第一話「ドキドキ! 零下百万度の熱視線!」
私立デストラクション学園小学部四年生の日枝流葉図世レイカ(ヒエルハズヨ・レイカ)は、恋に恋する女の子。
大人の事情で退職した担任の代わりに赴任してきた若い先生(貫一。二十四歳。メガネ)に一目惚れしてしまう。
友達のマコにせっつかれて、放課後、貫一先生が新しく顧問となったクラブを見学に行く。
そのクラブこそ、超世紀氷上石合戦、カーリング・インフェルノだ!
突如道場破りに現れた他校のママさんチーム。大人が子供と死合うなんて、と止めに入った貫一先生は、レイカの目の前で血祭りに上げられる!
「あははは! 審判! バトル・ゴーよ!」
リンクの一角が開き、重量一トンの巨大なストーンがはじき出される。
「おのれーー!!」
レイカの中の、全人類に標準装備の能力制御装置が、砕け散った。アドレナリンが沸騰する。
レイカは立てかけてあったエンジェル・フェザー・アームズ(ブラシ)を掴み、リンクに躍り出る!
「貫一先生の仇ー!」
だが、真空が出来るほどの勢いで振り下ろされたブラシは、もう一本のブラシで受け止められた。敵ではない。チーム・デストラクションのキャプテン、冬実(六年生)だ。
「落ち着きなさい! エンジェル・フェザー・アームズで叩いていいのは氷だけよ!」
「でも! 先生が……先生が……! あだを、討たせて!」
「当たり前よ! それが私達の願いでもあるのだから! ハァー!」
キャプテンの八段突きが他校のママさんに炸裂。ママさんはリンクの外にまで吹っ飛ばされ、血を吐いて痙攣。
カーリング・インフェルノ! バトル・ゴーされたストーンを敵サークル中央に停止させれば勝者となる!
死合い中は何人たりともストーンに触れる事は許されない! エンジェル・フェザー・アームズで氷の摩擦係数を変化させることにより、ストーンをコントロールするのだ!
天使の羽は氷と触れ合うためにある! だが、お前の拳は、敵を打ち砕くためにあるのだ!
敵を粉砕し、制氷権を握れ! それがカーリング・インフェルノ!
「くっそ~! あたし達は他人の家の子供が憎たらしくてたまらないのよ!」
残る敵は五人! 彼女らの身に着けているプロテクターから、ジャキンッとスパイクが伸びた。唸りを上げて回転する! ドリルだ!
「死ねー!」
一丸となって迫るママさんチーム!
「みんな! グランド・ブレイク・ダイナソーよ!」
キャプテンを中心に、チーム・デストラクションが揃って氷を叩いた! 氷の一部が砕け、反対側が持ち上がる。そこへ加速したストーンが来る! 斜めになった氷の上を滑り、ストーンが宙を飛んだ!
「いっけー! レイカ!」
マコが叫ぶ!
「うおお!」
レイカはロケットのように跳び、ストーンに飛び乗る! そのまま、急降下! 狙うは、丁度敵サークルの中心に差し掛かったママさん軍団だ!
「氷は愛! その下に芽吹いた新芽を春の陽に届けるまで、盾となって守り抜く愛! それは聖母の光! 貴様らに母を名乗る資格はない! 喰らえ! メテオ・ディスティニー!!」
「ひゃあああ!」
砕け散るリンクの氷! 飛び散った氷が天井を吹き飛ばす!
