弁護士法人かごしま 上山法律事務所 TOPICS

業務の中から・・報道を見て・・話題を取り上げます。

穂村公亮(ほむらこうすけ)弁護士 が  弁護士法人かごしま 上山法律事務所に入所しました。

2017-01-05 | 事務所からのご案内
謹啓
 初春の候、皆様方におかれましては、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
 さて、この度、当事務所に穂村公亮(ほむらこうすけ)弁護士を迎えることになりましたのでご紹介します。
 穂村弁護士は、鹿児島県鹿屋市出身の28歳です。佐賀大学経済学部経営法律過程、熊本大学法科大学院を卒業し、新司法試験に合格しました。
その後、69期司法修習を修了し、縁あって、当事務所で弁護士生活を始める運びとなりました。
 穂村弁護士は、何事にも誠実に取り組む勤勉さを具え、地元鹿児島に根差した法曹を目指して精進してきた弁護士です。
 今後は、私どもと一緒に研鑽を積み、法曹としての役割を果たすとともに当事務所にも貢献してくれるものと期待しております。
 私どもは、穂村弁護士を迎え、これまで以上のリーガル・サービスの提供に努めてまいる所存ですので、
皆様、今後とも、当事務所及び穂村弁護士に対するご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

                                                    敬白
  平成29年 1月 5日
   
 弁護士法人かごしま   上 山 法 律 事 務 所
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新年あけましておめでとうございます

2017-01-01 | 事務所からのご案内
平成29年  2017年  の  幕開けです。

皆様、あけましておめでとうございます。


今年一年、皆様にとって素晴らしい年になりますように。

酉年は 飛躍飛翔の年 です。


依頼者、顧問先、そして社会の皆様のお役に立てる事務所を目指して精進します。


本年もどうぞ、よろしくお願いします。
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弁護士法人かごしま  上山法律事務所  年末年始の営業のご案内

2016-12-28 | 事務所からのご案内


当事務所の 年末年始の営業時間について お知らせします。



平成28年は 12月28日 (水)までの営業になります。


新年 平成29年 (2017年) 1月 4日 (水)まで



お休みをいただきます。


新年は
  
 
 1月 5日 (木) から  
 
                 営業を開始します。



よろしくお願いします。


皆様、一年本当にお世話になりました。

良い年をお迎えください。 来年は酉年です。お互いに飛翔の年といたしましょう。
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預貯金債権と遺産分割についての最高裁判例

2016-12-23 | 家事
平成27年(許)第11号 遺産分割審判に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
平成28年12月19日 大法廷決定

