あび卯月☆ぶろぐ

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戸別所得補償制度のゆがみ

2010-01-06 01:56:55 | 政治・経済
コメ農家再生へ「壮大な実験」
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201001/2010010200060


どうやら、戸別所得補償(以下、適宜「戸別補償」と略記)の本質はコメ農家保護ということらしい。
それも、どちらかというと零細な兼業農家が有利になる。
というのも、戸別所得補償は減反に参加することによって得られる。
また、この補償は交付金及び、生産コストと販売価格の差額の補填からなる。
交付金は主食用米の作付面積から一律10aを控除し、残りの面積の10aあたり一万五千円。
考えようによってはこれまであった産地確立交付金がこれに代わったともいえる。
それプラス赤字を補填する仕組み。

兼業農家にとって家族労働費などのコストを計上すれば赤字になるのが普通。
戸別所得補償制度における赤字の補填はありがいたいわけだ。
言い換えれば、赤字の農家を保護するかたちになる。
戸別所得補償制度は社会主義だ、コルホーズだという批判があるのはこのためだ。

また、調整水田等の不作付地には交付しない方針だったが一転、調整水田等もOKになった。
おそらく、兼業農家の反撥を受けての方針転換だと思われる。
このあたり、農協の意向も反映されたのか。
一方、専業の大農家からは「結局、減反維持じゃないか・・・」との溜息が漏れる。
生産調整を前提とした戸別補償制度は農業の効率化を阻む結果となりそうだ。

さらにコメが優遇される一方でこれまであった野菜への交付金は削減される。
例えば、日本一のソバの産地で知られる北海道幌加内町では
「09年度まで、コメの生産調整(減反)で水田から転作した町内のソバ畑1010ヘクタールには10アール当たり約2万9000円の交付金が出ていた。交付金は市町村ごとに減反などの実績に応じて総額が決められ、使い方は自治体や農協で作る協議会に任されていたため、同町ではソバに重点配分していた。それが水田利活用事業では作物別に全国一律で戸別農家に配分される。ソバは同2万円で、飼料用・米粉用などのコメに出る8万円と大きな差がついた」(毎日新聞 2009年12月8日 東京朝刊)
そのため、ソバの産地となっているある地方では、飼料用米へ転作する動きもあるという。
地域の特産品を生産する農家にとっては大打撃だ。
こういう事例が増えると自給率はますます下がる。

だいたい、民主党は自給率100%を目指すと云っていた。
なのに、自給率100%超えのコメを保護してその他の作物を冷遇する政策ってなんだ。
EU方式を取り入れたというがこれもまったくの嘘。
戸別補償制度はEUのように好きなだけ作りなさいではなくて、作る量を調整しなさい、そうすれば補償してあげますという制度だ。
結局、票田となりうる専業農家を抱き込もうということか。
目論みは自民党農林族と大して変わらない。
民主党農政の歪みはここにある。

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6 コメント

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はじめまして。 (uca)
2010-03-11 04:52:31
初めて記事を読ませて頂いています。

恥ずかしながら私はテレビもほとんど見ませんし、政治のこともほとんど分かりません。ですから、書かれていること全てが本当に理解できているのか?と、言えば出来ていない方が多いのかも知れません。

なぜそんな私がこのページを見つけたのかと言うと、最近のアメリカからの日本への対応、態度に疑問を感じていたからです。だんだん、バッシングと国民全体もハッキリ感じ始めています。

そして、もしやこれはオバマ大統領になってからでは?と、検索してみればなんと2年も前にこのことを指摘しているではありませんか!

感動すら覚えました。

これからの日本はどうなっていくのでしょうか・・・。
我が家は不景気の為、子供の幼稚園入園も来年に先送りです。
少しでも景気が上がってくれれば。と、願っていましたが。先行き暗いですね。

長くなってしまいましたが、これからはこちらのブログ、ちょくちょく読ませて頂きます。
政治、外交、全ての事が私たちの生活にこんなにも影響しているのだと、痛感させていただきました。

とても勉強になりました。
ありがとうございました!
>ucaさんへ (あび卯月)
2010-03-14 00:06:55
コメントありがとうございます。
お褒めの言葉を戴いて大変恐縮しております。

仰るように私はオバマ氏が大統領として就任する以前から、アメリカ民主党政権誕生で日本バッシングが再燃するということを指摘していました。
昨年一月に就任した際にも『オバマ大統領に騒ぐ日本人』(http://blog.goo.ne.jp/tuneari/e/2f95bff47061234468215a534c6e573a
という記事の中で「私は民主党政権になったのだから、再び日本バッシングがはじまるのでは?と何度か云ってきたが今一度警告しておく。
特に日本企業は覚悟しておいたほうがいい。
クリントン政権下で起こったヤクザのインネンのような訴訟をふっかけられる覚悟を。」
と書きました。
ですから、トヨタを始めとした日本企業バッシングがはじまった時には「ホラ見たことか、私の言った通りになった」と感じたのですが、当時も今も誰もこのことについて反応してくれなかったので、はからずもucaさんから言及をいただき大変嬉しく思っています。
もっとも、日本にとっては私の予想が外れると良かったのですが・・・。

最近、私事でいろいろ忙しく、更新が滞りがちになっていたのですが、嬉しいお言葉をいただき更新の意欲が湧きました(笑)
今後もマスコミがあまり報じない時事問題の側面について私なりに書き綴ってゆきたいと思います。
Unknown (KENTO)
2010-05-09 13:16:47

高校生です
最近見つけて拝見させて頂いてます

社会や政策の裏側みたいなものが分かってとても面白いです
これからもまた見に来ようと思います
>KENTOさんへ (あび卯月)
2010-05-11 00:06:47
コメントありがとうございます。

私が書く小難しい記事を御覧なっていただけるだけでも光栄なのにあまつさえ「面白い」と仰っていただけるなんて、本当に恐縮です。
さらにKENTOさんが高校生ということに驚くと同時に大変嬉しく思っています。
私の書く記事の是非はともかくとしてKENTOさんのように社会問題に興味を持たれる若い方が増えれば日本の未来は明るいと感じます。

最近は更新が滞り気味で申し訳ありません。
近ごろ、記事にしたくなるような話題が少ないということもあるのですが、私の政治についての基本的な考え方は以前の記事においてほとんど書いてしまったからという感があるのも事実です。
したがいまして、その他わたくしの基本的なスタンスについては過去の記事を御参照していただければ幸いに存じます。
(古い記事へのコメントも御遠慮無く)
こんばんは (のもへ)
2010-07-11 00:18:40
はじめまして、のもへと申します。
政策の問題点を調べていくと、
色々と問題がありますね。

参考までに、米沢市議会の渋間先生は
戸別補償によって米の価格が下落するのではと危惧しています。
http://shibuma.exblog.jp/11384038/
>のもへさんへ (あび卯月)
2010-07-18 22:18:38
コメントありがとうございます。

戸別所得補償制度の導入で米価が下がることは私も別の稿で指摘している通りですが(http://blog.goo.ne.jp/tuneari/e/955bdc7206b919dea13c1869bbe16d3c)、私の考える米価下落の主因は制度導入に伴う減反離脱農家の増加により水稲作付け面積が増えるからという理解です。
実際、渋間かすみ議員の述べる理由も米価下落の一因になるだろうと思います。
米価下落は一見、消費者にとってはありがたい話なのですが、赤字の補償を国税から賄うとすれば、結局は消費者の負担になるわけで。
このあたり制度の設計者はあまり深く考えていないのでしょうね。

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