不動産鑑定士 佐藤栄一が仕事や生活で感じたことをつづります
 



今日は、「工業地」の動きについて述べます。

平成23年地価調査で、福島県の「工業地」の対前年平均変動率は▲7.4%となり、昨年の▲3.2%と比較して下落率が拡大しました。

「住宅地」の対前年平均変動率(▲5.4%)より大きな下落です。

「工業地」は「住宅地」と異なり需要者が県外にも多く存在しますが、県外資本からみた福島県の工業地に対する需要が激減していることが影響したのだと思います。

県内に限れば、原発周辺地域からいわき市・相馬市や中通り、会津地方への工場や事業所の移転需要もありますが、それらは賃貸需要が主で、工場用地を新たに取得して移転してくるという状況にはありません。

一方、企業が県内から県外に拠点を移す動きも生じており、売り圧力が地価を下押ししています。

本日9月30日に、原発から20km~30kmに設定されていた緊急時避難準備区域が解除になりますが、除染が進み復興の道筋が具体化してこないと、「工業地」については停滞的な動きがつづくものと予測されます。


(9月20日付の「序」も併せてご覧ください。今回の地価調査の意味合いを掲載しております。)


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今日は、「商業地」の動きについて述べます。

平成23年地価調査で、福島県の「商業地」の対前年平均変動率は▲7.5%となり、昨年の▲4.6%と比較して下落率が拡大しました。

その中で、郡山市磐梯熱海の商業地(郡山(県)5-10)が、▲15%となり、商業地としては全国一の下落率を記録しました。

この地点は県内を代表する温泉街です。

県内の温泉街は、放射線量の多少に関わらず「風評」によって客足が減少しています。8月までは避難所として利用されていた旅館も多かったのですが、8月末で避難所としての利用が閉鎖されたため、これからの先行きを心配する声が多く聞かれます。

県内の温泉街や観光地は、実際には放射線量が心配のない低いレベルのところが多いので、正確な情報に基づいて多くの方に訪れていただきたいと思います。

一般の商業地についても、進出を予定していた県外資本の店舗が震災後に出店を見合わせたりする動きもあり、全般に厳しい状況です。

県内に流入してきている震災支援の人たち(各業種の応援部隊の方々)によって、一部の繁華街は夜の賑わいが増しているという現象も生じていますが、経済の下支え要因としては弱いと思われます。


(9月20日付の「序」も併せてご覧ください。今回の地価調査の意味合いを掲載しております。)


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今日は、「住宅地」の動きについて述べます。

平成23年地価調査で、福島県の「住宅地」の対前年平均変動率は▲5.4%となり、昨年の▲3.1%と比較して下落率が拡大しました。

平均では上記のとおりですが、比較的放射線量の高い地域では、下落率が大きい傾向にあります。たとえば、県北の福島市が▲7.0%(昨年▲3.4%)、伊達市が▲6.9%(昨年▲2.8%)などです。

また、地震の被害の大きかった地域でも、大きな下落率を示しました。たとえば、県中の鏡石町が▲7.6%(昨年▲2.6%)、矢吹町が▲7.4%(昨年▲3.2%)などです。

なお、直接変動率には表れませんが、同じ地域でも高額物件と低額物件は異なる動きを示しています。原発事故で避難してきた人や地震で住宅に被害を受けた人の移転需要は、どうしても低額物件に集中する傾向があるため、低額物件(中古住宅で1200万円以下)は一定の需要が生じていますが、高額物件は県外に避難を試みる法人や富裕層から放出される売り物件こそあれ、買いの需要は極めて少ない状態となっています。

また、中古住宅には一定の動きはあるものの、更地や新築住宅の動きは鈍い状態です(パワービルダーによる低額の新築物件は例外)。

ひとつのトピックスは、県内で唯一郡山市の住宅地1地点が下落しませんでした。その地点は、阿武隈川東側の高台に存する大規模住宅団地(東部ニュータウン)です。高台の岩盤に立地して地震の被害がほとんどなく、ライフラインも無傷で、放射線量も市内では低い水準にあります。売り物が出ればすぐに決まる状態と言われ、堅調な需要を維持しています。

