霞ヶ浦のほとりで

徒然なるままに

オーロラの話(10 -終- )

2017-09-18 17:51:43 | 南極の思い出
私の見た最大のオーロラの話です。
始まりはいつものようにアークが次第に高く上がってきたかと思いや、天頂でチカチカチカと眩い何万個ものフラッシュが光りました。その中からまるで光り輝く龍が現れて、あっという間に大きくなって色付き、夜空中をのた打ち回りながら南に向かって走り去って行きました。
…と、息つく間もなく、再び光の帯が南の地平線から上がってきて、今度は全天を覆うように赤やピンクの色鮮やかに拡がり、夜空一杯の光の薔薇の花の中に私は包まれているようでした。その花びら一枚一枚がカーテンのように右に左に激しく揺れながらはためいています。
かなり長い時間揺れ動いていましたが、やがてそれも徐々に弱まって薄れていき、再び南十字星輝く星空になり、地吹雪の音が聞こえて我を取り戻しました。オーロラには音はありませんが、この時は何だか天空一杯に壮大な交響曲が響いていたような感覚もします。

この現象にただ茫然と吸い込まれてしまい、寝ている3人を起こしてあげるどころか、写真を撮る余裕もありませんでした。高感度ビデオカメラには一部しか捉えられておらず、昭和基地では南の地平線低く赤く光っていた程度とのこと、また北極は白夜に近く綺麗には見えなかった思われますので、結局は世界で私一人の眼に焼き付いたオーロラの乱舞だったことになります。本当に桁違いなオーロラでした。

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