桜陰堂書店2

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ニ年前

2008-10-04 21:56:30 | その他、短編集
 未沙の家へ遊びに来た輝、二人でお茶を飲みながら、ぎこちない会話
を続けている。

 思い出したように未沙が言った、
 「ちょっと音楽でも聴きましょうか?」
 「そうだね」
 未沙がラジカセのスイッチを入れる。
 FMの電波が流してきたのはミンメイの歌、気まずく下を向く二人、
 「未沙、それは止めよう」
 「そ、そうね」
 急いで未沙の手が伸びスイッチが切られた。
 再び訪れるサイレント・タイム。
 輝が指で耳をほじった、
 「耳、痒いの?」
 「うん、ちょっとね、ここんとこ忙しかったから」
 「汚なぁい」
 「あ、ゴメン、行儀の悪い事しちゃって」
 「忙しかったものね、ここんとこ、いいの、気にしないで」
 また、下を向く二人。
 未沙が不意に立ち上がった、
 「ねえ、輝。ちょっとこっち来て」
 そう言いながら、小さな化粧ポーチを持ってソファに座った。輝が立ち上
がりソファへ向かう、
 「ねえ、耳そうじしてあげる」
 輝が思わず一歩下がった、
 「え?そんな、いいよ、汚いから」
 「いいわよ、綺麗にしてあげる」
 自分の隣を手で叩いて座るように奨める、
 「でも・・・」
 「いいから」
 輝が隣に座る、未沙が輝の耳を見上げた、
 「輝、それじゃ見えないわ、背もたれに頭を乗せてみて」
 ズルっと下がり、背もたれに慌てて頭を乗せる輝、
 「向こうを向いて、それじゃ見えない」
 未沙が輝の耳を引っ張り覗き込む、
 「う~ん、少し角度が悪いわ、よく見えない」
 「やっぱり、いいよ、悪いから」
 「ちょっと輝、私の膝に頭乗せてくれる、横になっていいから」
 「そんな、本当に悪いからいいよ、未沙」
 「いいから、遠慮しないで。膝枕で耳そうじって、やってみたかったんだ
から」
 「そ、そうなの・・・、じゃあ、ちょっと」
 輝が横になり、未沙の膝上に頭を乗せた、柔らかい感触がして輝の身
体はコチコチに硬くなる。未沙が耳を引っ張り、中を覗いた、
 「わぁ、汚なぁい!」
 「ご、ゴメン・・」
 「ちょっと、じっとしててね、動くと危ないわよ。私、男の人の耳そうじな
んて初めてなんだから」
 「俺も初めてだよ、こんなの」
 輝が身体を固めたまま言った。


 「覚えてる、未沙。あの日の事」
 「ふふっ、忘れてないわよ」
 未沙の膝枕で輝がソファに横になってる。一生懸命、耳そうじをしながら
未沙が言う、
 「可笑しいわね、二十歳にもなって二人でオママゴトしてたのね、私達」
 「未沙の太腿が柔らかくて、ドキドキしたよ」
 「私だって、あんな事初めてだったから、手に力が入っちゃって、痛くなか
った?」
 「何か、痛かったような気がする。でも、耳そうじして貰うなんて俺も初め
てだから、こんなものかなって思った。それより、未沙の手が暖かくて・・・
その方が良く覚えてる」
 「黙り合ったままよ、あの時、ずっと」
 「ああ、でも、問題はその後だよ、未沙が「はい、今度は反対側」って言う
から、ヒョイっと顔を反対側にむけたら・・・完全に固まったよ、俺」
 「私だって、どうしようと思った。今、考えれば私が移動して輝が足の向き
変えればいいだけなのに、吃驚して気も付かなかった」
 「こっちは息が掛からないようにって必死さ」
 「それが解るのよ、こっちにも」
 未沙が手を止めた、輝が未沙を見上げると、二人は小さく笑いだした。
 再び、未沙が言う、
 「私達、馬鹿よね、同じ事繰り返して」
 「何で解らないんだろう?」
 「コチコチだったのね、ただ目の前の事しか見えなくて、輝も私も」
 「俺、悪いと思って、未沙と交代して。それで「はい、反対側」だもんな、ど
うなるか解りそうなもんなのに」
 「今度は私が息止めたわ、逃げ出したかった」
 「おまけに、ブラウスの隙間からブラが丸見えでさ、慌てて「こっちは自分
でして」なんて言っちゃって、純情丸出し。そのまま押さえ込んじゃえばい
いのに」
 「少し、期待してたかも」
 「本当・・・?鈍いな、俺は」
 「ウソよ。そんな事したら、引っ叩いてたわ、きっと」
 「そうだよな、その方が未沙らしい」
 「まあ!」
 輝の手がセーターの裾から忍び込み、未沙の胸を触った、
 「今じゃ、こうだけどね」
 未沙が耳かき棒に力を入れる、
 「痛て!」
 「ニ年経てば、こんなもんかしら」