以上のように、平均変動率は▲5%台でも、地域によって、また物件の特性によってさまざまな動きをしています。


(9月20日付の「序」も併せてご覧ください。今回の地価調査の意味合いを掲載しております。)



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平成23年地価調査で、福島県では全用途対前年平均変動率が▲6.0%となり、昭和50年の調査開始以来、最大の下落率を記録しました。

昨年の平成22年地価調査の同上変動率は▲3.5%でしたので、下落率が大幅に前年を上回る結果となりました。

福島県と同様に東日本大震災の被災地である岩手県及び宮城県では昨年並みの変動率でしたので、やはり福島県は原発事故の影響が出ているといえます。

ただ、▲6.0%という数字は原発事故によるショックの大きさと比較すると、意外に小さかったとみる向きもあると思います。

これについては、以下の2点を指摘しておきたいと思います。

① 今回の地価調査は、原発事故により正常な調査が不可能と判定された「警戒区域」「計画的避難区域」「緊急時避難準備区域」については、評価対象から除外されました。仮に、これらの区域で評価が可能であったとすれば、平均変動率は更に大きな下落となった可能性があります。具体的には、本来533地点で実施される予定だった今年の福島県の地価調査は、これらの区域にある50地点が休止され、483地点で実施されました。

② 県外からみれば、福島県の不動産は資産価値がゼロに近づいているのではないかという意見があるかもしれませんが、福島県内においては福島県に特化した不動産市場(原発周辺地域からの県内各所への移転需要、地震で被害を受けた方の同一市町村内における移転需要など)があり、それらが一定程度機能しています。

②の点については、明日以降少し細かく見ていきたいと思います。


(9月20日付の「序」も併せてご覧ください。今回の地価調査の意味合いを掲載しております。)



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昨日9月20日に発表になった福島県の地価調査結果について、今日から概要を述べます。

今日は、「序」として基本的事項について記します。

① この調査は平成23年7月1日時点の地価を公表したものであること。

② 対前年の変動率は、平成22年7月1日から平成23年7月1日までの1年間の変動率であること。

③ したがって、対前年変動率は平成23年3月11日の東日本大震災を踏まえた変動率であること。

要するに、東日本大震災後に実施された初めての「公的な土地価格の調査」であり、対前年変動率には、東日本大震災の影響が織り込まれているということです。

特に福島県は、原発事故が現在進行中であり、それがどの程度地価に影響を与えているのか全国から注目されていたといえます。

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今日、9月20日の夕方、都道府県地価調査(価格時点はH23.7.1)の結果が国土交通省から発表されました。

詳細は、明日の新聞朝刊でも報道されると思います。

全国的にみても福島県の地価の推移は注目を集めています。

地価調査の評価業務に携わった鑑定評価員の一人として、明日以降、少しの間、地価調査についてコメントしたいと思います。


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自宅の沈下修正が終わりました。

一連の作業を目の当たりにして、その技術に驚く日々でした。10年前だったら、このような工事を一般住宅で行うことは困難だったのではないかと思われます。

一方で、実際にやってみて感じたこともあります。

一つ目は、通常、沈下修正は建物の外壁に沿って杭を入れるため、建物の中央部が沈下している場合は、その部分の修正は別途の処理が必要になる場合があるということです。

べた基礎の場合は大丈夫なことが多いようですが、布基礎の場合はその傾向があるようです。我が家は布基礎だったため、やはり中央部で若干沈んだままになっている箇所だけは今後別途の修正が必要になります。

二つ目は、建物が沈下している場合、地盤が被害を受けていることが多いと思いますが、今後安心して生活するためには、地盤(外構を含む)の対策が別途必要になる場合があるということです。

