ミーハーおかんの甘辛雑記

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「陥人~どぽんど」あらすじ

2006-09-12 00:59:38 | 林剛史
あらすじ
ヴェニスの街では、新元首ダンカンの就任を祝うお祭に浮かれていた。そこに商人シャイロックが、アントーニオの船が沈んだという知らせを持って現れ、3000ダカットの負債を返せなければ、担保である心臓に最も近い肉1ポンドをよこせと迫る。
その負債は、元々は、ポーシャに求婚するために、一文無しのバッサーニオが親友アントーニオから借りたもの。
裁判を要求するシャイロックに、ローマから来た「バルサザー法学博士」(ポーシャの変装)は、「その要求は正しい」と判決する。喜ぶシャイロックに、しかしバルサザーは「ただし、血は一滴も流してはならない」と告げる。
殺人未遂で財産を没収されたシャイロックは、アントーニオの慈悲で命は助けられるが、絶望して海に身を投げる。

海に沈んだシャイロックを引き上げる海女。
「海女だから、海の底からいろいろ拾うのよ」
同じように青い海の底から拾われていたのは、怪物のような「青子」キャリバン。
海女=シコラクスは実は魔女。あわせて海魔女(あまじょ)のシコラクスが血の海を欲し、アントーニオの船を沈めたことを知ったシャイロックは「復讐に手を貸してくれ」と頼む。キャリバンの父親になることを条件にシャイロックに協力するシコラクス。

突然の暴風雨に見舞われるヴェニスの街角で雨宿りをしたアントーニオは不思議な女性(=シコラクス)に会う。
「万歳、アントーニオ。賢明なるヴェニスの金庫番となられるお方」
「万歳、アントーニオ。勇敢な将軍となられるお方」
「万歳、アントーニオ。偉大なるヴェニスの元首となられるお方」
と言い残して女は去っていく。
いぶかしがるアントーニオに、オセローが、元首ダンカンがアントーニオを大蔵大臣に指名したという知らせを持ってくる。

一方で、ポーシャは岬で暴風雨に翻弄されている。
雨宿りをした小屋の中の音に興味を示していると、不思議な男が現れ、彼女を賭博に誘う。キャリバンは見えないカードが分かるから、彼の言うとおりにしておけば、負けることはないと。
1ダカットが一瞬で100ダカットになったポーシャは、賭博の魅力に引き込まれていく。男が名乗った「バルサザー」という名前にも気付かぬほど。

ポーシャの屋敷では、女中へレナが掃除に躍起になっている。そこに現れたバッサーニオ。
ポーシャがこんな時間にいないことをヘレナに問い詰めるバッサーニオ。一方へレナは婚約者だと思っているのはバッサーニオだけではないのか、と詰め寄る。
他にも求婚者がいて、、高価なプレゼントを贈っていると言われ、プレゼントをもっと贈らなくてはと思うバッサーニオだが、相変わらずの一文無し。
そこにポーシャが帰ってくるが、彼女の興味はもうお金だけになっている。ヘレナの貯金箱まで当てにするポーシャに対し、バッサーニオはその100ダカットを用意しようと約束する。

大蔵大臣になったことで、女の言葉を予言として考え出すアントーニオ。そこにオセローが妻デズデモーナを連れて現れ、アントーニオがキプロス奪還の総指揮をお行う将軍に指名されると言う話を持ってくる。
運命の大転換にうろたえ、さらにその先の「元首」の地位を、待つのか、自分で手に入れるのか悩み始めるアントーニオ。
そこにダンカンが「前祝」の酒を持って現れる。
目の前で眠りこけるダンカンを見て、アントーニオはダンカンの殺害を決意し、実行する。
その時、屋敷内で音がし、アントーニオは驚く。現れたのは親友バッサーニオ。バッサーニオのうろたえように、ダンカン殺害を見られたと思い込んだアントーニオは、「何か話があるんじゃないのか?」と言うが、バッサーニオの口から出たのは「100ダカット貸してくれ」。親友が強請りに変わったことを嘆くアントーニオだが、友情が消えるというのは自分がダンカンにしたことと同じだと気付く。