主 文
原決定を破棄する。
本件を大阪高等裁判所に差し戻す。
理 由
抗告代理人久保井一匡ほかの抗告理由について
1 本件は,Aの共同相続人である抗告人と相手方との間におけるAの遺産の分割申立て事件である。
2 原審の確定した事実関係の概要等は,次のとおりである。
(1) 抗告人は,Aの弟の子であり,Aの養子である。相手方は,Aの妹でありAと養子縁組をしたB(平成14年死亡)の子である。
(2) Aは,平成24年3月▲日に死亡した。Aの法定相続人は,抗告人及び相手方である。
(3) Aは,原々審判別紙遺産目録記載の不動産(価額は合計258万1995円。以下「本件不動産」という。)のほかに,別紙預貯金目録記載の預貯金債権(以下「本件預貯金」と総称する。)を有していた。抗告人と相手方との間で本件預貯金を遺産分割の対象に含める合意はされていない。
Bは,Aから約5500万円の贈与を受けており,これは相手方の特別受益に当たる。
3 原審は,上記事実関係等の下において,本件預貯金は,相続開始と同時に当然に相続人が相続分に応じて分割取得し,相続人全員の合意がない限り遺産分割の対象とならないなどとした上で,抗告人が本件不動産を取得すべきものとした。
4 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。
(1) 相続人が数人ある場合,各共同相続人は,相続開始の時から被相続人の権利義務を承継するが,相続開始とともに共同相続人の共有に属することとなる相続財産については,相続分に応じた共有関係の解消をする手続を経ることとなる(民法896条,898条,899条)。そして,この場合の共有が基本的には同法249条以下に規定する共有と性質を異にするものでないとはいえ(最高裁昭和28年(オ)第163号同30年5月31日第三小法廷判決・民集9巻6号793頁参照),この共有関係を協議によらずに解消するには,通常の共有物分割訴訟ではなく,遺産全体の価値を総合的に把握し,各共同相続人の事情を考慮して行うべく特別に設けられた裁判手続である遺産分割審判(同法906条,907条2項)によるべきものとされており(最高裁昭和47年(オ)第121号同50年11月7日第二小法廷判決・民集29巻10号1525頁参照),また,その手続において基準となる相続分は,特別受益等を考慮して定められる具体的相続分である(同法903条から904条の2まで)。このように,遺産分割の仕組みは,被相続人の権
利義務の承継に当たり共同相続人間の実質的公平を図ることを旨とするものであることから,一般的には,遺産分割においては被相続人の財産をできる限り幅広く対象とすることが望ましく,また,遺産分割手続を行う実務上の観点からは,現金のように,評価についての不確定要素が少なく,具体的な遺産分割の方法を定めるに当たっての調整に資する財産を遺産分割の対象とすることに対する要請も広く存在することがうかがわれる。
ところで,具体的な遺産分割の方法を定めるに当たっての調整に資する財産であるという点においては,本件で問題とされている預貯金が現金に近いものとして想起される。預貯金契約は,消費寄託の性質を有するものであるが,預貯金契約に基づいて金融機関の処理すべき事務には,預貯金の返還だけでなく,振込入金の受入れ,各種料金の自動支払,定期預金の自動継続処理等,委任事務ないし準委任事務の性質を有するものも多く含まれている(最高裁平成19年(受)第1919号同21年1月22日第一小法廷判決・民集63巻1号228頁参照)。そして,これを前提として,普通預金口座等が賃金や各種年金給付等の受領のために一般的に利用されるほか,公共料金やクレジットカード等の支払のための口座振替が広く利用され,定期預金等についても総合口座取引において当座貸越の担保とされるなど,預貯金は決済手段としての性格を強めてきている。また,一般的な預貯金については,預金保険等によって一定額の元本及びこれに対応する利息の支払が担保されている上(預金保険法第3章第3節等),その払戻手続は簡易であって,金融機関が
預金者に対して預貯金口座の取引経過を開示すべき義務を負うこと(前掲最高裁平成21年1月22日第一小法廷判決参照)などから預貯金債権の存否及びその額が争われる事態は多くなく,預貯金債権を細分化してもこれによりその価値が低下することはないと考えられる。このようなことから,預貯金は,預金者においても,確実かつ簡易に換価することができるという点で現金との差をそれほど意識させない財産であると受け止められているといえる。共同相続の場合において,一般の可分債権が相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されるという理解を前提としながら,遺産分割手続の当事者の同意を得て預貯金債権を遺産分割の対象とするという運用が実務上広く行われてきているが,これも,以上のような事情を背景とするものであると解される。
(2) そこで,以上のような観点を踏まえて,改めて本件預貯金の内容及び性質を子細にみつつ,相続人全員の合意の有無にかかわらずこれを遺産分割の対象とすることができるか否かにつき検討する。
ア まず,別紙預貯金目録記載1から3まで,5及び6の各預貯金債権について検討する。
普通預金契約及び通常貯金契約は,一旦契約を締結して口座を開設すると,以後預金者がいつでも自由に預入れや払戻しをすることができる継続的取引契約であり,口座に入金が行われるたびにその額についての消費寄託契約が成立するが,その結果発生した預貯金債権は,口座の既存の預貯金債権と合算され,1個の預貯金債権として扱われるものである。また,普通預金契約及び通常貯金契約は預貯金残高が零になっても存続し,その後に入金が行われれば入金額相当の預貯金債権が発生する。このように,普通預金債権及び通常貯金債権は,いずれも,1個の債権として同一性を保持しながら,常にその残高が変動し得るものである。そして,この理は,預金者が死亡した場合においても異ならないというべきである。すなわち,預金者が死亡することにより,普通預金債権及び通常貯金債権は共同相続人全員に帰属するに至るところ,その帰属の態様について検討すると,上記各債権は,口座において管理されており,預貯金契約上の地位を準共有する共同相続人が全員で預貯金契約を解約しない限り,同一性を保持しながら常にその残高が変動し得るもの
として存在し,各共同相続人に確定額の債権として分割されることはないと解される。そして,相続開始時における各共同相続人の法定相続分相当額を算定することはできるが,預貯金契約が終了していない以上,その額は観念的なものにすぎないというべきである。預貯金債権が相続開始時の残高に基づいて当然に相続分に応じて分割され,その後口座に入金が行われるたびに,各共同相続人に分割されて帰属した既存の残高に,入金額を相続分に応じて分割した額を合算した預貯金債権が成立すると解することは,預貯金契約の当事者に煩雑な計算を強いるものであり,その合理的意思にも反するとすらいえよう。
イ 次に,別紙預貯金目録記載4の定期貯金債権について検討する。
定期貯金の前身である定期郵便貯金につき,郵便貯金法は,一定の預入期間を定め,その期間内には払戻しをしない条件で一定の金額を一時に預入するものと定め(7条1項4号),原則として預入期間が経過した後でなければ貯金を払い戻すことができず,例外的に預入期間内に貯金を払い戻すことができる場合には一部払戻しの取扱いをしないものと定めている(59条,45条1項,2項)。同法が定期郵便貯金について上記のようにその分割払戻しを制限する趣旨は,定額郵便貯金や銀行等民間金融機関で取り扱われている定期預金と同様に,多数の預金者を対象とした大量の事務処理を迅速かつ画一的に処理する必要上,貯金の管理を容易にして,定期郵便貯金に係る事務の定型化,簡素化を図ることにあるものと解される。郵政民営化法の施行により,日本郵政公社は解散し,その行っていた銀行業務は株式会社ゆうちょ銀行に承継された。ゆうちょ銀行は,通常貯金,定額貯金等のほかに定期貯金を受け入れているところ,その基本的内容が定期郵便貯金と異なるものであることはうかがわれないから,定期貯金についても,定期郵便貯金と同様の
趣旨で,契約上その分割払戻しが制限されているものと解される。そして,定期貯金の利率が通常貯金のそれよりも高いことは公知の事実であるところ,上記の制限は,預入期間内には払戻しをしないという条件と共に定期貯金の利率が高いことの前提となっており,単なる特約ではなく定期貯金契約の要素というべきである。し
かるに,定期貯金債権が相続により分割されると解すると,それに応じた利子を含めた債権額の計算が必要になる事態を生じかねず,定期貯金に係る事務の定型化,簡素化を図るという趣旨に反する。他方,仮に同債権が相続により分割されると解したとしても,同債権には上記の制限がある以上,共同相続人は共同して全額の払戻しを求めざるを得ず,単独でこれを行使する余地はないのであるから,そのように解する意義は乏しい。
ウ 前記(1)に示された預貯金一般の性格等を踏まえつつ以上のような各種預貯金債権の内容及び性質をみると,共同相続された普通預金債権,通常貯金債権及び定期貯金債権は,いずれも,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく,遺産分割の対象となるものと解するのが相当である。
(3) 以上説示するところに従い,最高裁平成15年(受)第670号同16年4月20日第三小法廷判決・裁判集民事214号13頁その他上記見解と異なる当裁判所の判例は,いずれも変更すべきである。
