透明タペストリー

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1-2 火の見櫓のタイポロジー

2017-06-03 | A「火の見櫓っておもしろい」を本にしよう

1-2   火の見櫓のタイポロジー

花のデザインの多様性に気がついた小学生のA君が夏休みの自由研究で花の分類を試みたとしてみましょう。A君は花の色と花びらの数というふたつの視点によっていろんな花の分類を始めます。すると庭に咲いているアサガオが上手く分類することができないことに気がつきます。色には白や青や紫などがありますし、花びらの枚数で困ってしまうでしょう。

そこでA君は考え方を変えて花の色や花びらの数ではなくて、花の咲く季節と花の大きさで分類したらどうだろうと考えます。それで大きな模造紙の横方向を春夏秋冬の4つに分け、縦方向に大きさを何段階かに分けてできるマス、例えば5段階に分ければ20個のマスができますが、そこにいろんな花のイラストや写真を貼ります。それをリビングの壁に張り、家族で毎日見ていれば夏休みが終わるころまでに何か傾向を見つけることができるかもしれません。

火の見櫓は十基十色、みなそれぞれ形が違います。タイポロジー、分類学は研究の出発点ですから、火の見櫓研究の出発点としてタイポロジーを考えます。

火の見櫓の形の分類は花の分類ほどやっかいではありません。適切な視点を据えればいくつかのタイプに分類できるはずです。火の見櫓の形の分類について考えるとき、串刺しおでんが参考になります。3角のコンニャクと4角の厚揚げ、円いダイコンを刺してあれば、串の本数の1、コンニャクの3、厚揚げの4、ダイコンの〇を捉えればよいのです。この場合「1本34〇」と表記することができます。

これに倣って火の見櫓は櫓の形を脚の本数に置きかえ、屋根、見張り台、踊り場という火の見櫓の各部分の形によって分類すればよく、表記は次のようにします。例えば川上村の火の見櫓(写真1-2-1)の場合は「1脚444」、富士見町落合(写真1-2-2)の火の見櫓は「4脚44〇」。おでんの場合、形だけ捉えてもその具材が具体的に何なのか分かりませんが、火の見櫓の場合はどれも鉄ですからこの表記で十分です。


写真1-2-1 川上村の火の見櫓


写真1-2-2 富士見町落合の火の見櫓


写真1-2-3 北杜市の火の見櫓

中には北杜市の火の見櫓(写真1-2-3)のように分かりにくいものがあります。後ろの1本を脚とみるかどうかです。手前の梯子を支える単なるバックステー(つっかい棒)と見なせば2脚で屋根も見張り台もありませんから「2脚無無」とでも表記すればよいでしょう。

安曇野市三郷(写真1-2-4)の場合も判断に迷いますがバックステーも前の2本と横架材で繋いでいますし、ブレースも入れていますから、櫓の構成要素と捉えて、3脚とするのが妥当でしょう。では小屋根はどうでしょう。櫓の上のみと屋根の位置を決めれば、屋根は無いことになり「3脚無無」となります。


写真1-2-4 安曇野市三郷の火の見櫓

筑北村本城の火の見櫓(写真1-2-5)は脚は3本で屋根は無く、見張り台は面取りをした4角形で「3脚無4」となります。


写真1-2-5 筑北村本城の火の見櫓

このように火の見櫓の多様な形を脚の本数・屋根・見張り台・踊り場の形の数字を並べることによって簡略化して示すことができます。3脚の場合、屋根や見張り台は3、6、〇。4脚の場合は4、8、〇。例外もあるので規則性とまでは言えませんが、この組み合わせが多いという傾向が見られるはずです。このような組み合わせでないと柱と屋根や見張り台が上手く納まらないからです。


写真1-2-6 信濃町富津の火の見櫓

「3脚44」という例外的な組合せの火の見櫓
 

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