桜陰堂書店2

ここは「超時空要塞マクロス」(初代)の二次小説コーナーです
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あなたの傍へ流れたい

2008-10-04 21:56:41 | その他、短編集
 あらかじめお断わり致します、後味の悪いSSです。
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 6月の或る朝、朝食を済ませた輝と未沙は、出勤前の慌しさの中にいた。
 部屋にはラジオが流れてる。

 「ミンメイさん、新曲、出したみたいね」                                 「ミンメイさん、今回はいろいろな恋の形を作詞されてますけ
 「ああ、隊の連中には、評判だよ」                                   ど、これは、やはり、実際の体験なんかがヒントになってるん
 「ふうん、で、輝は買ったの?」                                     ですか」
 「まだだよ。それより未沙、大事な書類とか忘れ物ないのか?もうすぐ迎えが来        「それはないですよ、みなさん、結構、そう思ってしまんです
るぞ」                                                     よね、でも、それじゃ私、幾つ身体があっても足りませんし、
 「私は大丈夫よ、輝じゃないもの、あなたこそ大丈夫なの?」                   体験した事しか書けないとしたら、凄く限られたものしか書け
 「まあ、大丈夫だと思うけど・・・」                                    ないと思います」
 そう言いながら、身の回りを確かめてる輝。                              「ははは・・・、それはそうですね、ミンメイさん。さて、もう、ラ
 「未沙、今日は?」                                            ジオの前でみなさん待ちわびてると思うんで、ここで1曲聞い
 「今の所、突発がなければ定刻で終われると思うわ」                        てみましょう」
 「俺も何も予定ないから・・・、じゃあ、今日もいつもの所で」                     「はい」
 「うん、解った」                                               「では、昨日リリースされたニュー・アルバムから「6月の
 「それでさ、今晩、少し下調べをしたいんだけど、付き合ってくれないかな」           雨」をお聞き下さい」
 「何の?」
 「ほら、もうすぐ1周年だろ俺達の。どこでお祝いしようかと思ってさ、二人でレス
トランでも見て歩かないか」
 「わあ、素敵!・・・ありがとう」                                          やまない雨が 降りつづく夜
 輝の元へ歩み寄る未沙。                                             窓を伝う雨だれが 涙に見えて
 二人が見つめ合う。                                                忘れたはずの あいつの顔を 思い出す
 「嬉しいわ」
 「何がいい、未沙。フレンチ、イタリアン、それともお寿司?」                         あいつの言った サヨナラが
 「う~ん・・・、今日、輝と見て決める」                                      私の言った サヨナラが
 「ふふ」                                                        昨日のように 私の中を 駆けめぐる
 「あ、でも・・・」
 「でも?」                                                       リフレイン 誰か止めてよ リフレイン
 「輝、この家でもいいのよ、無理しなくたって」                                  もう違う道 歩いてるのに 
 「だって、折角なんだから」                                             リフレイン 誰か止めてよ リフレイン
 「やっと輝と一緒になれたのに、すれ違ってばっかり、お料理だって、いつも簡              何で こんな夜に よみがえる
単なものばかりで、いつも悪いなって思ってるの」 
 「そんな事ないよ、未沙の作る料理、俺、好きだよ、美味しいし」                      あの日 消した アドレスを
 「ありがとう、そう言ってくれて。でも、偶にはちゃんとしたものを作って、輝に食              ねぇ 誰か教えてよ
べてもらいたい」 
 「それでいいの?・・・未沙」
 「ええ」                                                        誰も電話を 掛けてこない夜 
 「じゃあ、楽しみにしてもいいかな?」                                      一人ベットに 腰掛けながら
 「ふふ、ちょっとプレッシャーかも、自分で言ったのにね」                           窓に映った 自分の顔を 眺めてる
 「あっ!未沙、首筋に昨日のキスマーク・・・」
 「え、嘘!さっき、ちゃんと確かめたのに、ね、どこ?どこに付いてるの?」                泣くつもりなんか 少しもないわ
 「ウソ」                                                        笑ってしまえば あしたは晴れる
 「ン、もう、意地悪!」                                                私らしくもない こんな顔 厭な雨 
 二人の唇が重なり、背中へ互いの腕が伸びていく。
 ピンポ~ン!                                                     リフレイン 忘れていたのに リフレイン
 「迎えだわ」                                                     ここにいるのは もう 違う私 
 「まったく!お邪魔虫だな」                                             リフレイン 忘れていたのに リフレイン
 「あ、待って輝!口紅」                                               きっと あなたも 私と同じね 
 慌てて、輝が、ハンカチで拭き取る、未沙も急いでバックからコンパクトを取り出
した。                                                          あの日 消した アドレスを 
 ピンポ~ン!ピンポ~ン!!                                           ねぇ 誰か 教えてよ
 顔を見合わせ、玄関に向かう二人。
 消し忘れのラジオが部屋の中で鳴り続けている。                                リフレイン 誰か止めてよ リフレイン 
                                                              もう違う道 歩いているのよ
                                                              リフレイン 誰か止めてよ リフレイン
                                                              もう違う道 歩いているのに

