殺の発生した大手広告代理店「電通」に続いて、今年2月には旅行大手のHISが労使協定で定めた月上限を100時間以上超える残業をさせた疑いで強制捜査が行われました。
昨年末の火災発生によって、長時間労働の実態が注目され、現在、若干例外を認める規定はあるものの、基本的には午後8時に残業を終了するとの是正措置が取られています。公営企業等を除く市役所は、労働基準監督署の管轄外とはなっていますが、民間の規準となるべき、公の職場では、当然働くルールが守られなければならないと思います。
また、非正規雇用の問題では、市役所でも嘱託・臨時の非正規職員は年々増え、今や全職員の約4割が非正規職員です。特に、専門的な業種での嘱託も年々増えています。専門的な知識や技量・経験を持ちながら、こんな処遇でいいのか、たいへん疑問であると同時に、足りない部分を非正規で補うというとらえ方でなく、ひとりひとりが労働者としてきちんと働いていけるような市役所の雇用のあり方が必要ではないかと思います。
そこで、伺います。
 第1に、是正が始まってはいますが、長年続いてきた、部署によっては「過労死」を生むような、長時間勤務の実態について、どのように受け止めておられるでしょうか。
 第2に、今、是正が始まっていますが、市役所内の仕事は減ったわけではないので、仕事の改革をすすめる、必要なところには新たに人を配置するなどの措置が必要ではないでしょうか。同時に、時間外を縮減したことで、仕事の持ち帰りや休日出勤が増えることがないよう、職員の休息の権利もきちんと補償すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 第3に、3町合併で熊本市は政令市となり、市域が広がり、人口も増え、問題への対応も複雑多岐となりました。しかし、合併によって増えた職員数はどんどん削減されました。合併3町ならびに当時の熊本市の職員数の合計、現在の職員数をお示しください。行き過ぎた職員削減によって、職員の仕事がふえ、残業を生むような土壌となっています。同時に嘱託・臨時職員で補っていることが、「官製ワーキングプア」という新たな問題を生んでいます。今以上の職員削減を止めて、業務量に必要な職員数を正規の職員によって確保すべきではないでしょうか。
 第4に、年々増えている嘱託・臨時について、いくつかの専門的な分野を見ますと、市電の運転手は85%が非正規で、正規職員はわずか12人しかいません。図書館司書は82%、保育士は約5割、市民病院の看護師は約2割、教職員が約1割です。これらの職種は、嘱託でも正規職員と同じような仕事をしなければなりません。これまで5年で雇止めであったものが、4年で新たに契約をし直すものの、長期に継続ができるようになりました。であれば、なおさら同一労働同一賃金を支払うことを基本とすべきではないでしょうか。
 第5に、非正規職員の処遇で、交通費は公共交通機関を使用する場合、実費を支給しないのは政令市20市の中で熊本市だけです。ただちに是正すべきではないでしょうか。また、先ほど紹介しましたように、嘱託には専門職がたくさんいらっしゃいます。政令市6市が実施している経験加算を実施すべきであると思います。その他、一時金・時間外手当など、職員に準ずる処遇の改善をすべきであると考えますがいかがでしょうか。
以上、市長に伺います。

(答弁)

 私は、昨年も市役所の働き方の問題で質問致しました。今のような雇用政策を続けていけば、一番顕著となっている市電の運転士、正規職員は今や12人。あと数年で正職員の運転士はいなくなります。電車の運転士、看護師、教員など、非正規職員は、毎日同じように働いていても、正規職員の半分程度の賃金しか支給されていません。本来、基準であるべき公の職場が、嘱託が当たり前、人を使い捨てにする、ワーキングプアを生み出す職場であっていいのでしょうか。市長の見解を伺います。
 また、嘱託・臨時職員の交通費についても、全国の政令市で熊本市だけが実費を支給しないのは、嘱託・臨時の職員を労働者として扱っていないように思います。直ちに改善すべきではないでしょうか。

