雇用情勢が改善したため「人手不足」が強まったかのような議論が存在する。 しかし、その決定的な原因は「賃金不足」なのである。 企業が安上がりに労働者を使うので、劣悪な職場には人が集まらないのである。 牛丼チェーンの「すき屋」がいい例である。 一人勤務や新メニュー導入の過酷な負担で人手不足に陥り、閉店が相次いでいる。 弁護士のグーループが調査した結果、「恒常的に月500時間以上働いていいた」「多忙で2週間は家に帰ることができない」など、か常識では考えられないすざましい実態が明らかにされている。 厚生労働省の統計では、産業別で男女とも最も賃金が低いのが「宿泊・飲食サービス」であることは明白な事実。 東日本大震災の復興や「アベノミクス」で公共事業が拡大している建設業、高齢化社会で需要が拡大している医療・福祉産業でも人手不足が深刻である。 いずれも労働条件が過酷で、賃金が低い職種である。 労働者派遣法の改悪など2000年代からすすめられた「規制緩和」が年収200万円以下の「働く貧困層」を拡大しているのである。 働く人を確保するためにまず必要なことは、「正当な処遇」そのものであることは言うまでもない。 そのために大企業の果たす役割は極めて大きいいと判断する。 大企業が溜め込んでいる莫大な内部留保金の一部活用は決して欠かせない条件であり、同時に、大企業の中小企業に対する公正な取引も決して欠かせない重要なことである。 少子化の流れによって、このままでは人手不足になりかねないのは当然のこと。 安倍政権はそれを見越して、女性や外国人労働力の活用を叫ぶのだが、 ----しかし、決定的に必要なのは、安心して子どもを産み育てることができるそんな社会の実現ではないのか。 人間らしい働き方を実現し、「正社員が当たり前」の社会を一日も早く創造すべきである。