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治療記録(花粉症、ウイルス性いぼ)/山下清について

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山下清の作品を見に行った⑥(その1)

2016-09-19 | 山下清展覧会
 2015年6月13日~8月30日に、市川市文学ミュージアムで「山下清とその仲間たちの作品展」なる企画展が開催されていた。山下清がお世話になった八幡学園のある市川市での展覧会!しかも山下清以外の園児の作品も観ることができる!とテンションが上がりまくっていた。この企画展はもちろん開催前に偶然知ったのだが、山下清の情報を常にチェックしているわけでもないので、自分の山下清センサーの敏感さ?に感心した。

 ネットで情報を収集して、関連イベント「松岡一衛氏による特別ギャラリートーク」のある6月20日に行くことにした。松岡一衛氏は9年間山下清と行動を共にしていたという。1963年~1971年の間だから、式場先生が居なくなってから山下清が亡くなるまでの間かな。当日は朝早くから市川へ。最寄りの本八幡駅は初めて降りる駅だった、こぢんまりして庶民的な駅だと思った。無料シャトルバスでコルトンプラザまで行って、その隣にある市川市文学ミュージアムに行くと、入口に企画展の布看板が(写真参照)。しかも山下清の写真と本人の字入りで凝っていていいね!午前中はじっくり山下清と仲間たちの作品を鑑賞…いかん、いつまでも観ていたい、はっきり言って時間が足りん(笑)。たぶんこの日、自分が一番時間をかけて観ていたのでは。山下清の作品、写真、日記など盛り沢山で初見のものもあった。作品は子供の頃から青年期まで。晩年の頃の有名作品はあったけど、数が少ないのは八幡学園の企画展だからかな?写真は八幡学園時代のものがたくさん。山下清や八幡学園の子供達の生き生きとした顔の写真、職員の皆さんの写真、すごくすごく価値があるものだと思った。

 山下清は良く知っているが、他の八幡学園園児の作品を観るのは初めてだった。特に何も考えずに観に行ったのだが、あっという間に引き込まれた。石川謙二のクレパス画は大胆だし、沼祐一の貼り絵は現代アート的だし、野田重博は雰囲気のあるいい絵を描く。アンケートを書いてコルトンプラザで昼食を食べて、午後のイベント「松岡一衛氏による特別ギャラリートーク」へ。参加者は20人くらいか、松岡氏の貴重な話を聞かせていただいた。覚えていることを下記に記す。

 山下清について:やり直しきかない油絵は苦手だった。一番怖いものは2つあって、お化けと巡査だった(かなり怖がりだった)。18で八幡学園を逃走したわけは、軍隊に行きたくなかったわけではないと思われる。好きな食べ物は中華料理(お皿にたくさん料理が載ってるから)。放浪中小銭をためてお札にしたのに取り上げられたのがくやしい、となんべんも話す。12時10分前を狙って物乞いする。
 石川謙二について:知能指数30。人臭い絵を描く。山下清と同じく記憶したものを思い出して絵が描ける。有名画家と似たモチーフの絵が数点あって、それが大変似ているのが面白い。(注:誰の絵だったかは忘れた…)
 沼祐一について:知能指数0。しゃべれない、字も書けない、てんかんあり。不思議な絵はてんかん前の幻覚を描いているのでは。ボタンをちぎって投げそれを拾ってくるところを見た八幡学園の職員が、何かできるのでは?と思い絵を描かせた。絵は現代絵画風で描画がなめらかで左右対称。ボタンに執着心があり、絵にも出てくる。現代絵画が当時流行っていたなら、山下清より人気が出たのでは。八幡学園に入ってからちゃんと整列ができるようになった。
 野田重博について:知能指数30。山下清よりゴッホに似た絵を描く。クレパス画は力強く濃く描かれている。小さいうちから上手かったので、このまま大人になるとどうなるのか?と心配された。とはいえ、私どもは子供たちを画家にしたいわけではない。

 松岡氏の話も加わり、より一層作品が心にしみ入った。ところで知能指数の話があったが、あれは本当かと疑いたくなった。石川謙二と野田重博の習字や日記も展示されていたが、字は上手いし文章もまともなのである(これは山下清にも言えることであるが)。顔つきも、知的障害を持ってはいたんだろうけど、持っているような顔に見えない。何より八幡学園での生活の一コマの写真が暗いものではなく、みんな活気にあふれているのが印象的だった。本や展覧会でよく見る山下清の写真は、すました顔が多くほとんど表情がないのだが、子供だったせいなのか、八幡学園の仲間・生活があったせいなのか分からないが、八幡学園時代の彼は表情豊かであったことも発見だった。
 松岡氏は子供たちを画家にしたいわけではないと言っていたが、自分的には画家にならなくとも一般公開はどんどんして欲しいと思った。今の八幡学園の子供達の絵画展はやってないのだろうか。

 開催中にもう一回観に行くぞと心に決め、絵葉書を買って帰った。帰ってからネットで「宿命の画天使たち」という本を買ってしまうくらい、心揺さぶられる展覧会だった。
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