「古事記」21世紀少年少女古典文学館 橋本治/講談社
■ 昨日(12日)松本駅前の丸善で「古事記」に関する本を探しました。「古事記」次田 真幸/講談社学術文庫(三巻)があります。パラパラ頁を繰ってみましたが、私にはハードルが高そうでした(でもいつか読んでみたいと思います)。ということで見つけたのがこの本です。少年少女向けだと侮ってはいけません。この全集、全25巻の筆者がすごいのです。
例えば2卷「竹取物語」北杜夫、5、6卷「源氏物語」瀬戸内寂聴、9卷「今昔物語集」杉本苑子、10卷「方丈記」三木卓、11、12卷「平家物語」吉村昭、14卷「太平記」平岩弓枝、17卷「西鶴名作集」藤本義一、21卷「里見八犬伝」栗本薫、24卷「万葉集」大岡信 と、まあこんな具合。講談社の力、良心!
「古事記」は上巻、中卷、下巻の三卷から成っていますが、上巻は神話、神様たちだけの物語です(いかにも知っているように書きますが、実はこんな基本的なことも知りませんでした。中卷、下巻は「神話」から「歴史の物語」になっているということですから、やはり一番面白いのは上巻でしょう。橋本さんも同様のことをあとがきに書いています。
少年少女ってどのくらいの年齢を指すのかよく分かりませんが、この本は小学生には難しいのではないかと思います。いや、そうでもないかな。
難しい語句には補足説明が付いています。例えば高天原には**天にある天つ神の住むところ。地上の葦原の中つ国に対応している。そこに住む神々は、現実の大和朝廷を構成している人々をモデルとしており、高天原にある山や河も、天香久山(奈良県に実在する)など現実の畿内周辺の地名と対応している。**という説明があります(20頁)。この本は大人向けといってもいいかもしれません。村上勉のさし絵がすばらしいです。
残念なことをひとつだけ挙げます。それは神様の名前がカタカナ表記なことです。例えば、高天原に最初に出現した天御中主(あめのみなかのぬし)は天の中央にいて天地を支配する至上の神というように、名前はそのまま御神得をあらわしているということですから、漢字表記をして欲しかったです。ただし漢字は読めませんからふりがな付で。ただでさえ名前を覚えるのが苦手なのに、カタカナの神様は無理です、覚えることができません。
私は雑誌「日本の神様」徳間書店を参照しながら読みました。中身が濃いです。
因幡の白うさぎ(稲羽の素兎)の物語、八俣の大蛇(おろち)退治の物語、海幸彦・山幸彦(海佐知昆古・山佐知昆古)の物語。小学校の低学年の時に読んだことのあるこれらの神話、遥か昔の記憶がよみがえってきます。そして古事記の神話の大きな流れの中にそれぞれの物語が位置づけられていきます。
**日本人の心と行動すべての原初の姿を見つけることができる。**と本のカバーにありますが、神様たちも嫉妬するし、悪さもするし、本当にその通りです。
日本の神話がこんなに面白いとは! 定価1400円(税別) 安い!
こんな律儀な仕事もなさってたんだ
「古事記」近辺は、全くと言っていいほど未踏峰
この全25巻、すごく興味有ります
杉本苑子、吉村昭....いい連中ですね
そうです、「桃尻娘」の橋本治です。
私も全巻揃えたくなりました。
村松友視の「東海道中膝栗毛」も面白そう。
監修は司馬遼太郎、田辺聖子、井上ひさしです。
ほんと、講談社もやりますね。