5 以上によれば,本件預貯金が遺産分割の対象とならないとした原審の判断には,裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨は,この趣旨をいうものとして理由があり,原決定は破棄を免れない。そして,更に審理を尽くさせるため,本件を原審に差し戻すこととする。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。なお,裁判官岡部喜代子の補足意見,裁判官大谷剛彦,同小貫芳信,同山崎敏充,同小池裕,同木澤克之の補足意見,裁判官鬼丸かおる,同木内道祥の各補足意見,裁判官大橋正春の意見がある。
裁判官岡部喜代子の補足意見は,次のとおりである。
共同相続が発生したとき,相続財産は民法898条,899条により相続分に応じた共有となる。その財産が金銭の給付を目的とする債権であっても同様である。当該債権については民法264条の規律するところになるのであるが,同条の特則としての民法427条により相続人ごとに分割されて相続人の数だけ債権が存在することとなると考えられているところである。しかし,共同相続においては上記のとおりまず準共有状態が発生するのであるから,分割を阻害する要因があれば,分割されずに準共有状態のまま存続すると解することが可能である。普通預金契約(通常貯金契約を含む。以下同じ。)の本体は消費寄託契約ではあるが,そればかりではなく,付随して口座振替等の準委任契約が締結されることも多いのであっ
て,普通預金が決済手段としての性格を強めていることは多数意見の指摘するとおりである。そうすると,普通預金債権を共同相続した場合には,共同相続人は同時に準委任契約上の権利義務もまた相続により承継することになる。例えば口座振替契約の解約を行う場合は,それは性質上不可分な形成権の行使であり,かつ,処分行為であるから民法251条により相続人全員で行わなければならない。ところが預貯金債権が当然に分割され各人の権利行使が認められることになると,共同相続人の一人が自己の持分に相当する預貯金を全額払い戻して預貯金債権を行使する必要がなくなる結果,預貯金契約自体あるいは口座振替契約等についての処理に支障が生ずる可能性がある。また,各別の預貯金債権の行使によって,1個の預貯金契約ないし一つの口座中に,共同相続人ごとに残高の異なる複数の預貯金債権が存在するという事態が生じざるを得ない。このような事態は,振込等があって残高が変動しつつも同一性を保持しながら1個の債権として存続するという普通預金債権の性質に反する状況ともいい得るところであり,また普通預金契約を締結する当事者の意思としても認めないところであろう。共同相続の場合には,普通預金債権について相続人各別の行使は許されず,準共有状態が存続するものと解することが可能となる。以上のとおりであるから,多数意見の結論は,預貯金債権について共同相続が発生した場合に限って認められるものであろう。
ところで,私は,民法903条及び904条の2の文理並びに共同相続人間の実質的公平を実現するという趣旨に鑑みて,可分債権は共同相続により当然に分割されるものの,上記各条に定める「被相続人が相続開始の時において有した財産」には含まれると解すべきであり,分割された可分債権の額をも含めた遺産総額を基に具体的相続分を算定し,当然分割による取得額を差し引いて各相続人の最終の取得額を算出すべきであると考えている。従前は預貯金債権も当然に分割される可分債権に含まれると考えてきた。しかし,最高裁判所が権利の性質を詳細に検討して少しずつ遺産分割の対象財産に含まれる権利を広げてきたという経緯,預貯金債権も遺産分割の対象とすることが望ましいとの結論の妥当性,そして上記のとおり理論的にも可能であるという諸点から多数意見に賛同したいと思う。ただ,当然に分割されると考えられる可分債権はなお各種存在し,預貯金債権が姿を変える場合もあり得るところ,それらについては上記のとおり具体的相続分の算定の基礎に加えるなどするのが相当であると考える。
裁判官大谷剛彦,同小貫芳信,同山崎敏充,同小池裕,同木澤克之の補足意見は,次のとおりである。
従来,預貯金債権は相続開始と同時に当然に各共同相続人に分割され,各共同相続人は,当該債権のうち自己に帰属した分を単独で行使することができるものと解されていたが,多数意見によって遺産分割の対象となるものとされた預貯金債権は,遺産分割までの間,共同相続人全員が共同して行使しなければならないこととなる。そうすると,例えば,共同相続人において被相続人が負っていた債務の弁済をする必要がある,あるいは,被相続人から扶養を受けていた共同相続人の当面の生活費を支出する必要があるなどの事情により被相続人が有していた預貯金を遺産分割前に払い戻す必要があるにもかかわらず,共同相続人全員の同意を得ることができない場合に不都合が生ずるのではないかが問題となり得る。このような場合,現行法の下では,遺産の分割の審判事件を本案とする保全処分として,例えば,特定の共同相続人の急迫の危険を防止するために,相続財産中の特定の預貯金債権を当該共同相続人に仮に取得させる仮処分(仮分割の仮処分。家事事件手続法200条2項)等を活用することが考えられ,これにより,共同相続人間の実質的公平を確保しつつ,個別的な権利行使の必要性に対応することができるであろう。もとより,預貯金を払い戻す必要がある場合としてはいくつかの類型があり得るから,それぞれの類型に応じて保全の必要性等保全処分が認められるための要件やその疎明の在り方を検討する必要があり,今後,家庭裁判所の実務において,その適切な運用に向けた検討が行われることが望まれる。
裁判官鬼丸かおるの補足意見は,次のとおりである。
私は,多数意見に賛同するものであるが,普通預金債権及び通常貯金債権の遺産分割における取扱いに関して,以下のとおり私見を付したい。
1 遺産分割とは,被相続人の死亡により共同相続人の遺産共有に属することとなった個々の相続財産について,その共有関係を解消し,各共同相続人の単独所有又は民法第2編第3章第3節の共有関係にすることであるから,遺産分割の対象となる財産は,相続開始時に存在し,かつ,分割時にも存在する未分割の相続財産であると解される。そして,多数意見が述べるとおり,普通預金債権及び通常貯金債権は相続開始と同時に当然に分割される債権ではないから,相続人が数人ある場合,共同相続人は,被相続人の上記各債権を相続開始時の残高につき準共有し,これは遺産分割の対象となる。一方,相続開始後に被相続人名義の預貯金口座に入金が行われ,その残高が増加した分については,相続を直接の原因として共同相続人が権利を取得するとはいえず,これが遺産分割の対象となるか否かは必ずしも明らかでなかった。
しかし,多数意見が述べるとおり,上記各債権は,口座において管理されており,預貯金契約上の地位を準共有する共同相続人が全員で預貯金契約を解約しない限り,同一性を保持しながら常にその残高が変動し得るものとして存在するのであるから,相続開始後に被相続人名義の預貯金口座に入金が行われた場合,上記契約の性質上,共同相続人は,入金額が合算された1個の預貯金債権を準共有することになるものと解される。
そうすると,被相続人名義の預貯金債権について,相続開始時の残高相当額部分は遺産分割の対象となるがその余の部分は遺産分割の対象とならないと解することはできず,その全体が遺産分割の対象となるものと解するのが相当である。多数意見はこの点について明示しないものの,多数意見が述べる普通預金債権及び通常貯金債権の法的性質からすると,以上のように解するのが相当であると考える。
2 以上のように解すると,①相続開始後に相続財産から生じた果実,②相続開始時に相続財産に属していた個々の財産が相続開始後に処分等により相続財産から逸出し,その対価等として共同相続人が取得したいわゆる代償財産(例えば,建物の焼失による保険金,土地の売買代金等),③相続開始と同時に当然に分割された可分債権の弁済金等が被相続人名義の預貯金口座に入金された場合も,これらの入金額が合算された預貯金債権が遺産分割の対象となる(このことは,果実,代償財産,可分債権がいずれも遺産分割の対象とならないと解されることと矛盾するものではない。)。この場合,相続開始後に残高が増加した分については相続開始時に預貯金債権として存在したものではないところ,具体的相続分は相続開始時の相続財産の価額を基準として算定されるものであることから(民法903条,904条の2),具体的相続分の算定の基礎となる相続財産の価額をどう捉えるかが問題となろう。この点については,相続開始時の預貯金債権の残高を具体的相続分の算定の基礎とすることが考えられる一方,上記②,③の場合,当該入金額に相当する財
産は相続開始時にも別の形で存在していたものであり,相続財産である不動産の価額が相続開始後に上昇した場合等とは異なるから,当該入金額に相当する相続開始時に存在した財産の価額を具体的相続分の算定の基礎に加えることなども考え得るであろう。もっとも,具体的相続分は遺産分割手続における分配の前提となるべき
計算上の価額又はその価額の遺産の総額に対する割合を意味するのであるから(最高裁平成11年(受)第110号同12年2月24日第一小法廷判決・民集54巻2号523頁参照),早期にこれを確定することが手続上望ましいところ,後者の考え方を採る場合,相続開始後の預貯金残高の変動に応じて具体的相続分も変動し得ることとなり,事案によっては具体的相続分の確定が遅れかねないなどの遺産分割手続上の問題が残される。従来から家庭裁判所の実務において,上記①~③の財産も,共同相続人全員の合意があれば具体的相続分の算定の基礎ないし遺産分割の対象としてきたとみられるところであり,この問題については,共同相続人間の実質的公平を図るという見地から,従来の実務の取扱いとの均衡等も考慮に入れて,今後検討が行われることが望まれよう。