たちこめていた氷煙が晴れてゆく……。えぐられた氷の中、敵サークルの氷だけは無傷で残っていた。その上には、巨大なストーンが。そして、それに乗るのは……。
氷片が降り注ぎ、陽の光にきらきらと輝く。光の中、レイカが微笑んだ。
「レイカぁ!」
マコが抱きつく。
「女の子は誰でも翼を持っている。でもその中に、まれに天使の翼を持つ者がいる。ようこそ、チーム・デストラクションへ」
キャプテンの冬実が差し出した手を、レイカが握る。
ホイッスルが響く。
「勝者、チーム・デストラクション!」
第二話「先生お願い! 断罪されたいキモチ」
レイカからのアピールを真に受けて悩む貫一先生。彼はロリコンという言葉に過剰反応し、日々やつれてゆく。
チーム・デストラクションの練習を見守っている時、氷を擦る音が耳の奥で渦を巻き、キャプテンの「ほらあ、そこもっと力を入れて!」という何でもない言葉に、ついに脳がバースト。失神する。それが彼の安全弁なのだ。
レイカらは貫一先生を保健室に運ぶが、見知らぬ保健教諭に戸惑う。
「あなたは誰!?」
「ばれちまったら仕方ない!」
邪悪な少女が正体を現した! 隠れていた他のメンバーもロッカーやらから飛び出た。
彼女達は少女ギャング団「ドナテロ」だ。保健室の薬物をくすねに来たのだ。
「凍っちまいな!」
ギャング団は液体窒素ボムをレイカ達に投げつけてくる! どうにか避けるが、飛び散った液体窒素は校庭を氷のリンクに変えてゆく。
「許せない! あたし達の学校を……!」
「しゃらくせえんだよ!」
ギャング団のマシンガンが火を噴く。
「必技・畳返し!」
キャプテンの冬実が氷を叩いた。チーム・デストラクションを守るように、氷板が立ち上がる。だが氷で機関銃弾は防げない!
「あははは! ……は、いない!?」
砕け散ったのは氷だけだった。レイカ達は……上だ!
「人は誰でも弱さを持つ! それでも癒しを乞えない者がいる! それを癒し、弱さを許す、それが聖域・保健室! 貴様らのような愚連隊が入ってよい場所ではない! 消え去れ! バニシング・スクランブル!!」
その日、私立デストラクション学園上空で、オゾンの激しい減少が確認された。
第三話「嘘でしょう!? 恋のライバル注意報!」
ぎくしゃくしていた生徒との関係が、突然滑らかになった貫一先生。おしゃべりになった先生に戸惑うレイカ。
少女特有の熱病にも似た恋心から、不安感を止められずに先生の札入れを探る。と、女の写真を発見してしまう……。
ショックで魂の抜け殻と化したレイカだが、チームはそのままヨーロッパ連合との国際死合いに出場する。
主将のシモネッタ・ステゴロビッチ率いるヨーロッパ連合は、鬼のような肉弾戦で次々とチーム・デストラクションを駆逐してゆく!
心ここにあらずのレイカも例外なく、空中二段アッパーカットで天井に叩きつけられ、貫一先生の目の前に墜落した。
「お願い……先生の応援が聞きたい……」
朦朧とする意識の中訴えるが、先生はあたふたするばかり。レイカと目を合わせる事さえできない。
サンドバッグ状態のレイカ。
先生がついに立ち上がる! 持っていた鞄の封印を解くと、そこに見事なメイクボックスが展開される!
女装、成就!
「立つのよ、ダウン・エンジェル! あなた達なら出来る! 美しく気高き白百合の軍団! 愛と正義の血まみれ小隊! 思い出して熱いハートを! 勇気を沸騰させるのよ! 死神を喰らって養分を吸い尽くすのよ! 立ち上がってバトるのよおおうああ!」
貫一(女装)先生のスピリットの波動が、止まりかけていたチーム・デストラクションの心臓を叩く! 魂の共振! 今、血潮の激流が復活した!
レイカ達はステゴロビッチらを叩きのめした後、相手を脇に抱え込み、それぞれを強制的肩車のごとくに連結させる。今や、一本の丸太を横に抱えているような格好となった。敵少女を繋げて作った丸太を! それを抱えたまま、走る! ストーンへ向かって!
「あの鐘を鳴らせ! ヘル・ボーン・クラッシュ!!」
人柱で撞かれたストーンが、厳かな音を響かせ、敵サークルに納まる……。
ホイッスルと同時に湧き起こった歓声の中、貫一先生とレイカ達は熱く抱き合った。
第四話「さよならキャプテン! 涙で濡れたエンジェル・フェザー」
キャプテンの冬実は不治の病に侵されていた。ドイツの大学病院に入院する事となった。チーム・デストラクションはキャプテン送別の紅白試合を行う。
「見て下さいキャプテン! これが、あなたに貰った乙女の力です! フェニックス・ボミング!!」
氷の破片が降り注ぎ、冬実の体を切り裂いた。
穏やかな笑顔で倒れた冬実。駆け寄るレイカ達。涙の抱擁。その後、胴上げ。
第五話「ようこそ! 天使が恋する夢の国」
貫一先生がPTAの手で強制入院させられてしまう。キャプテンと顧問を同時に失ったチーム・デストラクション。
死人のような顔で練習していたレイカ達は、突然、亜空間に飲み込まれてしまう! 待ち受けていたのは妖精だった!
