若葉と青葉と紅葉と・・・

少年時代の友達と楽しかった遊び。青春時代の苦い思い出。社会人になっての挫折。現代のどん底からはいあがる波乱万丈物語です。

若葉と青葉と紅葉と

2016-10-12 09:41:16 | 日記
第一話【小さな目】


私が就職した頃は、得意先に送る荷物は、都内近県の場合は自社便で配達していた。
そして、研修が終わり、業務課に配属されると、都内課の須佐主任に仕入先や本社得営課集荷の仕事も覚えさせられた。
『樫村くん!配達に行くときに新人を連れて行って』
『今日は、誰にしますか』
『新人教育だから君に任せるよ』
『そうですか!昨日は誰が行ったっけぇ?』と吉田先輩に聞いた。
『長野くんだよ』
『それなら、今日は!上田君を連れて行くか』
『上田君!運転免許証は持っているの?』
『はい!学校で卒業する前に取らせてくれました』
『そだよな!地方では車の運転ができないと足がないものなぁ』
『そうなんですよ』
『主任!上田君は免許証持っているから運転させてもいいですか?』
『いや!新人だから、仕事を覚えるまで、後、3ヶ月は運転させないで』
『分かりました』
そして、昼一番で城西地区に配達に行った。
『上田君!いずれ一人で配達に行くようになるから、道を覚えていてね』
『はい!得意先は何処まで配達に行くんですか?』
『城西地区は環状七号線内側新宿までだね』
『遠くまで行きますね』
『上田君は、出身地はどこだっけ?』
『山梨県です』
『じゃ!新宿は来たことがあるね!?』
『いぇ!高校卒業するまで東京には修学旅きました。しかし、浅草を東京タワーに上っただけです』
『それでは、新宿は一度も来たことはないわけね』
『はい!初めてです!!』
『これから、城南、城西には配達に行くことが多くなるから覚えるようにして』
『道が細かくて複雑ですね!覚えられるかな?』
『大丈夫だよ!得意先の名前さえ覚えれば、道が自然と頭の中に入るよ』
『しかし、街並みがみんな同じに見えますよ』
『もし!会社に帰える道が分からなくなったら、東京タワーを目標に戻ってきて』と先輩の瀬田さんにアドバイスを受けた。
『確かに、よく見えますね』と甲州街道杉並区から見た。
『森ビルは多いけど、高いビルがないからね』
『先輩たちも、そうやって覚えたんですか』
『そうだよ!地方から来た社員も多いからね』

静岡県・茨城県・福島県・宮城県・岩手県・青森県など、太平洋側の得意先は隅田川に地域別の集荷場が有った。
また、大西洋側の、新潟県・秋田県・山形県などの得意先は運送屋の連結で運んだと思う。
その中継所から船に乗せて各県の港に着け現地の運送会社で運んで貰っていた。
現在のように流通網が完全に整備されていなかったので、商品が得意先に到着するまで三日か四日程掛った。
それでも、得意先からのクレームは一度もなかった。
そして、東京から発送出来ない全国の地方都市には、支店や営業所を設立して商品の安定供給をしていた。 
江東本社・荒川支店・湾岸浦安支店・練馬支店などの大手急便にも、トラックの備品清掃を納品していた。
『まいど!軍手とウエス持ってきました』と担当の田沢さんに挨拶した。
『ご苦労さんです!』
『何処に置きますか』
『こっち』と鍵のかかった備品入れロッカーを開けた。
『いちいち、鍵をかけるのは面倒じゃないですか?』
『かけておかないと、運転手が燃料を入れた時の持って行ってしまうんだよ』
『すると、売り物ですか?』
『いや!使えなくなったら交換すんだけど、マイカーの清掃に使うんだよ』
『なるほど』とわかるような気がした。
そして、時計を見るとPM1時を過ぎていた。
『また来ます』
『これから、何処に行くの?』
『何処かで食事してから湾岸営業所方面に行きます』
『それなら、ここの社員食堂で食べていきなよ』
『あるんですか?』
『そう!一般の食堂より可也安く食べられるよ』
『本当ですか』
『社員しか来ないから、今の時間なら空いているよ』
『じゃ!行ってみます』
『注文があるときは、携帯に電話するね』
『よろしくお願いします』
荒川支店敷地内裏の社員食堂に行き昼飯を食べることにした。
初めて入ったときは賄いのオヤジさんもおばさんも『この人、だれだろう?』と云う顔していた。
『何にしますか?』と給仕のおばさんが聞いてきた。
『生姜焼きセットを願いします』
食べていると村沢課長が入ってきた。
『まいど!!』
『なに?ここで食べているの?』
『さっき、田沢さんに教えてもらったんですよ』
『なるほでね』
『はい!ここは、大衆食堂で食べるより安いんですよ』
『社員専用だからね』

食事をしながら時間があったので、ゴマすりがてら大手急便の村沢課長に聞くと教えてくれた。
『課長!宅急便と急行便とはどう違うんですか?』
『宅急便は、直接近場のお客の家に荷物を届けるけど、急行便は企業の荷物を全国に運ぶんだよ』
『それで、大きい物流センターが各県にあるんですね』
『24時間ベルトコンベアーが動いているよ』
『運転手さんなんか、男トルコと言われていますもんね』
『本当に忙しいよ』
『じゃ、若いうちしか出来ないですね』
『僕も、若い頃は運んでいたけど、鍛えておかないと体を壊すね』
『トラックの荷台から荷物の積み下ろしは、大柄の人間よりは小柄でがっしりしている体格の方がいいんだよ』
『どうしてですか?』
『背が高いと、荷物の持ち運びで腰を痛めやすいんだよ』
『なるほどね』
『老人介護でも、背の高い人に、高く抱き上げられるより、背の低いがっしりとした人に、抱えられた方が安心できますものね』
『それに、小柄だと、腰から下の荷物に直ぐ手が届くから、腰への負担が軽く済むんだよ』
『それに、トラックの座席から乗り降りもはやいからね』
『しかし、応募者を選んでいたら人が集まらないから、体を壊しても自己責任になるんだよ』
『そう言えば、配達人は20代の人ばかりですね』
『それで!30歳過ぎると内勤になるんだよ。しかし、給料は可也下がるけどね』
『辞めて、宅急便運送に行っても同じでしょうね』
『確かに、同じ業界だから変わりはないね』
『なかなか慣れた業界から足は洗えないですからね』
『ただ、荷物の重量が違って軽くなるけど配達量が増えるからね』
『でも、給料はいいらしいですね』
『そうだよ!目的を持って働けばひと財産作れるよ』
『あれだけ走っていれば事故も多いでしょうね』
『そう!毎日あるよ!?安全運転の幟を立てていても起きるよ』
『それに、事故を起こすと給料が下がるから、軽い事故は自分で処理しているみたいだよ』
『その処理が大変ですね』
『事故係がいるから営業部には影響はないけどね』
『それでも人身事故となると、そう行かないでしょう』
『裁判沙汰にもなるよ』
『大型車が多いですものね』
『これからは、2トン車クラスで小回りを効かせるようになると思うよ』
そして『荷物を一社で全国に運ぶには県ごとに縄張りが有り路線を買わなくては成らない』と言っていた。
しかし、全国の路線を買う事は100%無理だった。
京都の大手急便と合併して太い動脈線を繋ぐことができた。
そして、南方面の路線を持っている運送会社や北方面の運送会社と合併して行った。
また、業務提携して行き、全国北は北海道から南は九州沖縄まで配達出来る様に成っていた。 
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