裁判官木内道祥の補足意見は,次のとおりである。
私は多数意見に賛同するものであるが,以下のとおり,私見を付加しておきたい。
多数意見は,遺産分割の仕組みが共同相続人間の実質的公平を図ることを旨として相続により生じた相続財産の共有状態の解消を図るものであり,被相続人の財産をできる限り幅広く対象とすることが望ましいことを前提に,預貯金が現金に極めて近く,遺産分割における調整に資する財産であることなどを踏まえて,本件で問題となっている各預貯金債権の内容及び性質に照らし,上記各債権が共同相続人全員の合意の有無にかかわらず遺産分割の対象となるとしたものであると理解することができる。
私は,以上の点に加えて,預貯金債権は,その額面額をもって価額と評価することができることからしても,共同相続人全員の合意の有無にかかわらず遺産分割の対象となると考えるものである。遺産分割の審判においては,各相続人の具体的相続分の算定と取得財産の決定という二つの場面で,個別の相続財産の価額を評価することが求められる。前者については,被相続人が相続開始時において有した財産,遺贈や生前贈与として持ち戻される財産の価額に基づいて,寄与分を考慮した上で,各相続人の具体的相続分の価額及び割合が算定される(民法903条,904条の2)。後者については,遺産分割時に存在する財産をその時点の価額で評価した上で,各相続人の具体的相続分の割合に応じて,各相続人が取得する財産が定められる。しかるに,債権については,その有無,額面額及び実価(評価額)について共同相続人全員の合意がある場合を除き,一般的に評価が困難というべきである。そのため,債権を広く一般的に遺産分割の対象としようとすると,各相続人の具体的相続分の算定や取得財産の決定が困難となり,遺産分割手続の進行が妨げられ,その他の相続財産についても遺産分割の審判をすることができないという事態を生ずるおそれがある。共有状態にある相続財産については各相続人の権利行使が制約されることを考慮すると,このような状態はなるべく早く解消されるべきである。遺産分割の審判においては,共同相続人間の実質的公平を図るために特別受益の持戻しや寄与分の考慮を経て具体的相続分を算定して遺産分割が実現されるところ,債権を広く一般的に遺産分割の対象としようとして具体的相続分の算定が困難となり,その他の相続財産についても遺産分割の審判をすることができず,相続財産に対する各相続人の権利行使が制約される状態が続くことは,遺産分割審判制度の趣旨に反する。したがって,額面額をもって実価(評価額)とみることができない可分債権については,上記合意がない限り,遺産分割の対象とはならず,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されるものと解するのが相当である。なお,民法903条,904条の2は,同法第5編第3章第3節「遺産の分割」の前に位置するが,遺産分割の基準である具体的相続分を算定するためのものであるから,遺産分割の対象とならない上記可分債権は,これらの規定にいう「相続開始の時において有した財産」には含まれないと解される。これに対して,預貯金債権の場合,支払の確実性,現金化の簡易性等に照らし,その額面額をもって実価(評価額)とみることができるのであるから,上記可分債権とは異なり,これを遺産分割の対象とすることが遺産分割の審判を困難ならしめるものではない。
したがって,預貯金債権は,共同相続人全員の合意の有無にかかわらず,遺産分割の対象となると解するのが相当である。
裁判官大橋正春の意見は,次のとおりである。
私は,原決定を破棄し,本件を原審に差し戻すとの多数意見の結論には賛成するものであるが,その理由については考えを異にするので,意見を述べたい。
1 多数意見は,原決定による遺産分割の結果が著しく抗告人に不利益なものであり,その原因は預貯金債権が遺産分割の対象とならなかったことにあると考え,これを解決する方策として,判例を変更して,普通預金債権及び通常貯金債権は最高裁昭和27年(オ)第1119号同29年4月8日第一小法廷判決・民集8巻4号819頁にいう「可分債権」に当たらないとするものであると理解することができる。
しかし,多数意見の立場は,問題の設定を誤ったものであり,問題の根本的解決に結び付くものでないだけでなく新たな問題を生じさせるものといわなければならない。預貯金債権を準共有債権と解したとしても,他の種類の債権について本件と同様に不公平な結果が生ずる可能性は依然として残されている。例えば,本件と,被相続人が判決で確定した国に対する国家賠償法上の損害賠償請求権を有していた事案とで結論が異なるのが相当なのかという疑問が生ずる。
2 問題は,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割される可分債権を遺産分割において一切考慮しないという現在の実務(以下「分割対象除外説」という。)にあるといえる。これに対して,私は,可分債権を含めた相続開始時の全遺産を基礎として各自の具体的相続分を算定し,これから当然に分割されて各自が取得した可分債権の額を控除した額に応じてその余の遺産を分割し,過不足は代償金で調整するという見解(以下「分割時考慮説」という。)を採用すべきものと考える。その理由は,次のとおりである。
遺産の分割は,遺産全体の価値を総合的に把握し,これを共同相続人の具体的相続分に応じ民法906条所定の基準に従って分割することを目的とするものであり(最高裁昭和47年(オ)第121号同50年11月7日第二小法廷判決・民集29巻10号1525頁参照),ここにいう「遺産全体」が相続開始時において被相続人の財産に属した一切の権利義務(同法896条)を指すことには疑問がない。したがって,遺産分割とは,相続開始時において被相続人の財産に属した一切の権利義務を具体的相続分に応じて共同相続人に分配することであるといえる。これに対して,分割対象除外説は,遺産を構成する個々の相続財産の共有関係(同法898条)を解消する手続が遺産分割であると捉え,かつ,可分債権について共有関係が生じないと解して,可分債権は遺産分割の対象とならないものとする。しかし,個々の相続財産の共有関係を解消する手続は,遺産全体を具体的相続分に応じて共同相続人に分配するという遺産分割を実現するための手続にすぎないのであるから,この意味における遺産分割の適切な実現を阻害する分割対象除外説を採用することはできず,分割時考慮説が正当なものと考えられる。分割対象除外説によれば,遺産分割時に預貯金が残存している場合には,具体的相続分に応じた分配をすることができるのに対し,共同相続人の1人が被相続人の生前に無断で預貯金を払い戻した場合には,被相続人が取得した損害賠償請求権又は不当利得返還請求権について具体的相続分に応じた分配をすることができない。これに対して,分割時考慮説によれば,後者の場合においても具体的相続分に応じた分配をすることができ,結果の衡平性という点においてより優れている。また,遺言をしない被相続人の中には法律の規定に従って遺産分割が行われることを期待した者がいると考えられるところ,法律の専門家でない一般の被相続人としては,遺産を構成する債権が可分債権であるか否かによって結果は異ならないと期待して
いたと考えるのが自然である。したがって,分割対象除外説は被相続人の期待に反する結果を生じさせるものということができる。
分割時考慮説を採用することにより,家事審判事件が増加し,家庭裁判所の負担が増加することが考えられる。しかし,家庭裁判所の実務では当事者の合意を前提に可分債権を遺産分割の対象とすることがかなりの範囲で行われていること,分割時考慮説と分割対象除外説とで極端な結論の違いが生ずるのはまれで,多くの場合には具体的相続分と法定相続分の乖離は小さいと推測されることなどからすると,家庭裁判所における適正な事務処理を阻害するような著しい負担の増加はないであろうと考える。よって,分割対象除外説に基づく原決定を破棄し,分割時考慮説に基づき更に審理を尽くさせるため,本件を原審に差し戻すのが相当であると考えるものである。
3 最後に,普通預金債権及び通常貯金債権を準共有債権とすると,問題の根本的解決にならないばかりか新たな不公平を生み出すほか,被相続人の生前に扶養を受けていた相続人が預貯金を払い戻すことができず生活に困窮する,被相続人の入院費用や相続税の支払に窮するといった事態が生ずるおそれがあること,判例を変更すべき明らかな事情の変更がないことなどから,普通預金債権及び通常貯金債権を可分債権とする判例を変更してこれを準共有債権とすることには賛成できないことを指摘しておきたい。
(裁判長裁判官 寺田逸郎 裁判官 櫻井龍子 裁判官 岡部喜代子 裁判官
大谷剛彦 裁判官 大橋正春 裁判官 小貫芳信 裁判官 鬼丸かおる 裁判官
木内道祥 裁判官 山本庸幸 裁判官 山崎敏充 裁判官 池上政幸 裁判官
大谷直人 裁判官 小池 裕 裁判官 木澤克之 裁判官 菅野博之)
(別紙)
預 貯 金 目 録
1 三井住友銀行a支店 普通預金(口座番号○○○○○○○)
265円
2 三井住友銀行b支店 普通預金(口座番号○○○○○○)
6万8729円
3 ゆうちょ銀行 通常貯金(記号番号○○○○○-○○○○○○○○)
762円
4 ゆうちょ銀行 定期貯金(記号番号○○○○○-○○○○○○○)
3万円
5 三菱東京UFJ銀行c支店 普通預金(口座番号○○○○○○○)
245万7956円
6 三菱東京UFJ銀行c支店 外貨普通預金(口座番号○○○○○○○)
36万4600.62ドル
(残高は,いずれも平成25年8月23日現在)
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金融機関のちゅうちょ

