「プロのレーサーは、このコースをどう走るんだろうね?」とは、PS4のコントローラーを握りしめ、グランツーリスモで富士スピードウェイを激走中の長男。妻の話によると、最近彼は俄かに車の運転に興味を持ち始め、春休み中隙を見つけてはグランツーリスモ三昧らしい。これまで全く興味が無さそうだったのに、何かきっかけになる出来事でもあったのかしら? 彼が富士スピードウェイにこだわるのは、実際に訪れたことがあるサーキットゆえに馴染みがあるからだそう。「ダンロップコーナーから最終コーナーにかけての走り方が分からない」とのことで「久々に富士に見に行きたくなった」とか。
ならば、と言うことで、早速長男を連れて富士スピードウェイでのSuper GT公式テストへ(3/23)。午前中は時折止むこともあったものの生憎の雨模様で、路面はフルウェット。みぞれが混じるほどに気温も低くて、観ている側にも辛いコンディションだったけれども、久々に間近に見るレーシングカーはアツくて、親子共々テンションが上がった。
各マシンが全開で駆け抜けるメインストレートは、巻き上げられる水煙で真っ白。GT300とGT500のマシンとでは、エンジンの出力以上にエアロダイナミクスで大きな違いがある様だ。後者の方がフロア下からより大きなダウンフォースを得ていることが、巻き上がる水飛沫から視覚的に感じられた。
鼻にツンとくるエグゾーストにタイヤの焦げる匂いと、耳に刺さる爆音。これらが健康や環境にはあまり良くなさそうなのは確かながらも、モータースポーツの迫力を形作る大切な要素の一部であることは間違いない。自動車やモータースポーツの未来が、これまでの単純な延長線上に描けないことは確かな様だけれど、だからと言って、安直にただ動力を電動化すれば良いというものでもないはずだ。トヨタは水素を燃料とする内燃機関でルマンに勝利することを念頭に、ここ数年スーパー耐久で技術を磨き続けている。Super GTでも、使用するタイヤ数の削減やカーボンニュートラル燃料の使用など、環境への配慮を意識した取り組みが始まっている様だ。内燃機関をブン回す”アツい車”による迫力溢れるレースの持続に向けたそれらの挑戦を、一人のファンとして頼もしく思う。