「うふふ。僕らはヘル・フェアリーランドの住人さ! 君らを駆逐して、それを足がかりに人間界を侵略してやる!」
亜空間では通常の物理法則が通用しない。心の強さで闘うのだ。だが、腑抜け状態のチーム・デストラクションは為す術が無い。
その時、どこからか声が聞こえた。
「……思い出して。私はいつも皆と一緒だから……」
誰の声だったかは分からないが、レイカ達は奮起。
「ドリーム・ブレイカー!!」
勝利。
第六話「驚きの再戦! 鋼鉄と化したユニホーム!」
地下ファシスト帝国学園からの挑戦を受けたチーム・デストラクション。新式のパワードスーツ(水素エンジン)を着て死合いに臨んだレイカ達の前に現れたのは、全身を戦闘用サイボーグに改造された冬実だった。
「キャプテン……! 目を覚まして下さい!」
だが、冬実の目に仕組まれた粒子砲は容赦なく元チームメイトを焼いてゆく。カーリング・インフェルノでは手持ちの武器以外は無規制なのだ!
「ト・ド・メ・ダ……」
目を見開いた冬実の前に、病院から脱走してきた貫一先生が立ち塞がる。
「氷の下の命の息吹を、僕はまだ感じているよ! 君の新芽は枯れちゃいない! さあ、今こそ立ち上がる時だ。ハガネの氷を押しのけて……」
貫一先生は冬実を抱きしめた。冬実の、超硬スチールの肌が、ぬくもってゆく。少女は泣いていた。
今、チーム・デストラクションは再び一つに戻ったのだ。
最終話「大団円! ホット・アイスにご用心!」
檻のついた車で運ばれていった貫一先生が、正式に顧問として復帰した。悩んでいたのが嘘のように元気溌剌としていた。額に、縫合した痕がいくつも走っていた。
だが、もはや世間はカーリング・インフェルノどころではなかった。加速した地球温暖化のリバウンドで、この星は氷河期に突入してしまったのだ。
地球は氷に覆われて、人々はパニックを起こし、動物園からは動物が逃げ出し、移民は暴動を起こし、宇宙港からは選ばれた冷凍精子と卵子が積まれたロケットが発射された。
「先生、私達怖い……」
怯える少女達を、まるで犬猫を扱うように撫でまわし、あやす貫一先生。だが、ふと窓の外に目をやった時に、OLのパンチラを見てしまう。途端に嘔吐する貫一先生。
「どうしたんだろう僕は……。ちょっぴりエッチな事を考えるだけで、オエエエ!」
「先生しっかりして下さい! これも、これも全部氷河期のせいだわ! みんな!」
「はい!」
レイカ達はパワードスーツのバーニアを噴かし、南へ飛ぶ。エンジェル・フェザー・アームズが、その純白の翼を展開させた。核の光を発しながら、赤道に沿って氷をこすってゆく!
「眠りの時間はおしまいよ! 甦るのよ、大地の物語! ブロークン・ベッド・ショーダウン!!」
天使の羽が、地球を包んだ。
摩擦熱で、赤道を中心に氷が溶けてゆく。地球は甦ったのだ。
少女達は手を繋いで飛ぶ。彼女達の帰りを待つ、私立デストラクション学園へ向かって。
この時間なら、まだ家庭科の授業に間に合う。今日はパンケーキを作るのだ。
「レイカ、あなたパンケーキ誰にあげるの?」
「えへへ、内緒です」
氷のプリズムの中を、少女達は飛んでゆく。光の翼を広げて。
おしまい
私立デストラクション学園小学部四年生の日枝流葉図世レイカ(ヒエルハズヨ・レイカ)は、恋に恋する女の子。
大人の事情で退職した担任の代わりに赴任してきた若い先生(貫一。二十四歳。メガネ)に一目惚れしてしまう。
友達のマコにせっつかれて、放課後、貫一先生が新しく顧問となったクラブを見学に行く。
そのクラブこそ、超世紀氷上石合戦、カーリング・インフェルノだ!