デズデモーナといるオセローに、元首ダンカンがアントーニオの屋敷で亡くなり、新元首の候補にオセローとアントーニオの名前が挙がっていると伝えるキャシオー。
アントーニオの屋敷でダンカンが死んだことに疑問を持つオセローだが、ここはアントーニオに元首を譲って様子を見ることにする。

ダンカンの葬儀と新元首アントーニオの就任式。祝いの祭の裏では、ポーシャが賭博にはまっていた。
100ダカットが1500ダカットまで増え、有頂天のポーシャ。次は大勝負とばかり全額を賭けるが、「どぽんどぽん」で親の総取り。ポーシャは一文無しになってしまう。キャリバンを責めるポーシャだが、バルサザーから「引いた波は倍になってまたやってくる」とそそのかされ、さらにお金を持ってこようとする。

小屋の外に出たポーシャを待っていたのは女中へレナ。賭博にのめりこんでいくポーシャをいさめるのだが、ポーシャは聞く耳を持たない。
1000ダカットもの大金をせがむポーシャに困り果てたヘレナの後ろから、バッサーニオの声「僕がそのお金を出そう」と。
大喜びして帰っていくポーシャだが、お金に興味のないバッサーニオには、彼女の気持ちが分からない。そんなバッサーニオに、ヘレナは「お嬢様はもう札束のとりこで、結婚する気などはない」と脅かす。愕然とするバッサーニオを、しかしヘレナはからかうことにする。ポーシャの嫌いなタイプの服や行動を進めるヘレナ。すっかりその気になり帰っていくバッサーニオ。

一艘の小船が、嵐の海に漂っている。
乗っているのは、東方見聞の冒険を終えたマルコ・ポーロとその部下(?)ドローミオ。嵐の海に投げ出される二人だが、無事にヴェニスに流れ着く。

新元首アントーニオの写真を撮ろうとしているアントーニオとオセロー。
写真が写るまで待つアントーニオの脳裏にダンカンの言葉がこだまする「アントーニオ、お前がか」。
狼狽するアントーニオ。「俺には勤まらん」と元首の帽子をかぶってみせるオセローに怒りを示すアントーニオ。

急な大雨にそれぞれ雨宿りをするアントーニオとオセロー。そのオセローのところにあの女(シコラクス)が近寄り、何かをささやく。
オセローにも自分と同じようなことを言ったと思い込むアントーニオは「お前が元首となることはない!」とつぶやくのだった。

デズデモーナがオセローを探して現れる。
そのデズデモーナに、女が渡した不思議なハンカチの話をするオセロー。
そのハンカチを妻が手放せば、たちまち夫は妻を裏切る、という魔法のハンカチだと。
話半分に聞いているデズデモーナだが、綺麗なハンカチは欲しいので、オセローにねだり、持って行く。

バッサーニオが約束した1000ダカットを待つポーシャだが、現れたバッサーニオは、黄色のピチTに、ふんどし姿。妙な行動をして、ポーシャを嫌な気分にさせる。その行動はすべてへレナが仕組んだことではあるが。
「それで!お金はどうしたの?1000ダカットは?」というポーシャの声に我に返るバッサーニオ。ポーシャの心をつなぎとめるために1000ダカットを工面しに行く。

マルコ・ポーロの生い立ちが語られる。彼は幼い頃船が難破したことで、両親、双子の弟パルコを失い、東方の浜に打ち上げられたのだ。
マルコとドローミオは、ヴェニスの街角で別れる。そこにポーシャとヘレナが現れる。バッサーニオからもらった指輪を質に入れようとするポーシャと、それをとめるヘレナ。そこにマルコ・ポーロが声をかけるのだが、その姿は「バッサーニオ!」
しかし、バッサーニオ(と思われているマルコ)はヘレナの美しさをたたえるばかりで、ポーシャはぼろくそ。挙句「君を妻にするなんて、ありえない」と言われ、激昂して指輪を売り払うことにするポーシャ。
そんなマルコに「あなたは本当にバカね!」と怒るヘレナ。

