【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

日本政策金融公庫の「創業お役立ち情報」(公正です!)

2014-06-28 10:01:00 | 起業(会社設立など)と経営
これから起業(創業)する人、起業して比較的日の浅い人にぜひともご覧いただきたいサイトがあります。日本政策金融公庫の「創業お役立ち情報」です。

日本政策金融公庫」はいわゆる政府系金融機関で、業務の一環として中小零細企業に対する融資を行っています。ここが発信する情報は国の中小零細企業に対する融資事業に対する公的見解であるといっても過言ではありません。また、サイトでは融資事業にとどまらず、経営や創業に関しての情報を発信しています。

●「創業の手引、創業のポイント集

何時からこんなものがあるのかは知りませんが、創業する・創業を考えている全ての人が読むべきだと思います。

●「休日、夜間の創業相談

日本政策金融公庫がこんなことまでしているとは知りませんでした!

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★まずは公的機関の活用を!

「経済」「産業」「企業」など関する公的機関は数多くあり、日本政策金融公庫はその中のひとつです。創業や起業に関する情報はネットをはじめとして膨大にあります。しかし、その多くは民間の業者が「販売促進」のために発信するものです。さらに、内容の多くはコピペです(笑)。

公的機関の発信する情報は杓子定規で、そのまま役立つ(儲けに直結する)ものではないかもしれません。しかし、「公正」です。現実的です。資本主義社会においては、国が企業の存続を保障はしてくれません。法治国家においては、企業に対しても様々な義務や制約を課しています。創業する人は、まずはこれを知らなければならないのです。

★自己責任の手伝いをする業者の存在

創業後の事業には自己責任が伴います。その手伝いをするのが様々な業者なのです。「何が自己責任」で「何が自身には不足している」のかを知るには、まずは「制度やそれに対する国の公式見解」を知る必要があるのです。

★「国税庁のサイト

税金に関してはまずはこれです!

会計ソフトか?丸投げか?

2014-06-28 10:00:00 | 経理業務(帳簿の作成)
中小零細企業向け会計ソフトの売れ行きも以前ほどの勢いは失われ、「丸投げ」という選択が会計ソフトに替わって徐々に広がりつつあるようです。丸投げとは、文字通り、帳簿付けから決算申告までの全てを会計事務所に依頼するという方法です。依頼者が用意するのは「預金通帳」「請求書(請求した分と請求された分)」「領収書」など、記帳と決算申告の基となる資料です。

丸投げは楽です。依頼者側ではPCでの入力作業は当然として、「切る」「綴じる」「貼る」という事務作業は一切不要です。「必要書類を残す」だけでいいのです。あとは会計事務所が「つなぎ合わせて」くれます。

会計ソフトのセールストークは「簡単」「誰でもできる」ですが、それは入力をはじめとした操作方法のことであり、実際に会計ソフトを使いこなすには(会計ソフトが算出した数値を理解するには)、一定水準以上の簿記会計の知識が必要です。最近では、この会計ソフトを使いこなすための資質についての情報が豊富で、会計ソフトの導入に失敗することのリスクを認識している人が増えつつあります。かつてのように会計ソフトに「飛び付く」時代ではなくなりました。

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しかし、丸投げには次のような致命的欠陥があります。

●必要書類の入手漏れや紛失
当然のこととして必要書類の入手漏れや紛失をした場合にはどうにもなりません。

●資料だけでは会計事務所が事実関係を把握できない
預金通帳に表示される個々の入出金の中には、「入出金の理由」が表示されないものが数多くあります。領収書の中には支払の内容が明示されていないものもあります。これでは帳簿に記入することはできません。

「(会計事務所なら)適当に済ませる方法を知っているのでしょ?」

確かに、ある程度は「推定」できます。しかし、それにも限度があります。

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会計ソフトには簿記会計の知識が必要で、丸投げには大きなリスクがあります。そこで、会計事務所に依頼する場合には、下記の専門知識がなくても作成できる帳簿は会計事務所に教えてもらいながら依頼者が作成するという方法が主流となっているのです。

金銭出納帳(現金出納帳)
預金出納帳(銀行帳)
売上一覧表(月々の得意先別の販売額と代金回収額が分かる資料)
仕入一覧表(月々の仕入先別の仕入額と支払額が分かる資料)

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ただし、丸投げが可能なケースもあります。入出金のパターンも決まっており、しかも件数が少ない場合です。また、多少のリスク(税務調査での追徴課税)は許容する場合も丸投げは可能です。どうしても自分では金銭出納帳などを用意できないという場合には会計事務所に相談するのも一法です。

税理士を紹介する業者(税理士なんて簡単に探せます!)

2014-06-27 11:00:00 | 起業(会社設立など)と経営
税理士紹介業が「花盛り」です。ネットで「税理士」と検索すると、やたらと税理士紹介業の広告が目につきます。

そもそも紹介業は、なぜ存在するのでしょうか?

それは、需要者の能力では供給状況を知ることができない商品やサービスがあるからです。典型が不動産です。ある地域で賃貸物件を探している人が、その地域をくまなく歩いて「入居者募集中」の看板全てを探すのは不可能ではないにしても、相当な時間と労力を要します。また、看板を掲げていない物件もあるでしょう。このようなマーケットでは、紹介業者から情報提供を受けるほうが効率よく希望する商品やサービスを購入できるのです。

★すべての税理士を検索できます。

税理士情報検索サイト

日本税理士会連合会」に現在登録されている全ての税理士(にせ税理士は混ざっていません)の情報を知ることができます。キーワードを入力するなど様々な検索が可能です。

★まずは電話をしてください!

