まちづくりぷらす

ブログをお引っ越ししました。
すでに更新は停止しています。

夕張応援豆腐に見るコーズリレイテッドマーケティング

2008年05月06日 | まちづくり
ずいぶん前の話ですが、写真にある「夕張応援豆腐」を買いました。
この夕張応援豆腐は名前のとおり、夕張市に対する寄付金が含まれています。
 名称        内容量  価格  寄付額
・福よせ夕張応援豆腐 500g 188円 5円
・夕張応援豆腐きぬ   300g 105円 3円

両方の商品とも、希望小売価格の3%弱が寄付金となっています。

この夕張応援豆腐の動きに呼応して、イトーヨーカドーは北海道地区店舗(13店舗)、
首都圏店舗(50店舗)の計63店舗で商品を扱い、支援する
ようです。
小売店にとっても社会貢献を打ち出せる「便利なツール」ということでしょうか。

これは、「コーズリレイテッドマーケティング」の一例です。
「コーズリレイテッドマーケティング」とは、
「特定の目的に関連づけたプロモーションを行う手法」を指します。
人々が自社の商品を購入した量などに応じて、
企業が環境保護活動やNPOに寄付を行うというもので、
消費者それぞれの問題意識に働きかけるマーケティング手法です。
最近では、ボルヴィックの「1L for 10L」キャンペーンなどがこの一例です。

実際、財政的に問題があるのは夕張だけではないと思いますが、
メディアで報道されたため、人々の頭の中に「夕張=財政難」があるんでしょう。
そういう意味で「コーズリレイテッドマーケティング」は、

1.ターゲットはすでに人々の頭の中にある(漠然とした)問題認識
2.そのターゲットは一定以上の数が求められる

つまり、人々の頭の中にない問題認識に対して訴えたとしても、
ほとんど購買の選択肢とはなりえないのだろうという印象です。
その意味で使えるのは限定的な問題に対してなのかなぁ、と
(もちろんボルヴィックのようにCMをガンガン流せればまた別ですが…)。

以前、地域通貨を調べていたときに作った資料を以下に記しておきます。
-----
「地域経済活性化のツールにはどのようなものがあるのか」

 地域の資金循環が乏しいという問題に対して、地域の資金循環を活発にする取り組みは、地域通貨という手法が用いられる以前より各地で行われてきた。それを「コミュニティファイナンス」と呼ぶ。
 コミュニティファイナンスは、大きく分けて以下の3つの手法がある((1)、(3)は諸外国で行われている手法)。

(1)法律を利用する手法
・地域再投資法(CRA: Community Reinvestment Act)
 監督官庁に対し、金融機関が所在をおく地域においてどのような金融行動(貸出金の多寡や提供サービスの水準など)をとっているのか、検査・監督し、結果の公表を義務づけるもの。金融機関の行動は格付けされ、その結果は金融機関が店舗を新設したり合併したりする場合の認可基準の参考にされる。
・アフォーダブル住宅向けのタックス・クレジット制度(Low-Income Housing Tax Credit)
 低所得者層向けの住宅を建設したディベロッパーに対し、建設費用の約9%の税額控除権を法律で認めるもの。権利は投資家などへの地位の移転が自由。これにより、事業の低収益を補い、低所得者層向けの住宅が建設されることになる。

(2)人々のもつ寄付・コミットメント意識を利用する手法
・社会的責任投資(SRI: Socially Responsible Investment)
 SRI型金融商品は、投資先事業の選択尺度に、財務格付けのみならず環境問題等CSRへの取り組み状況を加味したCSR格付けも加味し判断する。CSRを考慮したい投資家は資金の流れを振り替えることができる。
・コーズ・リレイテッド・マーケティング(CRM: Cause Related Marketing)
 特定の目的に関連づけたプロモーションを行う手法である。人々が自社の商品を購入した量などに応じて、企業が環境保護活動やNPOに寄付を行うというもの。日本で最近多くなっている風力発電ファンドなどの取り組みはこの位置づけ。

(3)金融スキーム自体を工夫する手法
・マイクロファイナンス(グラミン銀行)
 お金を借りることができない貧困女性層5人1組のグループに組成し、そのグループに対して生活資金を融資するもの。グループ内で互いに連帯保証を行うピアプレッシャーを掛け合い、貸倒率を低く抑える。また別にNPOを設立し、テクニカルアシスタンスを行い、返済可能性を高める。
・CDFI(Community Development Finance Institutions)
 地域の小さな企業や、コミュニティの再生に貢献するような事業にのみ特化し低利で融資を行う金融機関。銀行の趣旨に賛同した人が低利で金融機関に預金をしているため、あまり儲からない事業への融資が可能。

参照:斎藤成人「地域通貨の意義とコミュニティファイナンスへの応用可能性」『農業と経済』2003年5月

-----

最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
おひさしぶり (みやした)
2008-05-14 12:54:08
そうそう、これね。
3月末に見つけたとき
メールしようかと思ってたけど、
忘れてました。
どうも (わかお)
2008-05-18 10:12:30
そうなんですよ。
また買っちゃいましたね(笑)

コメントを投稿