つれづれプラモ製作記

自称飛行機モデラー、プラモ作りとプラモ関係の活動記録

1945年8月15日午後四時頃(ファインモールド1/48彗星四三型完成!!)

2017-06-10 | ファインモールド1/48彗星四三型


 運命のあの日。1945年8月15日午後四時頃、海軍大分飛行場にて。

 「・・・宇垣中将は、折り畳み椅子の上に立ち上がった。その訓示を二村は殆ど茫然とする思いで聞いていた。(中略) 見送りに来たと思っていたのに、長官自らが特攻隊を率いるというのか。余りに異様な事態をどう理解していいのか分からなかった。「一億総決起の模範として死のう」といったとき、長官は手に持つ短剣をぐっと皆のほうに突き出すようにした。本当に長官も行かれるのだと思ったとき、二村一飛曹※2の興奮はきわまっていた。なんという光栄であろうかと奮い立つ思いであった。(「私兵特攻」松下竜一/新潮社より) 



 どうにか完成したよ、彗星四三型。
 彗星といえば液冷のものしか知らなかったのが、大分航空隊の跡に行き最後の特攻隊の碑を見、上記の本を読んで、これは大分県人として作らねばならぬと思い、とにかく作り始めたはいいけれど、若干作りにくいのと自分の塗装の失敗などでずるずると時間が経過、さらに私生活でもいろいろ大変な事態が勃発、途中から苦しさが三倍くらいになった。

 それでもやはり模型作りは楽しいし、こうして完成したときの喜びといったら、ありませんね。すべての辛いことは吹っ飛ぶ。
 我ながらカッチョええではありませんか。
 そう、完成したもん勝ち。どうだどうだ。少しくらいうまくいってなくても、気にしない。



 最後にキャノピーのマスキングを剥がして、目の前に全体像が姿を現したとき・・・・思わず号泣!!
 いやまぁ、てへへ、号泣とまで言うと大げさですが、思わず「うぅぅぅ」っていうくらい涙があふれたんだよ。
 自分の作った模型見て泣いたのなんて初めて。「私大丈夫か!?」と動揺したけどね。

 多分、彗星を作ることの苦難だけではなく、この機体を操縦した中津留大尉※1、偵察員・遠藤秋章飛曹長、後席の宇垣纒長官の最後の特攻の情景を常に思い描き、そしてこの三か月に及ぶ私の個人的にキツイ日々、それらがいっぺんに胸の奥から流れ出たからだと思う。

 ちなみに少し薄いところなどタッチアップ。そんな完璧にはマスキングできたためしがない。



 ラッカーをブラシで吹いて、エナメルでスミ入れ。
 最初白っぽいグレーでスミ入れしてみたんだけど、何か不自然だったので、結局かなり黒いグレーで。裏側はこげ茶色でスミ入れしてます。最後に半ツヤクリアーを吹いた。アンテナ線はカステンのストレッチリギング(伸縮性あり)です。

 マーキングは数字や文字以外は塗装。ウォークウェイはデカールにしようと思ったらうまく貼れなくて結局塗装して・・・あまりうまくいってない。最初から塗装すりゃよかった。
 あ、リベットは上面だけに打っている。しかもかなり省略。これが私の作風(笑い)



 キャノピーは冗談かよ!!っていうくらい、ものすごく分厚いんだけど、ハセガワのセラミックコンパウンドで磨いてポリマーで仕上げるとピカピカになって中がよく見えていいね。けっこうこれでいい感じだと思う。
 自作のシートベルトなんかもチラ見えして満足。ただし、キャノピーは微妙にずれている(汗

 胴体下に800kg爆弾を抱えてるけど、大きすぎてハミ出してます。うふふ。
 主翼端の塗料が薄いのかなあ、もう一度吹くかなあ、いやだなあ面倒だなあ・・・・汗

 この機体を最後に撮影した写真が「私兵特攻」などにあるけれど、それ見て「げげっ!!」と気が付いた(完成後)、アンテナ線がもう一本見えてる・・・・なんで気が付かなかったんだろう、悔しいなあ。どのへんにどうつければいいかわからないので、これは無視。