突如道場破りに現れた他校のママさんチーム。大人が子供と死合うなんて、と止めに入った貫一先生は、レイカの目の前で血祭りに上げられる!
「あははは! 審判! バトル・ゴーよ!」
リンクの一角が開き、重量一トンの巨大なストーンがはじき出される。
「おのれーー!!」
レイカの中の、全人類に標準装備の能力制御装置が、砕け散った。アドレナリンが沸騰する。
レイカは立てかけてあったエンジェル・フェザー・アームズ(ブラシ)を掴み、リンクに躍り出る!
「貫一先生の仇ー!」
だが、真空が出来るほどの勢いで振り下ろされたブラシは、もう一本のブラシで受け止められた。敵ではない。チーム・デストラクションのキャプテン、冬実(六年生)だ。
「落ち着きなさい! エンジェル・フェザー・アームズで叩いていいのは氷だけよ!」
「でも! 先生が……先生が……! あだを、討たせて!」
「当たり前よ! それが私達の願いでもあるのだから! ハァー!」
キャプテンの八段突きが他校のママさんに炸裂。ママさんはリンクの外にまで吹っ飛ばされ、血を吐いて痙攣。
カーリング・インフェルノ! バトル・ゴーされたストーンを敵サークル中央に停止させれば勝者となる!
死合い中は何人たりともストーンに触れる事は許されない! エンジェル・フェザー・アームズで氷の摩擦係数を変化させることにより、ストーンをコントロールするのだ!
天使の羽は氷と触れ合うためにある! だが、お前の拳は、敵を打ち砕くためにあるのだ!
敵を粉砕し、制氷権を握れ! それがカーリング・インフェルノ!
「くっそ~! あたし達は他人の家の子供が憎たらしくてたまらないのよ!」
残る敵は五人! 彼女らの身に着けているプロテクターから、ジャキンッとスパイクが伸びた。唸りを上げて回転する! ドリルだ!
「死ねー!」
一丸となって迫るママさんチーム!
「みんな! グランド・ブレイク・ダイナソーよ!」
キャプテンを中心に、チーム・デストラクションが揃って氷を叩いた! 氷の一部が砕け、反対側が持ち上がる。そこへ加速したストーンが来る! 斜めになった氷の上を滑り、ストーンが宙を飛んだ!
「いっけー! レイカ!」
マコが叫ぶ!
「うおお!」
レイカはロケットのように跳び、ストーンに飛び乗る! そのまま、急降下! 狙うは、丁度敵サークルの中心に差し掛かったママさん軍団だ!
「氷は愛! その下に芽吹いた新芽を春の陽に届けるまで、盾となって守り抜く愛! それは聖母の光! 貴様らに母を名乗る資格はない! 喰らえ! メテオ・ディスティニー!!」
「ひゃあああ!」
砕け散るリンクの氷! 飛び散った氷が天井を吹き飛ばす!
たちこめていた氷煙が晴れてゆく……。えぐられた氷の中、敵サークルの氷だけは無傷で残っていた。その上には、巨大なストーンが。そして、それに乗るのは……。
氷片が降り注ぎ、陽の光にきらきらと輝く。光の中、レイカが微笑んだ。
「レイカぁ!」
マコが抱きつく。
「女の子は誰でも翼を持っている。でもその中に、まれに天使の翼を持つ者がいる。ようこそ、チーム・デストラクションへ」
キャプテンの冬実が差し出した手を、レイカが握る。
ホイッスルが響く。
「勝者、チーム・デストラクション!」
第二話「先生お願い! 断罪されたいキモチ」
レイカからのアピールを真に受けて悩む貫一先生。彼はロリコンという言葉に過剰反応し、日々やつれてゆく。
チーム・デストラクションの練習を見守っている時、氷を擦る音が耳の奥で渦を巻き、キャプテンの「ほらあ、そこもっと力を入れて!」という何でもない言葉に、ついに脳がバースト。失神する。それが彼の安全弁なのだ。
レイカらは貫一先生を保健室に運ぶが、見知らぬ保健教諭に戸惑う。
「あなたは誰!?」
「ばれちまったら仕方ない!」
邪悪な少女が正体を現した! 隠れていた他のメンバーもロッカーやらから飛び出た。
彼女達は少女ギャング団「ドナテロ」だ。保健室の薬物をくすねに来たのだ。
「凍っちまいな!」
ギャング団は液体窒素ボムをレイカ達に投げつけてくる! どうにか避けるが、飛び散った液体窒素は校庭を氷のリンクに変えてゆく。
「許せない! あたし達の学校を……!」
「しゃらくせえんだよ!」
ギャング団のマシンガンが火を噴く。
「必技・畳返し!」
キャプテンの冬実が氷を叩いた。チーム・デストラクションを守るように、氷板が立ち上がる。だが氷で機関銃弾は防げない!