2016-12-19 | 民事
実態知らず融資、保証契約有効=銀行側が逆転勝訴―最高裁


金融機関は融資をちゅうちょしかねない

といっても、信用保証協会の審査が厳しくなれば、結局、プロパーの融資の問題になって
金融機関は融資をちゅうちょするんじゃないのかな。



※引用

実態知らず融資、保証契約有効=銀行側が逆転勝訴―最高裁

 企業の経営実態を知らずに貸し付け、返済されなくなった銀行の融資について、信用保証協会が保証契約に基づき肩代わりすべきかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(大谷直人裁判長)は19日、「保証契約は有効」とする初判断を示した。その上で、保証協会側の請求を全て認めた二審判決を破棄し、銀行側の逆転勝訴とした。

 保証協会と金融機関の間では、融資後に企業の実態が判明して返済されなくなった場合、どちらが負担すべきかが問題となっており、最高裁の判断が注目されていた。

 大谷裁判長は「企業の実態のないことが事後的に判明した際に契約を一律に無効とすれば、金融機関は融資をちゅうちょしかねない」と指摘した。

 一、二審判決によると、北国銀行(金沢市)は2009年、牛乳小売業者に5000万円を融資したが回収不能となり、石川県信用保証協会が10年、約4900万円を同行に支払った。

 その後、融資直前に事業譲渡が行われていたことが判明。同協会は「事情を知っていれば保証契約を結ばなかった」として同行に全額を返還するよう求め提訴した。

 一審金沢地裁は一部の返還を認めたが、二審名古屋高裁金沢支部は全額を認容。北国銀行側が上告した。 
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預貯金 は 遺産分割の対象になります。

2016-12-19 | 家事

預貯金の払い戻し請求権が遺産分割の対象となる という判断です。

これまでの実務が大きく変わることになります。

今後の各金融機関の対応に興味があります。


毎日新聞の記事の引用です。

※引用

<最高裁>預貯金は遺産分割の対象 判例変更し高裁差し戻し

 亡くなった人の預貯金を親族がどう分けるか争った相続の審判を巡り、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は19日の決定で、「預貯金は法定相続の割合で機械的に分配されず、話し合いなどで取り分を決められる『遺産分割』の対象となる」との判断を示した。預貯金を遺産分割の対象外としてきた判例を変えるもので、一部の相続人に生前贈与があっても機械的配分になり不平等を生んでいた問題が解消される。

 大法廷は具体的な相続内容を改めて遺族同士で決める必要があるとして、審理を2審・大阪高裁に差し戻した。

 遺産分割は、ある人の死後に遺産総額を決め、複数の相続人に分配する制度。相続人の話し合いで取り分を決められるが、協議がまとまらなければ家庭裁判所の調停や審判に移る。

