悪魔の囁き

少年時代の友達と楽しかった遊び。青春時代の苦い思い出。社会人になっての挫折。現代のどん底からはいあがる波乱万丈物語です。

若葉と青葉と紅葉と・・・

2016-10-25 11:21:17 | 日記
第一話【小さな目】


私が小学校二年生の時に、伝書鳩を飼うのが大ブームになっていた。
そして、長兄が今井町の鳩屋から黒にビキニの鳩を一つがい買ってきた。
今では、いくらで買ったかは覚えていない。
何処の家でも鳩を飼っていたので他の町内から悪ガキが鳩を盗みに来ていた。
また、野良猫にも獲られないように、3メートルほどの高い柱を立てて小さな鳩小屋を作った。
餌やりや水やりはハシゴを作り登って与えていた。
朝運動で飛ばし帰ってくると、アルミのバタンコを板で塞いで開けられないように石を置いていた。
それだけ用心深くしないと、バタンコから入られて食われてしまった。
新しい鳩小屋に慣れるまでは1ヶ月ほどかかるので中に入れたまま飛ばさなかった。
次兄は飛んでいる鳩を見て、自分の家の鳩を飛ばしても鳩小屋に帰ってくると思っていた。
長兄が学校に行っている隙を見て小屋から出して飛ばした。
すると、鳩は家の上空を3回周り今井町の方に飛んでいった。
長兄はクラブ活動が終わり5時頃帰ってきた。
『キミオ。鳩どうした』
『光司が飛ばした』
『光司!そうなのか!?』
『うん!!』
『バカ!!』と怒鳴り殴られた。
『わぁ~ん、エェ~ン』
『キミオ。鳩屋に行って返してもらってきて』
『うん』と今井町の鳩屋に50分歩いて取りに行った。
『オジさん。鳩帰ってきていない』
『来ているよ』
『返してよ』
『もう、逃がしてはダメだよ』と優しく言って返してくれた。
『ありがとう。光司まだ鳩小屋に慣れていないから飛ばすなよ』
『うん』
次の日も、長兄が学校に行くと次兄は鳩を出して飛ばした。
そして、長兄が帰って来た。
『光司。また、飛ばしたのか。何回言ったらわかるんだ』とまた、殴られた。
『わぁ~ん、エェ~ン、エェ~ン』と泣くだけだった。
『キミオ。鳩屋に行って返してもらってきて』
『また』
『いいから、行ってこい』
『おじさん!鳩帰ってきていない』
『来ているよ』
『返してよ』
『今度逃がしたら返さないからな』と釘を刺された。
『兄ちゃん。今度逃がしたら返さないって』
『そうか。鍵を変えるほか無いな』
1ヶ月が過ぎ、鳩小屋に慣れて飛ばしても帰ってくようになった。
そして、平鍵からダイヤル式に変えた。
他の家では、鳩小屋に慣れるまで、鳩が逃げないように翼の羽を抜いている子供もいた。
次兄は平鍵の時は合鍵で開けられたが、ダイヤル式では数字が分からず鳩を飛ばすことが出来なくなった。
そして、考えた挙句、蝶番をドライバーで外し飛ばそうとした。
しかし、何を思ったのか?尻尾の羽を抜いて飛ばした。
すると、鳩はブレーキが効かず屋根に止まることが出来ず、通りすぎてしまった。
『なんだあれ!ロケットじゃねぇ』
『ウァハハ八八ノヽノヽノヽノ \』
そして、鳩は止まろうと羽のなくなった尾翼を下に下げて体を起こしてようやく止まった。
『光司。兄ちゃん帰って来たら怒られるぞ』と脅かした。
『うおぉー』と私に殴りかかってきた。
そして、
『空き缶で作ったバラ刺が出ている柄杓で頭を殴られた。
すると、生暖かい液体が顔に流れ落ちてきた。
そして、手で拭うと真っ赤な血だった。
『わぁ~えぇ~』と泣き出した。
今でも、殴られた右側の頭には三日月型の傷が禿げて残っていいる。
そして、長兄が帰って来た。
『光司!バカヤロー』と殴られた。
『わぁ~ん、エェ~ン、エェ~ン』
『しょうがねぇなぁ』

私も鳩が好きで学校で授業を受けていても外が気になり上の空で先公の話を聞いていなかった。
『アパ!何処を見ているんだ』と国語の黒田先公に怒鳴られた。
『真面目に話を聞け』
『アパ!こっちに来い』
そして、教壇に呼ばれて殴られた。

鳩は増えるのが早く、1年で20羽程になった。
そして、長兄と父ちゃんと二人で鳩小屋を作り人が入れる畳1畳ほどの大きさになった。
30羽ほどのつがいが出来ると、卵を産めるように四角く区切った。
鳩は平和のシンボルと言うが、ヒナが巣皿から落ちると、周りの鳩が巣から飛び出てきてつつきまわして殺した。
小学校四年の時に、私の裏の田んぼを埋め立てた都営住宅に抽選りで当り引っ越す事になった。
産めよ増やせよで増えすぎてしまった鳩を処分する事になった。
そして、鳩ブームは続いていたので、近所の友人たちに鳩屋より安く売った。
そして、2羽のつがいだけ残して、都営住宅に持っていった。
そして、小さな鳩小屋を作り飼っていた。
そして、野良猫に盗られないようにバタンコを板で塞いで石で抑えていた。
しかし、石が小さかったのか下に落ちていて、鳩は足だけ残し2羽と食われてしまった。
それから、ハトを飼うのは止めた。
つづく