                                                             あしたアドレス 聞かれたら
                                                             「知らないわ」って 答えてね



                                                                        H.22.6.5
                                                                                         
 
        

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12 コメント

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Unknown (いろは)
2010-06-06 19:56:24
新作~~~
最初どうやって読むのかわからなくて
ブラウザ縮めたり伸ばしたりしてしまいましたが
こういう作りだったのですね。
これは体裁整えるのも大変ですね、お疲れ様です。

そんな残酷とかは思いませんでしたよー。
あえて言うなら、生きていくってこういうことね。と
思ったというか。
切られ忘れて流れ続けるラジオが、
生きている限りどこかで流れていく誰かの人生とでもいうような。

ちょっと、昔の懐かしい人を思い出しました。
が、懐かしいだけの人になっていたのを感じて
また、生きていくってこういうことね。 とオモタです。

朝というよりは深夜じんわり流れる曲という感じがしたとですv
みゆきさんだしな~~~
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Unknown (桜陰堂)
2010-06-06 21:12:01
 いろはさん

スイマセン、読み難くて。(笑)作った本人も読み難いです。
最初は普通に輝と未沙の話に歌を挟みこんでいこうと思ったのですが、
やたらと切り返しばかりになって、何が何やら解らなくなりそうだったので、
それならば、いっそ画面2分割で同時進行にしてしまえ、と。
これがフィルムならば、どうって事ないんですが、文字でそれをやると、やっぱりでした。
まあ、あと折角ウンウン唸って書いた作詞をコマギレにして出すのは勿体ないと・・・。(恥)
作詞で力使い果たしちまって、輝と未沙のやり取りが会話じゃなくて台詞のやり取りになってしまったみたいで、でも、こういう作りをすると修正が、えらく面倒くさいので程々で諦めました。
ははは、確かに朝向きの歌じゃないですね。(笑)
みゆき病なので、どうしても爽やか系は苦手なんです。
読んで頂き、ありがとうございました。

※今回はホント残念です、いつか、ゆっくりと又、江戸へ御出で下さい。(来年はワールドもありますし)
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Unknown (ゆば)
2010-06-06 21:59:03
表示が凝ってる~。なるほど面白い表現方法ですね!
確かに後ろで流れてる感じがする!
でも携帯で見た時に左右が混ざり混ざって大変な事になっていたので、
携帯の方が読めなくて勿体無い~とちょと思いましたよ…

ミンメイの曲が流れる中で二人が二人の世界に没頭しちゃってるところが、
消され忘れて流れ続けるラジオが、
幸せな二人の世界から弾き出されて一人生きるミンメイにかぶって悲しいというか切ないというか。
でもこの悲しさがなんともいえず好きです。

コメでお知らせ頂いた際、
残酷だとか私に向きじゃないとかおっしゃられていたので
一体どんな壮絶なお話なのかと読みにくるまで物凄くびびっていたんですが、
私も残酷とか別に思いませんでしたよ~。
後味悪いってどこが?だってミンメイだものしょうがない、とか思った私が鬼畜なんでしょうか(;´∀`)
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Unknown (桜陰堂)
2010-06-06 23:20:42
 ゆばさん

強い性格の持ち主ミンメイでも、落ち込む時もあるだろうし、そんな時、輝を思い出して書いた曲が有ってもいいんじゃないかと。
そして、その曲が輝の耳に届いた時、輝の意識はまるでミンメイに無くて未沙が頭の中を支配していた。
極端に不幸な偶然、違う場面だったら輝の捉え方も違ってたんだろうけど・・・。
ゆばさんの描かれた「30分早く~」を拝見して、みゆきさんの「バス通り」の不幸な偶然を思い出し、それが同じアルバムにあった「夜曲」を思い出させて、ミンメイの新曲が輝の元へ流れてくってコンセプトに繋がりました、ありがとうございます。

そうか、携帯はそうなるのか。
携帯余り使わないんで解りませんでした、でも、これ、ちょっと変えようがないので、このままで勘弁させてもらいます。(平伏)
ミンメイはタフな子だと思ってますから、感傷はあっても逞しく前へ歩いていくんじゃないでしょうか。
(以前、メガロード編を考えた時、メガロードに乗り込む時、秘密の婚約者(精神科のカウンセラー)と一緒に乗り込むって設定にした事があります~笑~)
読んで頂き、ありがとうございました。
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Unknown (理沙)
2010-06-08 21:28:02
あれ、新作来てるー♪
…とオモたら、何か文字と文字が組み合っちゃってて、どーしたんだろ、と思いました。
私のパソ、画面小っこいので、左と右が組み合っちゃってたんですね。
メインパソ夫さんの方で見たら、ちゃんと左と右で別々になってましたー。

こういう歌どうやったら書けるんでしょう?
そんけーです
左と右で別々の時間が流れているなんて。
ミンメイは1人かも知れないけれど、だからこそ、心に何かを受ける度に、誰にも負けない「感性」を得られているんだというのが、ちゃんと伝わって来ます~。
1番ミンメイの幸せな形なのかも、と思いました。

…輝&未沙?
もう、バカが付くほどのイチャイチャっぷりで、ごちそうさまでつ(笑)

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Unknown (桜陰堂)
2010-06-08 23:55:50
 理沙さん、ようこそ!