「あははは! ……は、いない!?」
砕け散ったのは氷だけだった。レイカ達は……上だ!
「人は誰でも弱さを持つ! それでも癒しを乞えない者がいる! それを癒し、弱さを許す、それが聖域・保健室! 貴様らのような愚連隊が入ってよい場所ではない! 消え去れ! バニシング・スクランブル!!」
その日、私立デストラクション学園上空で、オゾンの激しい減少が確認された。
第三話「嘘でしょう!? 恋のライバル注意報!」
ぎくしゃくしていた生徒との関係が、突然滑らかになった貫一先生。おしゃべりになった先生に戸惑うレイカ。
少女特有の熱病にも似た恋心から、不安感を止められずに先生の札入れを探る。と、女の写真を発見してしまう……。
ショックで魂の抜け殻と化したレイカだが、チームはそのままヨーロッパ連合との国際死合いに出場する。
主将のシモネッタ・ステゴロビッチ率いるヨーロッパ連合は、鬼のような肉弾戦で次々とチーム・デストラクションを駆逐してゆく!
心ここにあらずのレイカも例外なく、空中二段アッパーカットで天井に叩きつけられ、貫一先生の目の前に墜落した。
「お願い……先生の応援が聞きたい……」
朦朧とする意識の中訴えるが、先生はあたふたするばかり。レイカと目を合わせる事さえできない。
サンドバッグ状態のレイカ。
先生がついに立ち上がる! 持っていた鞄の封印を解くと、そこに見事なメイクボックスが展開される!
女装、成就!
「立つのよ、ダウン・エンジェル! あなた達なら出来る! 美しく気高き白百合の軍団! 愛と正義の血まみれ小隊! 思い出して熱いハートを! 勇気を沸騰させるのよ! 死神を喰らって養分を吸い尽くすのよ! 立ち上がってバトるのよおおうああ!」
貫一(女装)先生のスピリットの波動が、止まりかけていたチーム・デストラクションの心臓を叩く! 魂の共振! 今、血潮の激流が復活した!
レイカ達はステゴロビッチらを叩きのめした後、相手を脇に抱え込み、それぞれを強制的肩車のごとくに連結させる。今や、一本の丸太を横に抱えているような格好となった。敵少女を繋げて作った丸太を! それを抱えたまま、走る! ストーンへ向かって!
「あの鐘を鳴らせ! ヘル・ボーン・クラッシュ!!」
人柱で撞かれたストーンが、厳かな音を響かせ、敵サークルに納まる……。
ホイッスルと同時に湧き起こった歓声の中、貫一先生とレイカ達は熱く抱き合った。
第四話「さよならキャプテン! 涙で濡れたエンジェル・フェザー」
キャプテンの冬実は不治の病に侵されていた。ドイツの大学病院に入院する事となった。チーム・デストラクションはキャプテン送別の紅白試合を行う。
「見て下さいキャプテン! これが、あなたに貰った乙女の力です! フェニックス・ボミング!!」
氷の破片が降り注ぎ、冬実の体を切り裂いた。
穏やかな笑顔で倒れた冬実。駆け寄るレイカ達。涙の抱擁。その後、胴上げ。
第五話「ようこそ! 天使が恋する夢の国」
貫一先生がPTAの手で強制入院させられてしまう。キャプテンと顧問を同時に失ったチーム・デストラクション。
死人のような顔で練習していたレイカ達は、突然、亜空間に飲み込まれてしまう! 待ち受けていたのは妖精だった!