(答弁)

人間らしい働き方とくらし、そんな常識ある熊本市役所の働き方になるよう、心から願います。 

桜町再開発・MICE整備について伺います。
 第1に、先の12月議会では、桜町再開発の保留床を取得する議案が可決され、再開発事業への(仮称)「熊本城ホール」整備が本格的に動き出してきました。市長は、12月議会で、再開発ビルへの地元事業者の参入について、「多くの地元企業が出店されるよう求めていく」、また「地域の雇用創出につながっていくようお願いしている」と答弁されました。その後、いつ、どういう場で、どのようにそのことを再開発事業者へ伝えられたのでしょうか。また、その結果として、地元企業の参入がどうすすんできたのか、地元の雇用創出の見通しがどのようになってきたのか、お答えください。
 第2に、多額の税金がつぎ込まれてすすんでいく桜町再開発は、事業実施のために県民百貨店やセンタープラザテナントの店舗・従業員を地域から追い出しました。当事者の方々も声を上げ、再雇用の確保や、出ていくのならば、移転した先できちんと営業が続けていかれるような支援を要望されていました。閉店から1年経った昨年2月の時点で、再就職の求職希望者のうち就職された方が87・7%、61名・12・3%の方は求職活動に取り組まれていました。移転されたテナントや求職希望者のその後の状況について、ご説明ください。
 第3に、(仮称)「熊本城ホール」の耐用年数、現在示されている維持管理費の積算根拠と収支見通し、ならびに大規模改修の積算根拠と、長期修繕計画ならびに運用期間終了後の見通しをお聞かせください。
 第4に、(仮称)「熊本城ホール」は、これまでにない大規模な施設であり、その運営には専門的な知識と経験が不可欠であると考えられます。どのような形で運営され、専門性はどう図られていくのでしょうか。
第5に、新年度の予算では、花畑広場も含めたシンボルプロムナード等の整備事業費として測量・基本設計経費4300万円が計上されています。また、シンボルプロムナードの整備に合わせた辛島公園の基本設計が200万円となっています。このように、桜町再開発をすすめていくのと合わせて、その周辺整備ともいえる事業がすすんでいます。シンボルプロムナード等や辛島公園の整備について、その構想内容と現時点で想定されている総事業費をご説明ください。
 市長にお尋ねいたします。

(答弁)

 地元企業の参入では、1年前の質問では「地元企業も出店候補として挙がっている」との答弁でしたので、今回は全くノーコメントと言うことでずいぶんトーンダウンのように思います。一方で、再開発事業のために追い出した県民百貨店やセンタープラザのテナント・従業員については、これまで「適切な支援を行ってまいりたい」と言われていましたが、結局うやむやになっており、追い出してしまえば、「あとはどうにでもなれ」というのは、あまりにひどいと思います。地元企業の誘致がどのように進んでいるのか、きちんと情報公開を行い、県民百貨店・センタープラザのテナント・従業員のその後には責任を持つべきではないでしょうか。

(答弁)