アントーニオの屋敷をバッサーニオが訪ねてくる。金をせびられることは覚悟しているアントーニオだが、その額が1000ダカットに上がっていることに衝撃を受ける。
さらに、窓の向こうにダンカン(にそっくりなドローミオ)の姿を見つけ、狼狽するアントーニオ。

街の喧騒を縫うようにして、アントーニオはスラムに入り込む。
実は彼は、ここで生まれ、成り上がっていったのだ。
弟分イアーゴーに、将軍の地位を約束して、オセローを陥れることを依頼する。

そのスラムに迷い込んだデズデモーナとオセロー。
イアーゴーはデズデモーナの気を引き、さらにオセローの心に触れるような行動と言葉によって、彼の付き人に引き上げられる。
そこにキャシオーが現れるのだが、些細なことからオセローに疎んじられてしまう。自分の行動を嘆くキャシオーに、デズデモーナにお願いしろとアドバイスするイアーゴー。

オセローは、デズデモーナと二人でいるキャシオーに気付く。「まさか、あのように後ろめたそうに慌てて帰っていく方ではあるまい」と言うイアーゴー。
デズデモーナから、キャシオーと仲直りしてくれと懇願されるオセローだが、イアーゴーの言葉が残り、その願いを素直に聞くことができない。
そして、イアーゴーの巧みな言葉によって、デズデモーナとキャシオーの関係に疑惑を抱いていくオセロー。
イアーゴーはさらに、デズデモーナのハンカチがキャシオーの手元に行くように細工する。

婚約指輪を手放し、賭博にのめりこむポーシャ。しかし負けは込むばかり。
金策をバッサーニオに頼み、そのバッサーニオはアントーニオに借りに行く。金額が100万ダカットにまで膨らんだ時、アントーニオはバッサーニオを亡き者にする決意をする。その姿を目にし、驚くキャシオー。
並行して、オセローはデズデモーナへの疑惑を確たるものにしていき、ハンカチをキャシオーが持っていることを知った時、デズデモーナの殺害を決意するのだ。
そして、バッサーニオにヘレナは「お嬢様が『今宵、暗闇の床で誓いを』」と伝える。

そんな不気味なヴェニスの雰囲気に気付くマルコとドローミオ。
「これは海の呪いか、海に落ちた誰かの呪いだ」

ポーシャの負債は100万ダカットにまで膨らんでいた。
しかしまだ、その負債も一時の運で1000万ダカットに増えるのだというポーシャに、バルサザーは「無理だろう」と告げる。
耳を疑うポーシャ。しかし、1000万ダカットというのはヴェニス一国の一年の稼ぎにも相当する額なのだ。
賭場は閉まった。ポーシャの手元には100万ダカットの負債だけが残り、絶望するポーシャ。そのポーシャは、キャリバンが賭場の主人を「ママ」と呼ぶのを聞き、真相に気付き始める。そして、バルサザーという名前を思い出す。
バルサザーが正体を現す。シャイロック!
シャイロックの復讐によって、ヴェニスは破滅に向かう。その破滅の姿を目にするポーシャ。剣を手にするアントーニオ、デズデモーナを殺しに向かうオセロー、バッサーニオでさえ、誰かの床に入っていく・・・。
困惑したポーシャは、無意識にバッサーニオに助けを求めるが、そのバッサーニオはヘレナの企みで彼女と契りを結んでしまっていた。

