若葉と青葉と紅葉と・・・

少年時代の友達と楽しかった遊び。青春時代の苦い思い出。社会人になっての挫折。現代のどん底からはいあがる波乱万丈物語です。

若葉と青葉と紅葉と・・・

2017-07-14 10:18:49 | 日記
第三話【崩れる神話】


「お配りした資料に目を通してください」
商品得営課の大塚課長から説明が始まった。
・・・うん~・・・
「このまま不良在庫を抱えていると、利益が食われ三年後には倒産します」
「月の回転率はどうなんだい」と平田取締役常務が聞いた。
「一回転半です」
「5回転は出来なくなったか」と平田取締役常務が言った。
「商品があれば飛ぶように売れたんだけだなぁ」
と大山浩二郎商品管理部取締役部長が懐かしがった。
「時代が変わったんだなぁ~」と平田取締役常務が呟いた。
「棚卸をすると、4月末現在、高輪倉庫は季節物が多く、5億円、車町倉庫が定番商品で3億円、合わせて8億円の在庫があります」
「結構あるんだなぁ~」と石野企画室取締役部長が言った。
「全国の支店分も入っています」
「物流センターも毎日5トンで入荷していた頃が1番忙しかったなぁ」と大山部長が言った。
「その時と在庫は変わらないわけか」と平田常務が言った。
「そうです。オイルショック後、商品構成が、一気に変わったんですけどね」
「もう、5トンコンテナで各営業所に送る時代は終わったんだなぁ」
と石野企画室取締役部長が付け足した。
「そうだな。あの頃が懐かしくなるなぁ~」
と、須和営業部総括部長が、昔景の気のよかった頃を思い出していた。
「戦前からの付き合いの中小零細企業の部品は、戦後不景気の頃から、救済の為に、生産した商品を引き取っていたので、その、オーバーストックも重荷になっています」
「そうだな。手形も先払いして助けていたからな」と高村取締役経理部長が言った。
「創業当時は、困ったときは、お互いに助け合った時もあったからな」
と西原専務が、思い出した。
「今後は、物流センターがなくなる事を説明して、受注発注で賄えるように頼んでみて」
と西原専務が付け足した。
「それで 納得してくれかな」と平田常務が言った。
「まぁ 現状を説明すれば理解してくれると思います」
「うぅん 頼むよ」と西原専務が期待した。
「それと、現金仕入れのメーカーは、手形に変えて貰えるように交渉しています」
「それは、いいことだな」と吉田総務取締役部長が言った。
「今、現金仕入れはいくらある」と西原専務が聞いた。
「5千万円です」
「東京店だけだかい」
「各支店も含めてです」
――なるほどぉ. ――
「それで、出来ないメーカーは、取引中止にしています」
「売上が、落ちる事はないのかい」と須和営業部総括部長が聞いた。
「サービスステーションが、手書き伝票からカードに変わってきているので、高額商品がガソリンに化けることがなくなったので、現金仕入れの主力用品ならなくなりました」
「そう言えば、東京も大きいスタンドは自社カードになっていたな」
と、平田取締役常務が言った。
「当社も、指定スタンドは、手書きからコンピューター伝票し変わっています」
「新車もモデルチェンジが早くなりましたからね」と沢田東京店が言った。
「麻布店も社外部品から純正に切り替えて行っています」
「そうすると、全国の商品供給どうするんだ」と須和営業部総括部長が聞いた。
「純正を中心に軽,薄、短になって行きますので、各営業所の在庫で十分に得意先には供給が出来ます」
「メーカーからの直送は出来るのかい」と須和営業部総括部長が確認した。
「流通網も発達しているので、各店に直送が出来るようになりました」
「それに、ロット数が同じだと支店自体がオーバー在庫になり、今までと同じデットストックになるだろう」と石野企画室取締役部長が聞いた。
「メーカーも全国に営業所が出来ていますから、配達便で最小ロットの納品可能になります」
――なるほどぉ. ――
石野企画室取締役部長は納得した。
「そして、今ある高輪倉庫と車町倉庫の在庫は、全国の支店にファックスで流してあります」
「完売はできそうかねぇ」と西原社長が聞いた。
「地方の方が古い車が多いので、可也の数を消化してくれると思います」
「それなら 捨て値で売らなくても大丈夫か」
「そうですねぇ。今ある在庫が六割販売できれば上々だと思います」
「そうかぁ」
「何しろ 地方に行けば、まだまだ 古い部品を使っていますから、10年落ちでも売れます」
「それなら、各店長に引き取るように連絡しておくように」と西原専務が命令した。
「毎月、全国の店長会議がありますので、在庫状況はわかっています」
「後の、4割はどうする」と西原専務が、ッ込を入れた。
「二割がデットストックで、残りの二割はアクセサリーや用品の旧型です」
「カーショップで安く売らせたらどうかなぁ」
「おそらく、流行遅れなので、若者が多く来る専門店で安売りしても、さばけないと思います」
「沢田店長。地方課の得意先で引き受けてくれそうなところはないかね」
と西原社長が名指しした。
「毎月拡販はしていますが“ゴケさん”になっている商品は買い手がありません」
と沢田店長が即答した。
「あとは、返品なしのバッタで、叩き売るしかありませんね」
「そうだなぁ~ デットストックを抱えて倒産するよりは、一円でも金に変えた方がいいな」
と高村取締役経理部長が見切りをつけた。
「もし、無理だったら、第二課で処分してもらうしかないな」と平田取締役常務が言った。
「第二課の畑中取締役部長には、話はしてあるのかい」と西原専務が確認した。
「いえ、まだです」と大塚課長が言った。
「早めに、移動できるように交渉して」と西原専務が急かした。
「はい< 」
「とりあえず、在庫処分は大至急やってくれ」と西原専務が畳み掛けた。
「わかりました」