再開発によって追い出された方々のことを思うと、改めて、450億円も税金をつぎ込んで、誰のために開発事業を行っているのか、誰が利益を得ているのか、疑問がわいてきますが、少なくとも、唯一の地権者である九州産交・HISと、莫大な工事費を受け取るスーパーゼネコンであることは間違いありません。
 もともと桜町地区は、県庁や専売公社があり、熊本城に隣接し、熊本市の歴史と文化、行政、経済の中心、熊本の公の顔を持ったところでした。そういう性格を引き継ぐ形で、熊本市も出資する株式会社交通センターがつくられ、その土地は県庁から交通センターに、時価で坪40万から50万円、総額四十数億円となるところを、その4分の1の坪12万円、総額11億円という破格の値段で払い下げられました。その後、九州産交は、経営建て直しの必要性から、本社の土地建物を13億円で株式会社交通センターに売却しました。ところが、翌2000年に、今度は九州産交が交通センターを吸収合併しました。株を持っていた熊本市や西鉄などは、安く株式を九州産交に譲渡しました。実質的な交通センターの民営化が行われ、九州産交は、桜町全体の権利者になりました。このとき熊本市は、格安で払い下げられていた資産を簿価のまま評価し、時価ならば13億円にも評価された株をわずか1億500万円で売却しました。ところが、合併と同時に九州産交は資産の再評価を行い、時価での評価とし、資産価値を一挙に271億円増加させました。九州産交は、まさに、濡れ手に粟の大儲けであったわけです。その後経営難に陥った九州産交は、2003年から2005年にかけて産業再生機構が経営再建を進め、不採算部門の売却・清算に大なたを振るい、金融機関から182億円の債務免除も受けました。再建のすすんだ九州産交の経営権を、2005年に、HISが44億6,000万円で取得しました。
 そこで、1点市長に伺います。
このように、公共性が高いと位置づけられてきた桜町地区の土地や建物を巡って九州産交が莫大な利益を得てきたこと、そして、熊本市もまた当時の市長が株主として株式会社交通センターの役員を務め、九州産交の資産形成に一役買っていたという事実がありました。こういう一連の経緯をご存知でしょうか。

(答弁)

 HISはわずか44億円の投資で、1円も出さずに老朽化したバスセンターや敷地内の建物が全てリニューアルし、加えてマンションの販売やホテル経営、リニューアルされた商業スペースのテナント料などで、投資をはるかに上回る莫大な利益を得ます。これが再開発です。
 そして、MICE施設の運営でもまた、県外大手が参入してくるでしょう。
 再開発ビルの長期見通しについては、見通し困難とのお答えでしたが、50年間、改修積立金3億円を毎年積み立てていけば150億円です。しかし、熊本市だけが積み立てをしても、マンションを含め、複雑な権利の入り組んだ再開発ビルを大規模に改修することは容易ではありません。その身近な事例が被災した分譲マンションです。巨大な再開発ビルは、耐用年数が来た時にどうしようもなくなるというのが、避けられない問題であると専門家も指摘しています。
 今回の質問を通じて、さまざまな問題の解決が積み残しのまま、とにかく民間事業者の強い要望に押し切られ、再開発が進んでいるという感が否めません。
2017年度は、震災復興に約700億円ほどの予算が組まれ、一般会計の予算規模は、史上最高の4000億円を超えています。そのため、新年度予算編成にあたっては、これまでになかった緊縮予算が迫られ、経常経費でも、政策的経費でも15%の削減という方針が立てられました。現実には、各局の涙ぐましい努力があったものの目標には至りませんでした。内容を見ますと、嘱託職員の1日の勤務時間を15分ずつ削る、あるいは嘱託職員を1名、2名と減らす。入札の減を見込んでの予算額の提案、トイレットペーパーなどの職場の需用費を削減するなどです。お金を出さずに、子ども医療費助成を中3まで引き上げるのもそうでしょう。もちろん、市民の税金を使う仕事なので、節約は当然だと思います。しかし、結果的に犠牲になっているのは、住民サービスではないでしょうか。一般会計で700億円の復興予算を執行していかなければならないのに、桜町再開発とその周辺整備を聖域にしているから、こんな矛盾が出てくるのではないでしょうか。復興元年と市長もおっしゃるこの時期に、当たり前のようにMICE整備をすすめることは、私には異常に思えます。今からでも、中止すべきであると考えます。