 過去の判例は「預貯金は相続開始と同時に当然、法定の相続割合で分けられる」としていた。これまでも全員が合意すれば、預貯金も自由に分けられたものの、決裂した場合は「配偶者が5割、残りの5割を子供の数で平等に割る」などの法定割合で機械的に分けられてきた。相続人の一部が生前贈与を受けた場合は、判例が他の相続人との不平等を生む原因となっていた。

 大法廷が審理したのは、死亡した女性の預金約3800万円を巡り遺族2人が取り分を争った審判。1人は5500万円の生前贈与を受けており、もう1人が「預金全額を受け取らなければ不公平」と主張した。1、2審の決定は判例に従って法定割合の約1900万円ずつ分配するとしていた。

 今回の判例変更によって生前贈与を受けていなかった遺族が預金全額を受け取る可能性が高まった。

 
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証拠排除  無罪

2016-12-13 | 刑事
虚偽調書、大麻事件で無罪 違法収集証拠を排除−地裁判決


神奈川新聞が詳しい記事を出してました。

被告の代理人  →   弁護人 なんでしょうね。


※ 引用

虚偽調書、大麻事件で無罪 違法収集証拠を排除−地裁判決


 警察官による虚偽の調書作成が公判中に発覚した大麻取締法違反事件で、同法違反の罪に問われた男性被告(25)の判決公判が12日、横浜地裁で開かれた。国井恒志裁判官は、虚偽の調書に基づいて押収された大麻などの証拠を排除した上で「犯罪の証明がない」として無罪を言い渡した。

 事件では、大船署の元巡査部長=懲戒免職=が実際には証言者が話していないことを盛り込む形で供述調書を改ざん。調書を基に捜索令状を取得し、被告のミニバイク内から大麻を押収した。公判では弁護側が大麻などの証拠排除を求め、検察側も求刑を放棄して積極的に争わない姿勢を示していた。
 判決理由で国井裁判官は、一連の捜査を「令状主義の精神を没却する重大な違法」とし、「大麻などを証拠として許容することは相当でない」と述べた。また被告が一貫して大麻の所持を否認していた点についても、検察側の立証がなされていないことから被告側の主張を支持した。
 被告の代理人は「公正な判断に感謝したい。所持についても踏み込んでもらい、人権擁護の観点からも評価している」と述べた。
 横浜地検の林秀行次席検事は「違法な捜査手続きにより重要証拠が排除され無罪判決が下されたことは遺憾」とコメントした。 
 県警刑事総務課の荻原英人課長代理は「証拠偽造などの極めて不適正な行為があったことは重く受け止めている。指導教養を徹底するなど再発防止に努めたい」とのコメントを出した。

 判決によると、被告は2015年11月、川崎市川崎区の自宅に止めてあったミニバイク内に大麻を隠し持っていたとして起訴された。しかし、今年6月に調書の偽造が発覚、元巡査部長は証拠隠滅などの罪で罰金50万円の略式命令を受けた。

 ◆再発防止へ背景検証を 見つかった大麻が誰のものだったのか、真相を究明する機会は、県警の違法捜査で失われた。こうした行為が一人の警察官による例外的なケースなのかどうか、刑事弁護の専門家からは違法行為の背景と捜査の在り方を検証すべきとの声も上がる。 改ざんがあった供述調書は、捜索令状を請求する過程で作成された。調書がいったん作られ令状が出れば、証言者が調書の内容に再び目を通す機会は著しく限られ、不正も露見しにくいのが実情だ。 県弁護士会刑事弁護センター副委員長の妹尾孝之弁護士は「発覚しにくいということが、改ざんを誘発する遠因になっている可能性もある」と指摘する。 改ざんに手を染めた元巡査部長は「関係先の捜索令状を確実に取りたかった」と動機を供述。今月8日に厚生労働省の麻薬取締官が虚偽の調書を作成したとして逮捕された事案でも、捜査を強引に進めようとした疑いが浮上している。 そうした捜査をスムーズに進めたいとの心理が取り締まる側につきまとう以上、「これまでほかにも同じことがなかったとは言い切れない」と妹尾弁護士。「悪い警察官が1人いたという話で終わらせず、県警は背景と原因をきっちり調査すべきでは」と提起している。
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無罪 証拠排除

2016-12-13 | 刑事
大麻所持で無罪判決=警察官が調書偽造―横浜地裁


求刑がされなかった事件の判決です。
認識にも触れているみたいですね。


時事通信の記事からです。

※引用

大麻所持で無罪判決=警察官が調書偽造―横浜地裁

 警察官による調書偽造が発覚した大麻所持事件で、大麻取締法違反罪で起訴された男性被告(25)の判決が12日、横浜地裁であり、国井恒志裁判官は「捜索、押収手続きの違法性は極めて重大」として、押収された大麻などを証拠から排除する決定をした上で、無罪を言い渡した。検察側は求刑を放棄していた。

 判決によると、神奈川県警大船署の元巡査部長は昨年10月、男性の知人の「男性のバイクの収納部分に大麻があった」という証言を調書にした際、「部屋でも見た」などと虚偽の内容を付け足し、捜索令状を取得。捜索でバイクから大麻が発見され、男性は現行犯逮捕された。

 男性は「所持を認識していなかった」と無罪を主張し、判決は「有罪は立証されていない」と判断した。

 県警などによると、初公判後の今年5月に偽造が発覚。元巡査部長は証拠隠滅などの罪で罰金50万円の略式命令を受けた。 
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実質証拠化  の  問題点

2016-12-06 | 取調可視化
取り調べ録画 実質証拠なるか 司法研修所が議論 「直接主義に反する」懸念も



実質証拠化の問題って 太陽にほえろ や 西部警察 で育った国民には分かりにくいと思います。

各裁判官が判断することになる。のはその通りですが、

基準ぐらいはないとね。


※引用

取り調べ録画 実質証拠なるか 司法研修所が議論 「直接主義に反する」懸念も


 取り調べの録音・録画(可視化)を刑事裁判でどのような証拠として扱えるか、最高裁司法研修所が議論を始めたことが4日、分かった。可視化は「無理な取り調べが行われていないか」といった判断をする際の「補助証拠」とする想定で始まったが、検察側が犯罪を証明するための「実質証拠」として、供述調書に代えて申請する例が相次いでいる。こうした状況が、法廷での供述を聞いて判断する「直接主義」に反するとの懸念が生じている中で、裁判官同士の議論を深めるのが狙いだ。