 ピポ!クックー。ピポ!クックー、ピポ!クックー・・・
 時計が11時を知らる。
 間もなく一条家の甘い夜が始まる・・・。

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26 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (アルトのト)
2008-12-20 20:28:49
ぐはぁ!(萌死)

甘めぇ...甘めぇよ...バンホーテンのミルクココアより甘めぇよ...。


彼女に耳掃除して貰うのかぁ...ええなぁ...(遠い目)

アニキの原体験入ってますね?(羨ます)
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すみませぬが・・ (peppermint)
2008-12-20 21:24:55
先に言わせていただいていいでしょうか、どうしても。

ピポ!クックー。

って時計の音が好きです!
(鳩時計ですね!)

慎ましいほうが(?)未沙らしいという輝にモエ♡です。
殴られてもいいなんて。。。(うそ)
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Unknown (桜陰堂)
2008-12-20 22:40:16
アルトのトさんへ
甘々でしたか、桜陰堂らしくない静かな展開なので、せめて甘い感じが少しでも出ればと思ってたので嬉しいっす。
原体験>「初めての耳そうじは痛かった」と「スケベ」なとこだけですよ。大人の関係になる前にして貰った事は有りません。
「膝枕で耳そうじ」ってネタは前から有ったんだけど、内容が全然出なくて。そうこうしてる内、rinさんが凄いペースで更新しまくりなんで、ネタ使われる前にって、無理矢理書いちまいました。
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Unknown (桜陰堂)
2008-12-20 23:03:35
peppermintさん、今晩は。
この二人が居間でイチャコラしてる、そこで鳴る時計の音は、やっぱり鳩時計(スイス、500年の平和が作った)ではなかろうかと・・・、そう思った途端、頭ん中で「THE SOUND OF MUSIC」の「SO LONG FAREWELL」が鳴り響きまして、エンドレスでいつまでも♪Coo-coo、Coo-coo♪がやみませんでした。
 実はこれ、思いっきりpeppermintさんを意識して書いたんですけど、やはり上手くいきません。peppermintさんが「膝枕で耳そうじ」ネタを書いたら、もっと、こまやかな、綺麗な話になると思います。
僕の描く未沙は、慎ましいか積極的か両極端です。
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Unknown (ゆば)
2008-12-20 23:28:58
うぎょーーーーーーーーーーーーあんめぇぇぇぇ!むはー!(*゜∀゜)=3

この二人には甘すぎる程に甘いのが良いのだ!!!むはー!(*゜∀゜)=3

「反対側」で固まったっていう二人の状況想像して笑いましたw可愛いなぁ!
そして今は気軽にセーターの中に手を入れて胸を触っちまう輝が良いですwww
やはり輝はこうでないと(笑)

大変美味しゅうございました!ごちそうさまでした!
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Unknown (桜陰堂)
2008-12-21 00:06:30
ゆばさん、お忙しい所、どうもです。
甘かったですか、美味しかったですか、そう言って頂けると嬉しいっす。
男って、ああいう状態の時、手が暇なんですよ、じっとしてるだけだから。きっと輝もそうだろうと・・・。
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Unknown (rin)
2008-12-21 00:25:36
耳そうじのネタは思いつきませんでいた。
なぜなら、私は人のをするのが嫌だから^^;;
しかし!!
息がかからない様にしてたって所が、なんとも
むふふ~~ってなっちゃうねぇ~^m^
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Unknown (桜陰堂)
2008-12-21 00:43:08
rinさんへ
あと一つ、先越されそうなネタが有るんですよ。
下書きは、とうに終わってるんですけど(まだ、
未入力)、最後の最後に大晦日ネタになっちまった
んで、クリスマス終わらんとUP出来ない・・・。
息が>経験してみると、超至近距離ですから、気使
います。
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Unknown (rin)
2008-12-21 01:04:53
私、もう大晦日ネタ書いているから安心してください^^;
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Unknown (桜陰堂)
2008-12-21 02:40:18
そうでっか、ふう~、ヤレヤレと思った所へグサッと一突きなんて・・・、姐さん、アレだから。
そう云えば、昔、「女が母親になるのに掛かる時間は10月10日、では、少女が女になるのに掛かる時間は?」なんてクイズがありましたな。
たった今、「PART3」の入力が終わったよ、さあ、寝るべ。
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