我が家も、地盤について、一定の対策を講じる必要があると思われます。また、沈下修正工事のために建物周りの外構を壊したりしているので、その復元も必要になります。

以上のように、沈下修正工事だけで全て震災前の状態に戻るわけではないのが現実です。

しかし、沈下修正工事によって「水平な床」で寝ることができるようになりました。何事にも代えられないことです。




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自宅の沈下修正工事が先週までに終了しました。

工期は3週間とちょっとでした。



上の写真は、引き上げを終えたbDパイルの頭をカットして、コンクリートで固める準備をしているところで、下の写真は、コンクリートでbDパイルとその周囲を固めたところです。



そのあと、コンクリートの上を土で覆って工事完了となりました。

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写真は、昨日通勤途中で撮影した自宅近くの「チューリップ公園」の様子です。

現在、郡山市では、放射線量を下げるために公園の表土はぎ取りが始まっており、放射線量の高い「荒池公園」を皮切りに順次工事範囲を拡大させています。

「チューリップ公園」では、幅5m、長さ20m、深さ1.5m程度(いずれも目測)の穴が掘られ、特殊なシートが敷かれてありました。

工事関係者の方にお聞きすると、この穴にはぎ取った表土を入れて、特殊なシートでくるみ、その上から安全な土を被せるのだそうです。

特殊なシートは3枚重ねになっているということです。

このようにして、芝生で美しい光景を見せていた近くの公園が、次々に土だけの土地に変わっていきます。

子供の頃、よくテレビのアニメーションなどで見ていた、汚染物質等によって壊滅寸前になった地球の荒涼たる風景が頭の中で重なります。

でも、今は「除染」が何よりも大切です。

この風景を受け入れて、逆にこれが新しい「Fukushima」を作るスタートだと思うようにします。


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bDパイルに取り付けられたブラケットが建物基礎を下から支え、bDパイルの上部に取り付けられた油圧ジャッキで建物の引き上げにかかっている様子です。

下の写真は、引き上げの結果、玄関部分ポーチが持ち上がったところです。



引き上げ自体は比較的容易なようですが、大方引き上げられた後のミリ単位の調整が難しいようです。

震災によって建物内の建具が歪んでいたりするので、床を完全に水平にしてしまうと建具の建付けが逆に悪くなったりするケースもあるとのこと。

我が家も、大方持ち上がった後の微調整に時間を要しましたが、ついに床の水平と建具の建付けのバランスも確保され、満足のいく状態まで回復しました。

震災後、半年を経て、平らな床が回復しました。

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上の写真は、狭いところでもbDパイルを打ち込むことができる専用機です。重機での施工が困難なところでも、この専用機があれば施工が可能とのことです。

次の写真は、工事開始から3週目の後半(9月9日)の様子です。支持層まで打ち込まれたbDパイルに油圧ジャッキが取り付けられ、引き上げ準備が完了した状態です。



いよいよ引き上げ開始です!

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今日、計測した放射線量は以下の通りでした。

郡山市鶴見坦2丁目 事務所屋外(舗装駐車場 地上高1m) 0.88μ㏜/h 午前8時10分 天候 晴れ
郡山市鶴見坦2丁目 事務所屋内(事務室内 地上高1m) 0.27μ㏜/h 午後0時40分 天候 晴れ


計測機器 Sparing-Vist Center社製 TERRA MKS-05

事務所駐車場の数値は少しずつですが下がっているようです。
また、久しぶりに事務室内を測りましたが、以前は0.3~0.4μ㏜/hありましたので、やはり少し下がっています。


今、郡山市では、予算措置が付いたということで、公園の除染に取り組んでいます。表土の除去が最も効果的という実験結果をもとに、放射線量の高い「荒池公園」を皮切りに、芝生や草を剥がしています。

きれいに整備されていた公園が無惨な姿になっていますが、やむを得ないと言うしかありません。


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自宅の沈下修正工事、2週目(8月31日)の様子です。

ほぼ建物の周りに「bDパイル」が打ち終わりました。

あとは、北側の狭いところを専用機で打つだけです。

「bDパイル」が全て打ち終わると、いよいよ引き上げの準備です。

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