 それともうひとつ大失敗は、第一風防の照準器の前あたり、全然塗装していない(汗 塗装忘れたか・・・
 第一風防外そうかと一瞬思ったけど、もういいや←おい!!
 大分県人の恥ですが、ここはもう・・・いいわ、全体的に恥さらしな製作記だから。今更これくらいの失敗で動じるような私ではない。

 排気管後ろの焼けてる具合は自分で「こんなもんかなあ」という推測で焼けさせた。
 塗装したらパテが浮き上がってきている部分もあちこちあって、もうトホホの集積。

 敵味方識別帯は左翼のほうを何度もタッチアップしたせいで、左翼が濃い黄色になっちまった。
 うまくいってないところを上げればきりがないけど、いいところを探してみてください。



 ガンプラの赤と青色の透明ランナーを使って翼端灯を作った。まぁまぁの出来か。
 ピトー管は真鍮パイプと真鍮線。若干長すぎるかも。



 銀剥がれは、実機写真見るとそんなに剥がれていないように見えるけど、演出として少し施した。難しかった。今回は珍しく描き込んだけど(72のときは先に銀色塗装しておいて爪楊枝で剥がす)、どうもうまくいかない。経験値でしょうねこういうのは。

 全体の色もなんでこんなヘンテコリンな色になんだ?と思うでしょうけど、これは自分の好きな色で塗装してるから。
 クレオスの三菱色だと、ご存じ青々としたグリーンです。

 だけど、8月15日の大分航空隊の西日を受けた機体・・・砂埃と容赦ない太陽の照り付ける、日本全体がガックリと生気を失った日の三菱色っていうのは、こういうふうに見えたんじゃないかと、思い切って色褪せた緑色にしてみた。
 


 何はともあれ、完成は目出度い。
 そして彗星は悲しいほどに美しい。

 はじめて大分飛行場からの最後の特攻を知ったとき、嫌悪感を覚えた。なんでよりによって大分から飛んだんだろう。そして次に「宇垣長官が一人で自決すれば済んだんじゃないか」と思った。そしてまた戦史を少しずつ読んでいくと・・・私なんぞが軽々しく言うべき言葉がなくなってしまった。去年、大分飛行場跡に建てられた簡素な碑(終戦後の出撃だったので名前のみで位階は記載されていない)を見たあと、これは絶対に作らないといけないと思った。今平和な時代に生きて何が幸せかって、こういう飛行機がキット化されているってことではないだろうか。モデラーは幸せだよ。

 二週間くらい前だったか(五月の終わり)、夜10時過ぎ頃そろそろ布団を敷こうかなと思って窓を閉めようとした瞬間、網戸に何かがピカリ、と光るのを見つけた。
 顔を近づけてよくみると、それは珍しい・・・ホタルだった。
 もうホタルの季節? ちょっと早くない? うちの近所にはホタルの住むような清流はないと思うから、誰かが捕まえてきたのを放したのか。
 神秘的なその明かりが、小さいけれど力強く瞬いているのをじっと見ていたら、ああそうか、中津留大尉が来てくれたに違いないと、胸が熱くなった。ありがとう。

 模型の神様はちゃんと見てくれているんだね。

 ※1.中津留達雄大尉(海兵70期 大分県津久見市出身) 「指揮官たちの特攻」城山三郎著を参照ください
 ※2.二村治和一飛曹(甲飛十二期)は、最後の特攻機の中の一機を操縦していたが、途中鹿児島上空にてエンジン不調、川内市に不時着し生還している。「私兵特攻」の中ではこれらの生還した隊員たち(三機)から丹念に話を聞いている
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12 コメント