絶望したポーシャは、シコラクスらの誘いにのって、海にその身を投げるが、マルコとドローミオによって助けられる。
「商人(あきんど)でも陥人(どぽんど)でもなく、旅人(たびんど)だ!」
計画は狂った。

ポーシャを助けたマルコとドローミオ。そこに、アントーニオが現れ、マルコをバッサーニオと思い襲い掛かる。ドローミオがアントーニオを抑えようとし、そのダンカンそっくりな姿に怯えるアントーニオ「俺の罪を許してくれ」。
ところが、バッサーニオが別のところから現れる。マルコとバッサーニオ。バッサーニオは自分が子供の頃は「パルコ」だったと告げる。マルコの双子の弟だったのだ。そしてドローミオもダンカンではないことがわかる。
「ばかばかしい!」と一笑するアントーニオ。ポーシャ達に「許してくれって?」「罪って?」と聞かれ、「覚悟はできている、君の口から話すがいい」とバッサーニオに言うアントーニオだが、バッサーニオは何のことかわからない。ついにアントーニオは自分の口で、自分が元首ダンカンを殺したことを打ち明ける。
ところが、バッサーニオはそれを聞いて激しく動揺している。実は彼は見ていなかった。それを知ったアントーニオは、今まで自分がしてきたことはなんだったのかと嘆く。
「呪いよ」とポーシャ。海魔女とシャイロックの呪いにはめられたと気付くみんな。
そこにシャイロックたちが現れる。「お前達がヴェニスの不安の正体か!」と戦いを挑むマルコとドローミオ。
「計画は狂ったが、まだ終わってはいない」と、オセローの悲劇を伝える。嫉妬に狂い、デズデモーナを殺そうとするオセローと必死で止めるキャシオー。
その姿は、自分が仕組んだ罠だと知っているアントーニオはオセローを止めようとするが、波に翻弄される。それでもオセローのところにたどり着いたアントーニオは、イアーゴーから「あと少しだよ」と言われるが、逆に彼を平手打ちする。「間に合った、オセロー」。

海に逃げようとするシャイロックたち。マルコ・ポーロに阻止されようとするが、何とか沖合いまで逃げることができた。
しかし、その船を襲う嵐。シャイロックはシコラクスとキャリバンの船から落ち、ヴェニスに打ち上げられる。

気付いたシャイロックを囲むのは、彼に陥れられた人たち。
シャイロックが死ななければ、ヴェニスの正義が救われない。何よりダンカンが救われないと言う彼らを、ドローミオが止める。「ここは寛大さを持って対処したい」。
いぶかしがるみんなだが、ドローミオの口調と表情で、ダンカンだと気付くオセロー。ダンカンは死んでいなかったのだ。
「アントーニオ、僕は君を許すよ。だから君も彼を許しなさい」「誰の血も流れない茶番だったのだ。それはそれでよいではないか」
ダンカンの広い心に胸打たれるシャイロック。

元首ダンカンの復帰を祝う祭の影で、イアーゴーがつぶやく「何がヴェニス万歳、だ」。
アントーニオはそんなイアーゴーにスラムに帰るように告げる。「俺は生まれ変わるんだ。」
「裏切り者」とつぶやいたイアーゴーは、アントーニオを殺す。

真っ赤な血。血の海から赤子の声がする。
美しく生まれ変わったキャリバン。
それは、ヴェニスの愚かさから生まれた子供。愚かなヴェニスが捨てた、誰のことも分からない子供を身ごもった娼婦の思いを乗せた海とヴェニスの愚かさとの子供。
「救われないのか、このヴェニスの愚かさは」と嘆くシャイロック。
「救われたいの?」とシコラクス。
「誰よりも罪深き故」「すべてを水に流して」「時が戻せるのなら」
「海よ、我らの愚かさを許したまえ」

娼婦の性で断ることができないシコラクスは、キャリバンを流して、シャイロックの思いを実現する。

なにもなかったかのように喜びに沸くヴェニス。その影で流れていくキャリバン。

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