「車町と高輪倉庫は買い手が付いているにかね」と西原社長が聞いた。
「今、大手の仕入れメーカーと交渉中です」と吉田総務取締役部長が答えた。
「場所が場所がけに安売りは出来ないからな」と西原社長が売り惜しみした口ぶりで言った。
「両方とも敷地は200坪だよな 」と西原専務が言った。
「坪単価400万だったな」と西原社長が言った。
「トヤマ工業との話は進んでいるのかい」と平田取締役常務が聞いた。
「はい。倉庫を空にすれば、そのまま使うそうです」と大塚課長が言った。
「そうすると、更地にする必要はないわけだな」と平田取締役常務が喜んだ。
「そうすれば、高輪と車町を共に引き受けてくれるそうです」
「ふぅん~  あとは、値段だけか」と吉田総務取締役部長が先を考えていた。
「そうですね。落としどころの最低線が、これからの交渉になります」
「他に、話の出来る仕入先メーカーはなかったのかい」と平田取締役常務が聞いた。
「最大手仕入先では、ケミカルメーカーのジャクソン工業がありますが、外資系なので厳しいところがあります」
「うちの看板商品だろう」と西原専務が言った。
「そうなんですが、不動産ですから逆に買うとなるとシビヤなビジネスになります」
「生きている土地だから、二束三文で叩き売るわけには行かないからな」
と西原専務が不満げに言った。
「あとの、中小企業のメーカーだと高輪と車町を分けての交渉になりますので、どちらかが残る事になると思います」
「いいとこ取りされても困るからな」と高村取締役経理部長が言った。
「そうなると、トヤマ工業と交渉するほかないのか」と吉田総務取締役部長が前向きに言った。
「そうですね。条件の良いとこらは、ここ一社だけですね」
「出来るだけ早く会って決める方向で話を進めよう」と平田取締役常務が聞いた。
「お願いします」と大塚課長が言った。
「君の方でも、出来るだけ早く勧めたまえ」と西原社長が急かした。
「分りました」と大塚課長が言った。
「一度、社長も瀬川社長とお会いになって、お話していただくと、すんなりと進むと思います」と須和営業部総括部長がお願いした。
「トヤマ工業との付き合いは、何十年だったかな」と西原社長が聞いた。
「我社の創立の時からですから、足掛け20年になります」
「わかった。相手側の都合に合わせて、大至急調整してくれ」
と西原社長も腰を上げることにした。
「明日にでも、大竹総務部長に連絡を取ってみます」
「そうしてくれ」と西原社長が言った。
「社員の転勤先は、決めてあるのかい」と吉田総務取締役部長に西原社長が聞いた。
「はい。本社カウンター1人、麻布店営業部2人と業務課4人、神奈川営業2人が配属されることになっています」
「出来るだけ首を切らずにやった方が、組合も騒がないだろう」と西原社長が安全策を言った。
「組合委員長の熊倉課長には話は通しておきます」
「よろしく頼むよ」と西原社長は納得した。
「吉田部長。不良社員の整理は出来ているかい」と西原専務が聞いた。
「はい。今の時代に合わない、いらなくなった部所廃止して、新年度の求人募集は男女とも、していません」と吉田部長が答えた。
「業務課などは、嘱託で採用しています」と吉田部長が付け足した。
「首の切れない中堅社員は第二課に出向させています」と沢田東京店が補足した。
「組合は何も言わないのかい」と西原専務が確認した。
「逆に、厄介払いが出来たと喜んでいますよ」
ウァハハ八八ノヽノヽノヽノ \
「何しろ 組合と言っても社員ですから、三役も各課で働いていますからね」
「うるさい奴は、役職を上げて組合を脱退させるか」
「そうすると 給料の高い管理職ばかり多くなりますよ」
「それも倒産の元になるな」
「とりあえず、社員の手前何度か交渉はしています」
「だから、賃金アップもボーナスもこちらの提示で納得するわけだな」
と西原専務は安心した。
「おっしゃる通りです」
「それと、本社ビルの話はどうなっている」と西原社長が聞いた。
周りの景観から、見苦しいのは分っていた。
右に傾いた自社ビルを、自力で建て替える体力はなかった。
「老朽化した本社ビルは、森ビルとの話し合いで、来年には建て替えになります」
土地は森ビルに売ったようだ。

西原社長、西原専務、メインバンクはら執行してきた平田取締役常務、石野企画室取締役部長、大山浩二郎商品管理部取締役部長、吉田総務取締役部長、高村取締役経理部長、須和営業部総括部長、沢田東京店が雁首揃えて、毎週月曜日になると、朝9時から午後5時まで昼飯も食わずに、3階の社員食堂で役員会議を開いていた。
ジャンル:
小説
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