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若者を道連れの身勝手さ (Gちゃん)
2017-06-10 23:12:17
完成おめでとうございます。
塗装の接がし具合がリアルです。いろんな方の剥がしを見ましたが、少ない剥がしが妙にリアルだと感じます。
長官がなぜ若い者を道連れに意味ない特攻に出発したのか。いろんな説が流れてます。そんなことを思いながら見てます。
岡山には長官の生家があります。
もし、機会がありましたら、ご案内させていただきますね。
完成おめでとうございます (塾長)
2017-06-10 23:31:31
>涙があふれた

万感胸に溢れる、という感じでしょうか。
単なる作業じゃない、心の動きが伴う「製(創)作」だからこそ味わえる醍醐味というところですね。
ともあれ何やかにやでお疲れ様でした。完成に辿り着いた者だけが味わえる束の間の模型天国、存分にお楽しみください。
完成おめでとう (ひげオヤジ)
2017-06-11 00:58:39
模型を作るときの思い入れってとても大切ですよね。
昔、先輩に『あなたの好きな機体は何ですか?』と聞いたときに、しばらく考えてこう答えられました。『うぅん、そうだなぁ今作っている機体じゃないかなぁ……。』
それを聞いて自分も納得してしまいました。確かに、作っているときに、それなりにその機体を調べて、人と同じじゃ嫌だからと思い写真などを参考に、どの塗装にしようか悩むとき、その期待に惚れ込んでしまうことが多いですよね。
そして、その作品には自分なりの物語がついてくるものです。ジオラマが作れない私ですが、完成した作品には私だけが見える物語があるんです。
そういえば、きららさんの作品は『つれづれコンペ』のテーマ『空冷エンジンの機体』完成第1号ですね。
Unknown (0戦はやと)
2017-06-11 07:36:17
完成おめでとうございます。今回は他人事のコメントでもう島化ございませんがご自身制作中、いろいろ大変でしたね~でもそれだけ思い入れのある作品に仕上がったのだと思います。長い間生きております「この曲を聴くと当時のことが走馬灯の如くよみがえる」ことがございますが、そんな作品になりましたね。大切になさってください。
パチパチ♪ (tetzz)
2017-06-11 09:42:49
きらら審査委員長 完成おめでとうございます。審査委員長自ら複座編のオオトリですね。雰囲気出てていい感じじゃないですか。自分の彩雲と並べてみたいですよ。きらコンの次回以降のお題、渋いとこ突きますね。自分なりに予想していたのですが一つしか当たってなかった。今から何にしようか悩みます。複座編参加の皆様、今回も作品のアップとコメント、審査ときらちゃんお疲れ様でした。気合いを入れて作らねば!です。
Unknown (TSAM)
2017-06-11 09:51:16
苦節3ヶ月、お母様大変な時期に頑張りましたね。このキット 作り難いという噂はよく聞きますから当にご苦労様でした。良い雰囲気に仕上がってますね、静岡のなんJブースはちと苦しいからウチの展示ブースへいかが。
御礼 (きらら)
2017-06-11 10:09:16
>Gちゃんさん
剥がし方が難しく、ぜんぜん上手くいったとは思えなかったんですが、そう言われてうれしいです。
そうですね、長官の特攻については考えても考えてもわかるものではありません。今ほかにも本を読んだりしてます。いつか長官の生家や碑にも訪れてみたいです。長官が書き続けた「戦藻録」という記録が実に克明で、句なども書きつけてあり、今生きていたら良いエッセイを書いてくれそうな感じもします。

>塾長さん
はい、自分の作品は拙い出来ですが、「ああこれがあの日の彗星だったのか」と思うと、万感胸に迫る(大げさだけど)ものがありました。模型も私生活も苦しい戦いでした。
ともかく形になってしまえばこっちのもの、眺めて楽しんでいます。