「うふふ。僕らはヘル・フェアリーランドの住人さ! 君らを駆逐して、それを足がかりに人間界を侵略してやる!」
亜空間では通常の物理法則が通用しない。心の強さで闘うのだ。だが、腑抜け状態のチーム・デストラクションは為す術が無い。
その時、どこからか声が聞こえた。
「……思い出して。私はいつも皆と一緒だから……」
誰の声だったかは分からないが、レイカ達は奮起。
「ドリーム・ブレイカー!!」
勝利。
第六話「驚きの再戦! 鋼鉄と化したユニホーム!」
地下ファシスト帝国学園からの挑戦を受けたチーム・デストラクション。新式のパワードスーツ(水素エンジン)を着て死合いに臨んだレイカ達の前に現れたのは、全身を戦闘用サイボーグに改造された冬実だった。
「キャプテン……! 目を覚まして下さい!」
だが、冬実の目に仕組まれた粒子砲は容赦なく元チームメイトを焼いてゆく。カーリング・インフェルノでは手持ちの武器以外は無規制なのだ!
「ト・ド・メ・ダ……」
目を見開いた冬実の前に、病院から脱走してきた貫一先生が立ち塞がる。
「氷の下の命の息吹を、僕はまだ感じているよ! 君の新芽は枯れちゃいない! さあ、今こそ立ち上がる時だ。ハガネの氷を押しのけて……」
貫一先生は冬実を抱きしめた。冬実の、超硬スチールの肌が、ぬくもってゆく。少女は泣いていた。
今、チーム・デストラクションは再び一つに戻ったのだ。
最終話「大団円! ホット・アイスにご用心!」
檻のついた車で運ばれていった貫一先生が、正式に顧問として復帰した。悩んでいたのが嘘のように元気溌剌としていた。額に、縫合した痕がいくつも走っていた。
だが、もはや世間はカーリング・インフェルノどころではなかった。加速した地球温暖化のリバウンドで、この星は氷河期に突入してしまったのだ。
地球は氷に覆われて、人々はパニックを起こし、動物園からは動物が逃げ出し、移民は暴動を起こし、宇宙港からは選ばれた冷凍精子と卵子が積まれたロケットが発射された。
「先生、私達怖い……」
怯える少女達を、まるで犬猫を扱うように撫でまわし、あやす貫一先生。だが、ふと窓の外に目をやった時に、OLのパンチラを見てしまう。途端に嘔吐する貫一先生。
「どうしたんだろう僕は……。ちょっぴりエッチな事を考えるだけで、オエエエ!」
「先生しっかりして下さい! これも、これも全部氷河期のせいだわ! みんな!」
「はい!」
レイカ達はパワードスーツのバーニアを噴かし、南へ飛ぶ。エンジェル・フェザー・アームズが、その純白の翼を展開させた。核の光を発しながら、赤道に沿って氷をこすってゆく!
「眠りの時間はおしまいよ! 甦るのよ、大地の物語! ブロークン・ベッド・ショーダウン!!」
天使の羽が、地球を包んだ。
摩擦熱で、赤道を中心に氷が溶けてゆく。地球は甦ったのだ。
少女達は手を繋いで飛ぶ。彼女達の帰りを待つ、私立デストラクション学園へ向かって。
この時間なら、まだ家庭科の授業に間に合う。今日はパンケーキを作るのだ。
「レイカ、あなたパンケーキ誰にあげるの?」
「えへへ、内緒です」
氷のプリズムの中を、少女達は飛んでゆく。光の翼を広げて。
おしまい
トリノでカーリングを見てましたが、インフェルノは凄そうですね。漫画になると動きのシーンが効果線で埋め尽くされそうです。
先生が面白いですね。なんか途中手術されてるあたりが哀愁を誘います。
カイトもそうでしたが、所々にほんのり毒があって素敵です。こういうのを読むとアヴダビさんが高笑いしている姿が目に浮かびます。
萌えキャラを量産するというのは本当でしょうか? 凄く気になります。
悩ませてしまって申し訳ないです……。
そろそろ僕もおじいさんとかキモキャラから、萌えの方へ卒業しなければならない気がしまして。
お姫様とかが良いです。
カーリングの話は、以前載せたバトルカイターの姉妹品です。
もっと少女漫画っぽいイメージのつもりでしたが、終ってみると結局いつもと同じでした。反省です。
カーリングのルールなどは知ってしまうとぶっ飛んだ事が思いつけなさそうなので、一切調べませんでした。
あの石はどのくらいの重さなのか。選手は何人なのか。どうすれば勝ちなのか……全然分かりません。
高笑いというか、常時苦笑いです。自分に苦笑です。