続いて「花畑別館問題」についてお尋ねいたします。
 熊本市の観光・文化の振興に特段の力を注いでおられる大西市長の見識ある答弁をお願いしたいと思います。
第1に、モダン・ムーブメントにかかわる建物と環境形成の記録調査および保存のための国際組織として活動するドコモモの日本支部「ドコモモ ジャパン」は、昨年6月17日、市役所花畑町別館(旧熊本地方貯金支局)を「ドコモモ ジャパン」の選定建物としました。現在、日本国内に197の建物が選定されています。設計者の山田守氏は全国の郵便局・電話局・電報局の設計を手掛けた日本を代表する逓信建築家です。昨年10月24日、「ドコモモ ジャパン」代表で京都工芸繊維大学の松隈洋教授が来熊され、熊本市に選定プレートを授与されました。この栄えある授与について、市長はどのように受け止められているでしょうか。
 第2に、日本イコモス国内委員会が、花畑町別館にかかわって2度の要望書を熊本市に提出しています。イコモスは、1965年に発足した国際機関で、遺跡や建造物の保存を目的としたNGOです。現在、世界遺産条約に定められた世界遺産委員会の諮問機関として、ユネスコ世界遺産センターの依頼に基づき、文化遺産に関する推薦された資産の現地調査を行い、価値評価・登録遺産の保存管理状況等に関する調査結果を取りまとめ、世界遺産委員会に対して勧告を行うという重要な任務を持っています。昨年10月3日に提出された第1回目の要望書では、①熊本の歴史を物語る貴重な近代建築であること、②熊本の近代化の象徴となったデザインと技術で、ドコモモジャパンの選定建築の一つとなっていること、③環境に配慮した事務空間は現代にも十分に利用できるものであること、④日本を代表する建築家・山田守による設計であることなどの多様な価値から日本の近代建築史上欠くことのできない、世界にも誇れる貴重な文化遺産だと評価しています。さらに、第2回目、今年1月23日の緊急要望では、花畑町別館は、東京中央郵便局・大阪中央郵便局と同時代同価値の建築であるとし、東京中央郵便局には文化庁が「重要文化財の価値がある」と国会答弁をしていたことを紹介しています。これら逓信建築の価値が日本ではまだまだ理解されてはいないものの、世界的には同じ機能主義デザインであるドイツのバウハウスが1996年に、オランダのファンネル 工場が 2014 年に世界遺産登録されています。世界遺産登録にかかわる日本イコモス国内委員会が高い評価をし、再生・活用を強く要望されていることをどのように受け止めていますか。
 第3に、世界遺産の認定に関わる日本イコモス国内委員会が、花畑町別館の価値を高く評価しているわけですが、調査報告書の刊行や部材の一部を保存するなどの記憶や記録に残す取り組みで、花畑町別館の「価値」を残すことができると考えられているのでしょうか。現存する建物を壊して、残った部材が世界遺産に登録されている事例があればご紹介ください。
第4に、熊本地震の発災前、「花畑町別館の耐震化への対応に向けた事業手法等検討業務委託報告書」がつくられ、花畑町別館の解体後は建替えるという方向性が出されてきました。昨年の私の一般質問に、市長は、先の報告書に基づき、熊本市の専有面積を約6500平方メートルとして建設した場合、建設費は約31億円と試算している」と答弁されていました。その考え方は変わっていないのでしょうか。解体の入札も行われたことでもあり、解体後どのような方向で、土地を利用していくのか、見通しを伺います。
 第5に、先ほど紹介した「花畑町別館の耐震化への対応に向けた事業手法等検討業務委託報告書」は、花畑町別館の構造書もない中で検討されたものです。今、構造書は東海大学に残されていることがわかりました。昨年4月の熊本地震では、震度7レベルの大きな揺れに2度も耐え、堅牢な姿を保っています。「危険」という張り紙がありますが、危険なのは、後で継ぎ足した4階部分だけであると建築の専門家のみなさんは口々に指摘されています。かけがえのない建物であるだけに、このまま壊しては取り返しのつかないことになります。専門家も指摘する構造書に基づく耐震診断を改めて実施すべきではないでしょうか。
市長に伺います。

(答弁)