僕にとって初めてミンメイ主役のSS(主役は歌詞ですけど(笑)~ミンメイを動かすの苦手なんです)。
勝手に作った歌詞をUPさせるのは相当に恥ずかしかったです。
そう言って頂いて救われました。
ちょっとミンメイ風の明るく元気な歌詞じゃないんだけど、もうアイドルじゃなくアーティストなんだから、暗めのバラードとか哀しい歌だって歌いこなしてるはずだ、と。
アーティストなら恋も愛も肥やしにしなければなんて。(笑)

お客様が、いろんな媒体でご覧になってる、という事に考えがいきませんでした。
みなさんにお手間をとらせてるみたいで、すいません。
只、このSSは、この書き方が一番解りやすい気がするので、これはこのままのスタイルで勘弁させて下さい。

それと、余り本意ではないのですが、ミンメイのプロモーション・フィルムとして演出してみたいです。
映像は輝と未沙の左の話で進行していきます(ミンメイ方の映像は無し)。
音声は最初、司会者とミンメイ方が7、輝と未沙が3の音量。
ミンメイの歌が流れ出すと、輝側の音が消えてミンメイの歌オンリー、輝と未沙はSS通りの台詞を喋ってるけど音無しで口パク。
幸せそうな二人を背景にミンメイの哀しい歌が流れてく。
1番と2番の間奏の時、輝と未沙の会話をF・I、F・Oさせる、その雰囲気は実に幸せそう。
2番と繰り返しの間の間奏時には、ミンメイの日常のスナップを幾つかカット・インさせる(「天使の絵の具」みたいに)。

ちょっと拙い妄想をしてみました。(笑)

読んで頂き、ありがとうございました。
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Unknown (かりな)
2010-06-12 21:29:33
わー!出遅れたー!
みゆきっぽ~い、と思ってたらみゆきさんでしたねwww
ラジオが流れているシーンというのは表現し難い中での、この書き方。有りだと思います!
『もう違う道 歩いてる』感じがよく出てると思います。
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Unknown (ぺぱみん)
2010-06-12 21:46:12
公式アルバムの一曲としてあっても遜色ない感じですね~v
故・羽田さんに曲をつけて頂きたいv
もし輝との恋を思って作ったとしたら
逆にどこか吹っ切れてるから作れたとも思えなくもないですね。
本当に悔しいとか寂しいって思ってたら歌えない気がするんですよね。
ミンメイですし、その辺、もう平気よ、みたいな 笑
女性はそのへんクールかもしれません。

一条家もそれどころじゃないって 笑
文章にしてみるとドライかもしれないけど、リアルですよね。
本日も寝不足、ってかww

プロモーションフィルム案も面白いですね。
スナップ写真を出すところは「マクロス」らしい演出だと思いました~。
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Unknown (桜陰堂)
2010-06-12 23:20:04
 かりなさん いらっしゃいませ!

みゆき歴30何年、激しい症状は治まりましたが、身体の隅々まで菌が行き渡った慢性患者です、治す気はさらさらありませんけど。(笑)
だからどうしても、こういう事すると、みゆき味になってしまいます。
感じがよく出てる>ありがとうございます、ほっとしました。

以前、「ひとり上手」をUPされてましたよね、あの時、ちょっとコメントしそこねてしまいました。

読んで頂き、ありがとうございました。
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Unknown (桜陰堂)
2010-06-12 23:39:38
 ぺぱみんさん、こんばんは!

ちょっと身の程知らずな事をしでかしました。
男だって、似たようなもんかも。
進行中や終わったばかり、もしくは引きずってる内に、歌なんか書いたら生々しい匂いが立ち昇ってきます。
ある程度、干からびて吹っ切れてしまわないと駄目かもしれません。
高校時代、フォーク全盛時で仲間とナンセンス・ソング(偶にマトモなのも)作ってました、その頃の僕の代表作は「UFOの唄」(笑)。

輝&未沙の方は、今回ちょっと片手間仕事になってしまって・・・。

徹夜明けでお疲れの所、読んで頂き、ありがとうございます。
スカル隊の夜間出撃、戦果上々のようですね、レポ楽しみにしています。
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