うまがスラムダンクの続き

うまがスラムダンクを勝手にアレンジ。
スラムダンクの続きを書かせていただいています。

#427 【神奈川の作戦】

2011-06-27 | #13 神奈川 国体編
「ディーフェンス!!ディーフェンス!!ディーフェンス!!」

「オッオッオフェンス!!オッオッオフェンス!!オッオッオフェンス!!」

「ディーフェンス!!ディーフェンス!!ディーフェンス!!」

「オッオッオフェンス!!オッオッオフェンス!!オッオッオフェンス!!」




試合時間も残りわずかとなり、会場も異様な盛り上がりを見せている。



観客席に座る晴子は、両手を固く握り、祈るようにコートに視線を注ぐ。


隣の高頭もまた、扇子を仰ぐ余裕などなく、ただただ戦況を見つめていた。



記者席の中村は言葉を失い、弥生は試合の行方を予測しながら、ペンを走らせる。



愛知冨名腰監督は、ベンチに深く座り、静かに試合を見守っていた。




神奈川ベンチ。


汗を流す田岡の表情は曇っていて、隣の彦一の言葉も少なかった。



『ガタ。』


「タイムアウトをお願いします。」


安西は、最後の作戦を伝えるべくタイムアウトを要求した。




『ザシュ!!』




「また森重だーーー!!!!」

「もう怪物は止まらない!!!!」

「愛知決勝点だーーー!!」




力強さと上手さを兼ね備えた森重のポストプレーが、桜木を飲み込もうとしていた。


スロースターターではないが、試合が経過するにつれて、森重は存在感を増す。


それは、桜木を越える適応力・対応力が備わっていたためであった。


試合中に相手の動きを観察し、受け入れ、跳ね返す。


今、桜木を、神奈川を、跳ね返そうとしていた。



『ビィーーー!!』


「タイムアウト!白!!」




「はぁはぁはぁ。」

「ぜぇぜぇ。」


ここまで、オールコートであたり続けている清田らの呼吸は荒い。




だが、それは愛知も同様であった。


「ハァハァ。」

「なんて脚力してんだ・・・。」


「なんだ、もう音をあげたのか、河本、金田?」

冨名腰が挑発するように尋ねた。


「いや、別にあげてねぇし!」

「まだまだ!」


「秋田、いや山王のほうがもっと走るぞ!」

「・・・。そうすっね。こんなところで、弱音を吐くわけにはいなかいっすね。」

「とはいえ、お前らも40分近くよく走ってるよ。天野、こんな状態だ。時間を使って攻めろ。
何だったら、24秒になっちまってもかまわんぞ。
とにかく時間を使うんだ。決して早撃ちはするなよ!」

「了解しました。最後まで逃げ切ってやりますよ。」


「はぁはぁ。」

森重も激しい息遣いをしてながら、膝をさすっている。

「寛、大丈夫か。」

「問題ない。」




「このタイムがどう響くか。」

「どういうことですか。」

高頭に尋ねる晴子。


「冨名腰監督は、このタイムアウトで、時間を使って逃げ切る作戦を指示してくるだろう。
これでうちが望む速い展開はなくなったに等しい。残り時間も少ないこの状況、俄然厳しくなった。」

「でも、安西先生はそれでも勝てる作戦があるから、タイムアウトを取ったんですよね。」

「あぁ、そうだ。そうであってほしい。」




「天沼君、大泉君に代わり、白田君、黒川君、行きます。」

「!!!」

「!!!」

「はい。」


「安西先生!これではインサイドが3人に!!!」


「今の森重君はこれくらいでないと止められない。」


「・・・。」


「ディフェンスは、2-3。桜木君、白田君、黒川君、全力で森重君を止めてください。」


「はい!!」


「くそう!こうなったら、負けるよりマシだ!ハクタス!黒坊主!!
あのやろうにもう1点もやらねぇぞ!」


「はい!!」




「あっ、白田君と黒川君が準備している。
桜木君と大泉君を交代させて最後まで走りきるつもりですね!」

「本当にそうかしら。安西先生が、この場面で桜木君を交代するとは考えにくいわ。」




「安西先生!いくら森重を止めるからといって、後手に回ってはいけませぬぞ!
これでは、得点が獲れない!Fがいませんぞ!」


「大丈夫です。桜木君がいます。」


「!!!」


「えっ!!!」


「!!」


「なに!!」



『ピクッ。』



「もうワンランク上を目指すんですから。」


「わかったぜ、オヤジ!この勝負は、俺にかかっているというわけだな。」にや。


(どこまで桜木を信頼しているのですか・・・。
しかし・・・、こうなったら、仕方ない。)



『チラ。』


電光掲示板を見て、得点差、残り時間を確認する田岡。


「よぉし!安西先生の仰られるとおり、ディフェンスは2-3。
ハーフでしっかり守るんだ!」


「ハーフ!!」

「時間がねぇんだ!!」

「早くボールを奪わなきゃなんねぇんだぞ!!」


「残り時間2分、7点差。愛知が毎回オフェンスで24秒を使い切ると考えると、
少なくとも愛知は3回、うちには4回のオフェンスが回ってくる。
つまり、愛知のオフェンスを3回に押さえ全て封じる、
対してうちは4回のオフェンス全て得点に結びつけることができれば、逆転可能だ。
但し、うちに許された時間は、1回のオフェンスにつき12秒。12秒で、リングに沈めるんだ。」


「全て封じる・・・。」

「12秒のオフェンス・・・。」


「ただ、これは机上での計算だ。そう上手くいくとは思っていない。
清田、タイムコントロールは、お前に任せたぞ。」

「へっ、責任重大!大いに結構!かっかっか!」


「わかったぜ!じじい!全て止めて、全て決めればいいだけのことだな。簡単な話だ!」


「さっ桜木さん!!そんな簡単なことでは!!」

「そうやで!!」


「フン!貴様ら庶民とは、根本的な考え方が違う!!俺は勝つことしか考えねぇ!!」


「ふっ、その通りっすね。」

「やる前から負けていたら、そこで終わりだ。」

「よし!勝ったらこの天才のおかげ!!負けたらじじいの作戦ミス!!それでいいな!!」


「なっ!!!」

「OK!!」

「異存はないっす!!」

「責任は田岡監督ってことで。」


「なぬ!!
・・・・・・。わかった!責任は全て俺が負う!!だから、勝つんだ!!」


「おう!!!」


「安西先生、よろしかったでしょうか。」

「はい。素晴らしい作戦です。私にも勝利しか見えていません。」




愛知、神奈川の最後の戦いが始まった。




試合残り時間 2分03秒

愛知  90
神奈川 83







続く。