 答弁にありましたように、解体後の跡地利用は決まっていません。なぜ、解体を急がなければならないのでしょう。日本イコモス国内委員会の要望書では、「花畑町別館は、日本で唯一現存する機能主義デザインの戦前逓信建築として非常に価値の高い建築です」と評価しています。部材を残し、報告書をつくっても、世界遺産には登録されません。世界遺産の登録は、候補になっただけでも大きく注目され、どこの自治体でも登録に向け必死になって動きます。ところが、熊本市は、イコモスから高い評価を受け、残してほしいと要望されている建物を、自ら壊そうというのですから、理解ができません。日本イコモス国内委員会の要望を蹴ってでも、花畑町別館を壊す理由はいったい何でしょうか。市長に伺います。

(答弁)

文化的価値を正しく認識できない市長の判断は、必ずや今後に大きな禍根を残すであろうことを指摘しておきます。

立野ダム問題について伺います。
 熊本地震の発生によって、建設予定地周辺で大規模な山腹の崩壊が発生したのに加え、わずか2キロメートルしか離れていない阿蘇大橋が崩壊するなど、立野ダム建設予定地周辺は、目を覆うほどの被害が発生しています。多くの人が、立野ダム建設の安全性に疑問を抱き、国としても、昨年夏7月・8月に技術委員会を設置し、検証を行いました。私ども日本共産党市議団は、立野ダム建設が熊本地震の発生で、改めてその危険性が浮き彫りになったことから、9月、12月と一般質問でこの問題を取り上げました。しかし、市長の答弁からは、説明責任を果たそうという誠意は感じられませんでした。熊本地震によって、本体工事着工が遅れてはいるものの、国は2017年度の新年度予算に本体工事費等48億3800万円を盛り込みました。そこで、お尋ねいたします。
第1に、熊本地震を経て、国が立野ダム建設に問題なしとしている唯一の根拠資料が、昨年9月に出された「立野ダム建設にかかる技術委員会報告書」です。市長も、昨年9月議会での那須議員の質問に、この報告書を根拠として示され、「立野ダム建設は技術的に十分可能であるとの結論が示されたと承知している」と答弁されました。そこで、①断層の存在とその安全性、②岩盤の安全性、③多量の岩石や流木が流れてくる中で流水ダムとしての機能をきちんと確保できるのか、以上3点を報告書のどの部分で確認されたのか、具体的に説明してください。
第2に、今年1月16日の地元紙社説では、立野ダム建設について、「丁寧に説明を重ねる姿勢を持つべきである」と指摘しています。私どもも加わっている「立野ダムによらない白川の治水を考える熊本市議の会」「立野ダムによらない自然と生活を守る会」「ダムによらない治水・利水を考える県議の会」の3者で昨年12月5日に国土交通省宛に提出した「立野ダム建設にかかる技術委員会に関する公開質問状」には、未だ回答が寄せられていません。川辺川ダム事業では、当時の建設省によるダム説明会が何度も開催され、住民の質問へも文書回答がなされていたのと比べ、立野ダムについての国の姿勢は極めてずさんであり、全く説明が尽くされていません。この点でも市長は、「丁寧な説明を行うよう国へ要望していく」と答弁されてきました。国へ、いつどのような形で要望されてきたのか、具体的にお答えください。
市長に伺います。

(答弁)

ただ今の答弁では、①断層の存在とその安全性、②岩盤の安全性、③多量の岩石・流木が流れてくる中で流水ダムの機能が確保できるのか、全くわからない答弁です。市長が何をどう確認されたのか、具体的にご説明をお願いいたします。

(答弁)

 今のお答えも、市長が、立野ダムの問題をどう理解されているのか、全くわかりません。1点伺いますが、市長は、技術委員会の報告書をお読みになったのでしょうか。

(答弁)