>ひげオヤジさん
ありがとうございます。その先輩の言われたのは、とても深い言葉ですね。しみじみと感じます。
単に機体が好きというより、今回は本などを読んで感銘して作ったので、妙に力が入ったわりには内容の伴わない出来になりましたが、一昨年作ったハセガワの紫電改と比較するとキットそのものの違いなども歴然としており、モデラーとしても非常に勉強になりました。
ジオラマでなくても、自分だけの見える物語がある・・・それですね!! まさにそれが模型の醍醐味ですよね。
あ、空冷エンジンでもありますが、実は「複座」のテーマに沿ってるつもりでした…汗 

>0戦はやとさん
どうもお気遣いありがとうございます。
確かに、曲を聞くとあの頃が・・・というのはいろいろあります。この機体とは辛い経験が重なることになったのかなあ、それもまた因縁というか。
みなさんは、少年時代に心を躍らせたマンガ等の日本機のイメージあるんでしょうが、私には残念ながら敗戦と結びつくイメージしかないんです。多分これからもその無念をぶつけていきます。

リベット (きらら)
2017-06-11 10:16:45
>tetzzさん
お言葉うれしいです。彩雲とならべさせてもらいたいですね、なんちゃってリベット同士・・・笑 演出命!!
はい、実は知らぬうちにつれづれコンペのお題に沿って自分も作っていたのでした。
次回お題は、無理やり季節にこじつけたつもりです。広い解釈でどうぞ。またお待ちしています。模型ってみれば見るほどみなさんの個性が素晴らしく、そこを審査するのって難しいです。

>TSAMさん
どうもありがとうございます どこかで見ていただきたいと思ってます。
ほんと苦しい日々でした。スミ入れしてみたら流れにくいので、少し彫りなおしたほうがいいかなって感じもありました。上反角とかも自信ないですし・・・キャノピーの枠の塗装が薄いところなんかもまだ少しタッチアップしなくちゃ(汗
ファインモールドの社長に会うときが楽しみだなぁ・・・うふふ
謹賀完成 (はつたか)
2017-06-11 13:01:52
搭乗員の魂が乗り移ったかのような作品ですね。
蛍が来た話、ドラマの様です。なんというタイミング・・
ちょいと胸に迫りました。
色も好いですね。実際と違っても、実にリアルです。
ただ、言い難いんですけど、プロペラが前下がりになってる様な?(言うてるやんけ)目の錯覚かな?
つれづれコンペ、製作開始しました。

完成おめでとう御座います (てつ三郎)
2017-06-12 00:57:04
初めてコメントしました。
とは言っても、少々昔、カブさん率いる南北連合でお会いしたことがありますが、私は飛行機には疎く、お話もほとんどできず、また、ブログは時折拝見するばかりでした。
今回、素敵な作品とコメントに思わず一筆させて頂きました。
ホタルのくだりは、何か運命的で心に響きました。
いろいろとお忙しい日々を過ごされているようですが、お体はくれぐれも大事にされ、素敵な作品・ブログを続けて下さい。
ホタルの光 (きらら)
2017-06-12 22:05:15
>はつたかさん
ありがとうこざいます。ホタルが本当に実にすごいタイミングでやってきたので、これは絶対に間違いないと思いました。あの光はなんだか人工物ではないかと思えるほどにハッキリしてますよね。
さすがモデラーの目はごまかせませんね、ちょっと気を許すと下向きになってしまいます。「ちょん♪」と指先で押してやるともとに戻ります・・・もう50代ですから許してやってください(汗

>てつ三郎さん
見ていただきありがとうございます。
以前静岡でご一緒したときは、こちらこそ、お話すればよかったと今頃思ってます、一期一会なのに。
ホタルに思いが通じたのかなと、自分でも信じられないようなうれしいような・・・下手くそな出来ですけれど、一機でも作れてよかったなあと・・・
お気遣いうれしいです、まだまだ親のことで行ったり来たりが続きますけど、模型を心の支えにしていきたいです。

Unknown (てつ三郎)
2017-06-12 23:08:40
突然のメールは失礼かと心配でしたが、お返事いただき安堵しました。ありがとうございます。
次回お会い出来る日が来ることを楽しみにしておきます。

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