検察は積極活用

 「審理が長時間の取り調べを視聴し、その適否を審査する手続となる懸念がある」。東京高裁は8月、強盗殺人罪で起訴された被告の判決で、録画を実質証拠とすることは「直接主義の原則から大きく逸脱する」おそれがあると指摘した。

 背景には録画を立証に積極活用しようとする検察側の姿勢がある。最高検は平成27年2月の通達で、必要に応じて「録画を実質証拠として請求することを検討する」との方針を示した。

 そもそも、録画は「被告が自分の意思で供述したか」という調書の「任意性」を判断する補助証拠としての利用が想定されていた。ただ、実際は調書の「信用性」を判断する補助証拠、さらには犯罪自体を立証するため、調書に代わる実質証拠として活用される場面も少なくない。

 録画を実質証拠として扱えるかどうかの明文規定はないが、裁判所が採用した例は複数ある。

 さいたま地裁は27年、取り調べ時に調書への署名を拒み、被告人質問で黙秘した強盗殺人事件の被告について、取り調べ録画を実質証拠として採用、法廷で再生した。同年には那覇地裁も脅迫事件で証拠採用。被告は法廷で取り調べと異なる説明をしたが、この部分の調書が作成されていないケースだった。

直感的判断の危険性も

 供述調書の読み上げに比べ、録画は被告の表情や声が裁判員らに伝わる半面、法曹関係者からは「直感的で主観的判断になる危険性がある」との指摘もある。

 今年4月、1審で無期懲役とされた栃木女児殺害事件では、無罪を主張していた被告の取り調べ録画を7時間以上にわたって再生。録画は補助証拠として扱われたが、判決は、供述経過や態度などを根拠に捜査段階の自白は信用できると判断し、有罪とした。

 可視化は日本弁護士連合会が強く求めてきた経緯があるが、刑事裁判に詳しい弁護士は「録画のインパクトが裁判員の心証に強く作用した」と危機感を募らせる。

 裁判所内にも証拠採用に慎重な見方はある。ある刑事裁判官は「弁護人のいる法廷と取調室では被告の心境も違う。録画から真実を話しているかどうか見抜くのは難しい」と指摘する。

「基本は法廷」

 裁判所や日弁連での議論に先行する形で検察側の証拠請求が相次ぐ中、最高裁司法研修所は昨年11月に開いた裁判官の研究会で、録画の取り扱いを議論。先月の研究会でも取り上げた。

 研究会では録画が実質証拠として申請された場合に、「調書と比べ検察官の意図に左右される要素が少なく、情報量も豊富だ」と利点を指摘する意見が出た一方、「法廷が上映会になってしまう可能性がある」との声もあった。そもそも録画を実質証拠として扱えるかどうかについても見解が分かれたという。

 ベテラン刑事裁判官は「法廷でのやり取りを基に判断するのが基本であることは変わらない。証拠採用するかどうかは、議論を踏まえて各裁判官が判断することになる」と話す。
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雇い止めに関する 最高裁判例