 私どもが毎回の一般質問でダム問題を取り上げながら、熊本地震発災後の唯一の検証データとされている技術委員会報告書に目を通さないで、どうして公の場でダムの安全性について述べられるでしょうか。議事録まで入れても、わずか154ページの報告書です。目を通して答弁に立つべきではないでしょうか。市長としての責任が問われると思います。
 報告書を見る限り、国土交通省の検証は、結論先にありきで、安全性や流水ダム機能を適切に保つ保証はあいまいなものでした。それは、報告書の会議録を読んでみるとよくわかります。航空レーザー測量図による地震前後の地形的変化の比較を、事務局が「やっていない」と説明すると、委員長が「はっきりさせたほうがいいという意見なので、すすめていただきたい」と言われる。要するに、「後でやるから」で検証は進んでいきます。白川左岸の斜面の崩壊でも、委員からは「要注意ということで、斜面対策等に留意していただきたい」という意見が出されていました。流木等が詰まる問題では、委員長が「流木をなるべくダムで貯めたいというのはわかる。ただ実際にそれがどの程度できるかははっきりしていないわけです」と言われると、事務局は「今後どの程度、流木を補足していくのか考えなければならないと思っている」と答えられていました。要するに、さまざまな問題が未解決なままの結論でした。技術委員会の審議は、わずか3回・3週間で、結論を急ぐばかりに、十分な検証になっていないと思いました。しかも、委員は研究者・専門分野の肩書はあるものの、関係者ばかり。これで公平な立場で客観的な検証ができたかも疑問に思われます。
最後に一つ伺います。市長は、この問題で常に「国に伝える」という立場を繰り返してこられました。しかし、立野ダムが必要だという立場で発言なさるのであれば、発言したことについて、自ら市民への説明責任を果たすべきではないでしょうか。

(答弁)

全く説明責任を果たされようとしない姿勢でいいのでしょうか。
私は、2008年9月議会で、当時の田中信孝人吉市長が川辺川ダムの問題で発言されていたことを、議事録で興味深く拝見しました。田中市長は、議会の冒頭に、ダムの建設が球磨川水系の水質汚濁や自然環境の悪化に影響を及ぼす懸念があること、それが球磨川下り等にも影響し、人吉の経済や観光にも影響すること、建設予定地のダムサイトに絶滅危惧種のクマタカの生息も確認されていることから、かけがえのない生態系の均衡が崩れることなど、川辺川ダムの建設が、さまざまな形で環境や経済に影響を与えることから、「時のアセスメント」により、再検討を始めることも一つの考えと、約30分にわたり、大変丁寧な意見を述べられていました。国の事業ではあっても、自身の意見をきちんと表明される田中市長と、大西市長の先ほどの答弁は全く対照的です。
行政のトップには、ダムに限らず、市政の重要な課題について、市民に丁寧に説明する真摯な姿勢こそ必要ではないかと思います。

 質問は以上です。熊本地震の復興に始まり、縷々お尋ねしてまいりましたが、地震からやがて1年を迎える今、「真の復興とは何か」、立ち止まって考えなければならないと思います。
(最後に)
今年1月に、東日本大震災で大きな被害を受けた岩手県陸前高田市の戸羽太市長のお話を聞く機会がありました。戸羽市長は、「生きている限り、すべての人が幸せにならないといけない。市民が困っているのに、切り捨てるとすれば、それは政治じゃない。町のかたちや新しい市役所ができたから復興するわけじゃない。住んでいるひとりひとりがどれだけ笑顔になれるか、前を向けるか、それが復興ではないか。」と言われていました。450億円も使ってMICE施設ができても、住まいの再建もままならない人がいたら、それは真の復興とは言わないでしょう。住まいを再建し、心の傷も癒えて、すべての人が笑顔になった時、真に熊本地震からの復興ができたというのではないでしょうか。その日まで、市役所・議会ともに一丸となって頑張っていきましょう。その決意を申し述べまして、私の一般質問を終わります。
傍聴においでいただいたみなさま、インターネットで聞いていただいたみなさま、長時間ありがとうございました。

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 産業文化会館解体と花畑広場... | トップ | ヒイラギナンテンに花 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

熊本市議会」カテゴリの最新記事