2016-12-02 | 労働
平成27年(受)第589号 労働契約上の地位確認等請求事件
平成28年12月1日 第一小法廷判決
主 文
1 原判決中,被上告人の労働契約上の地位の確認請求及び平成26年4月1日以降の賃金の支払請求を認容した部分を破棄し,同部分につき第1審判決を取り消す。
2 前項の部分に関する被上告人の請求をいずれも棄却する。
3 上告人のその余の上告を棄却する。
4 訴訟の総費用は,これを5分し,その2を上告人の負担とし,その余を被上告人の負担とする。
理 由
上告代理人三浦邦俊,同和智大助の上告受理申立て理由について
1 本件は,上告人との間で期間の定めのある労働契約(以下「有期労働契約」という。)を締結し,上告人の運営する短期大学の教員として勤務していた被上告人が,上告人による雇止めは許されないものであると主張して,上告人を相手に,労働契約上の地位の確認及び雇止め後の賃金の支払を求める事案である。
2 原審の適法に確定した事実関係等の概要は,次のとおりである。
(1) 被上告人は,平成23年4月1日,上告人との間で,Y学園契約職員規程(以下「本件規程」という。)に基づき,契約期間を同日から同24年3月31日までとする有期労働契約を締結して本件規程所定の契約職員となり,上告人の運営するA短期大学の講師として勤務していた(以下,被上告人と上告人との間の労働契約を「本件労働契約」とい。)。
(2) 本件規程には,次の内容の定めがある。
ア 契約職員とは,一事業年度内で雇用期間を定め,上告人の就業規則28条に定める労働時間で雇用される者のうち,別に定めるところによる契約書により労働契約の期間を定めて雇用される者をいう。
イ 契約職員の雇用期間は,当該事業年度の範囲内とする。雇用期間は,契約職員が希望し,かつ,当該雇用期間を更新することが必要と認められる場合は,3年を限度に更新することがある。この場合において,契約職員は在職中の勤務成績が良好であることを要するものとする。
ウ 契約職員(助手及び幼稚園教諭を除く。)のうち,勤務成績を考慮し,上告人がその者の任用を必要と認め,かつ,当該者が希望した場合は,契約期間が満了するときに,期間の定めのない職種に異動することができるものとする。
(3) 上告人は,平成24年3月19日,被上告人に対し,同月31日をもって本件労働契約を終了する旨を通知した。被上告人は,同年11月6日,本件訴訟を提起した。上告人は,平成25年2月7日,被上告人に対し,仮に本件労働契約が同24年3月31日をもって終了していないとしても,同25年3月31日をもって本件労働契約を終了する旨を通知した。また,上告人は,平成26年1月22日付けで,被上告人に対し,本件規程において契約期間の更新の限度は3年とされているので,仮に本件労働契約が終了していないとしても,同年3月31日をもって本件労働契約を終了する旨を通知した(以下,この通知による雇止めを「本件雇止め」という。)。
(4) A短期大学を含む上告人の運営する三つの大学において,平成18年度から同23年度までの6年間に新規採用された助教以上の契約職員のうち,同年度末時点において3年を超えて勤務していた者は10名であり,そのうち8名についての労働契約は3年目の契約期間の満了後に期間の定めのないものとなった。
3 原審は,上記の事実関係等の下で,本件雇止めの前に行われた2度の雇止めの効力をいずれも否定して本件労働契約の1年ごとの更新を認めた上で,要旨次のとおり判断し,本件労働契約が平成26年4月1日から期間の定めのない労働契約(以下「無期労働契約」という。)に移行したとして,被上告人の請求をいずれも認容すべきものとした。
採用当初の3年の契約期間に対する上告人の認識や契約職員の更新の実態等に照らせば,上記3年は試用期間であり,特段の事情のない限り,無期労働契約に移行するとの期待に客観的な合理性があるものというべきである。被上告人は,本件雇止めの効力を争い,その意思表示後も本件訴訟を追行して遅滞なく異議を述べたと
いえる以上,本件雇止めに対する反対の意思表示をして無期労働契約への移行を希望するとの申込みをしたものと認めるのが相当である。そして,上告人においてこれまでの2度にわたる雇止めがいずれも客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当と認められない結果更新され,その後無期労働契約への移行を拒むに足りる相当な事情が認められない以上,上告人は上記申込みを拒むことはできないというべきである。したがって,本件労働契約は無期労働契約に移行したものと認めるのが相当である。
4 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。
本件労働契約は,期間1年の有期労働契約として締結されたものであるところ,その内容となる本件規程には,契約期間の更新限度が3年であり,その満了時に労働契約を期間の定めのないものとすることができるのは,これを希望する契約職員の勤務成績を考慮して上告人が必要であると認めた場合である旨が明確に定められていたのであり,被上告人もこのことを十分に認識した上で本件労働契約を締結したものとみることができる。上記のような本件労働契約の定めに加え,被上告人が大学の教員として上告人に雇用された者であり,大学の教員の雇用については一般に流動性のあることが想定されていることや,上告人の運営する三つの大学において,3年の更新限度期間の満了後に労働契約が期間の定めのないものとならなかった契約職員も複数に上っていたことに照らせば,本件労働契約が期間の定めのないものとなるか否かは,被上告人の勤務成績を考慮して行う上告人の判断に委ねられているものというべきであり,本件労働契約が3年の更新限度期間の満了時に当然に無期労働契約となることを内容とするものであったと解することはできない。そして,前記2(3)の事実関係に照らせば,上告人が本件労働契約を期間の定めのないものとする必要性を認めていなかったことは明らかである。また,有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換について定める労働契約法18条の要件を被上告人が満たしていないことも明らかであり,他に,本件事実関係の下において,本件労働契約が期間の定めのないものとなったと解すべき事情を見いだすことはできない。以上によれば,本件労働契約は,平成26年4月1日から期間の定めのないものとなったとはいえず,同年3月31日をもって終了したというべきである。
5 以上と異なる原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨はこれと同旨をいうものとして理由があり,原判決中,被上告人の労働契約上の地位の確認請求及び平成26年4月1日以降の賃金の支払請求を認容した部分は破棄を免れない。そして,以上に説示したところによれば,同部分に関する被上告人の請求はいずれも理由がないから,同部分につき第1審判決を取り消し,同請求をいずれも棄却すべきである。なお,その余の請求に関する原審の判断は是認することができるから,上告人のその余の上告については,これを棄却することとする。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。なお,裁判官櫻井龍子の補足意見がある。
裁判官櫻井龍子の補足意見は,次のとおりである。
私は法廷意見に賛同するが,近年,有期労働契約の雇止めや無期労働契約への転換をめぐって,有期契約労働者の増加,有期労働契約濫用の規制を目的とした労働契約法の改正という情勢の変化を背景に種々議論が生じているところであるので,若干の補足意見を付記しておきたい。
1 まず,本件は,法廷意見に述べるとおり,有期労働契約の更新及び無期労働契約への転換の可能性,その場合の判断基準等が,当事者間の個別契約の内容となる本件規程に明記され,一方,被上告人も契約締結の際,契約内容を明確に理解し,了解していたと思われ,雇止めの措置はその基準等に照らし特段不合理な点はなかったと判断できる事案であったといえる。本件においては,無期労働契約を締結する前に3年を上限とする1年更新の有期労働契約期間を設けるという雇用形態が採られているところ,被上告人が講師として勤務していたのは大学の新設学科であり(原判決の引用する1審判決参照),同学科において学生獲得の将来見通しが必ずしも明確ではなかったとうかがわれることや,教員という仕事の性格上,その能力,資質等の判定にはある程度長期間が必要であることを考慮すると,このような雇用形態を採用することには一定の合理性が認められるが,どのような業種,業態,職種についても正社員採用の際にこのような雇用形態が合理性を有するといえるかについては,議論の余地のあるところではなかろうか。この点は,我が国の法制が有期労働契約についていわゆる入口規制を行っていないこと,労働市場の柔軟性が一定範囲で必要であることが認識されていることを踏まえても,労働基準法14条や労働契約法18条の趣旨・目的等を考慮し,また有期契約労働者(とりわけ若年層)の増加が社会全体に及ぼしている種々の影響,それに対応する政策の方向性に照らしてみると,今後発生する紛争解決に当たって十分考慮されるべき問題ではないかと思われる。
2 さらに,原審の判断についても一言触れておきたい。
原審の判断を,仮に,判例が積み重ねてきたいわゆる雇止め法理,あるいは労働契約法19条2号の判断枠組みを借用して判断したものととらえることができるとしても,雇止め法理は,有期労働契約の更新の場合に適用されるものとして形成,確立されてきたものであり,本件のような有期労働契約から無期労働契約への転換の場合を想定して確立されてきたものではないことに原審が十分留意して判断したのか疑問である。
すなわち,原審は無期労働契約に移行するとの被上告人の期待に客観的合理性が認められる旨の判断をしているが,有期労働契約が引き続き更新されるであろうという期待と,無期労働契約に転換するであろうという期待とを同列に論ずることができないことは明らかであり,合理性の判断基準にはおのずから大きな差異がある
べきといわなければならない。無期労働契約への転換は,いわば正社員採用の一種という性格を持つものであるから,本件のように有期労働契約が試用期間的に先行している場合にあっても,なお使用者側に一定範囲の裁量が留保されているものと解される。そのことを踏まえて期待の合理性の判断が行われなければならない。
もとより,このような場合の期待の合理性は,日立メディコ事件(最高裁昭和56年(オ)第225号同61年12月4日第一小法廷判決・裁判集民事149号209頁)をはじめこれまでの裁判例に明らかなとおり,労働者の主観的期待を基準に考えるのではなく,客観的にみて法的保護に値する期待であるといえるか否かを,様々な事情を踏まえて総合的に判断すべきものであるということを念のため付け加えておきたい。
以上の考え方に照らすと,仮に原審の判断枠組みに沿って考えるとしても,本件は無期労働契約転換についての期待に客観的合理性があったと認めることができる事案とはいえず,雇止めは有効と判断すべきこととなろう。
(裁判長裁判官 大谷直人 裁判官 櫻井龍子 裁判官 池上政幸 裁判官 小池 裕 裁判官 木澤克之)
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