遠慮は無用です。(遠慮していると損しますよ!)

匿名でもかまいません。電話番号も非通知でいいです。

中には、「飛び込み客はお断り」とか「超無愛想・無作法」な所が「必ず!」あると思います。そんな場合には電話を切ればいいのです。

100件も電話をしないうちに、「ここならば誠実に対応してくれそうだ」と思える税理士が必ず複数現れます。そこを訪問すればいいのです。

なお、アポなしで税理士の事務所を訪問するのは避けるのが賢明です。外出していることや先客がある場合もあるからです。このあたりは、常に来客を迎えられる状態にある小売店や飲食店との違いです。

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●紹介業者の公的資格

不動産の場合には宅地建物取引主任者です。

税理士紹介業の場合は?

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誰よりも節税をする税理士!?(節税は税理士として当然の義務です)

2014-06-26 17:00:00 | 起業(会社設立など)と経営
税理士のホームページには「どの税理士よりも節税をします!」というキャッチフレーズが目立ちますが、何を根拠にどの税理士よりも節税ができるといっているのでしょうか?

というのは、どの税理士が一番節税できるかは、一人の納税者の申告書を複数の税理士に作成させてみないとわからないからです。実際にこのようなことをしているという話は聞いたことがありません。税理士報酬の金額が節税した金額を食い潰してしまうからです(笑)。

節税とは、「合法的な方法の中から最も税額が少なくなる方法を選択すること」と「税額が少なくなるように事象を作り出すこと(税額が少なくなるようなタイミングで売り買いをするなど)」をいいます。とにかく「前年よりも少なくすること」「ほかの税理士よりも少なくすること」が節税ではありません。

節税をするのは税理士として当然のことです。わざわざ「宣誓!」するまでもないのです。

★節税自慢の税理士を集めて一番少ない税額を算出した税理士にだけ報酬を渡す

こんな話に乗る税理士はいません(笑)。

もっとも、報酬が10億円ならばいるでしょう。もし、こんな話が常にあれば、税理士は「談合」をするでしょうね(大笑)。

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●税理士に能力の差があるのは事実です
しかし、税理士の能力はある程度の期間依頼してみなければわかりません。それは従業員を雇うのと同じです。税理士に依頼してしばらくたって、知り合いが依頼している税理士に比べて「うちの税理士はよくやってくれている」と感じるとか、知り合いから「その税理士さんを紹介してほしい」といわれたならば、その税理士は優秀なのです。

●税理士の意欲を低下させてはいけません
「低報酬」「時間不足」「資料不十分」では、どんな有能な税理士でも意欲が低下してしまいます。当然、本来の能力は発揮してくれません。

会社の設立登記はどこに依頼すべきか?(一番安い所に依頼すべきですが・・・)

2014-06-24 17:00:00 | 起業(会社設立など)と経営
インターネットを検索すると会社の設立登記手続をする業者が多数表示されます。

もう、ほとんどの人は知っていると思いますが、一番安いのは「抱合せ販売」をしない所です。「抱合せ販売」の典型は、会計事務所(税理士)が設立後の顧問契約(最低1年間)を条件に登録免許税や定款認証手数料などの実費だけで設立手続の一切を引き受けるという方法です。これは昔からある会計事務所の営業方法で、「いつの間にか社長になっていた」という状況にして後へは引けなくしてしまうのです。【注】税理士は会社設立登記を含む登記業務をすることはできませんので登記業務は司法書士に頼んでいるはずです。

会社の設立登記は、法律で定められた提出書類が揃い、その書類の中身が法律に従っていればできます。「会社の所在地や代表者が実在しない」など、形式的な間違いがなければ設立登記は済み会社は成立します。設立登記が済めば、法務局の登記簿に登録され、その登記簿は誰でも見ることができます。また、登記簿の内容は「登記事項証明書」として誰に対してでも発行されます。

●業者が会社の設立登記をどのようにしたかを確認することは簡単ですので、会社設立登記に不正が介入する余地はありません。

●登記した事項は後から変更することができます(それには別途費用が必要)。

設立登記事務は定型的であることから業務の効率化になじむものです。ですから、効率化に裏付けられた低価格路線を打ち出している業者の戦略は正しいのです。しかし、それにしてもあの料金は「かわいそう」だと思います(笑)。

★登記すべき事項の「選択」には専門的判断が必要です。

「格安業者」はこの点について依頼者の自己責任に任せています。だから、格安なのです。依頼者もそこまで求めてはいけません。

この点については、良心的な会計事務所(税理士)であれば無償で相談に乗ってくれると思います。当然、顧問契約という条件もありません。「無償では相談しにくい」というのであれば、「税務関連役所への設立届の提出」と「会計ソフトの初期設定」あたりとセットにして数万円で依頼すればよいです。

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◆登記を甘く見てはいけません!

会社の設立登記手続がいとも簡単に終わってしまうことから、登記制度を十分理解しないまま会社運営を続けているケースがあります。

登記事項で会社の活動の選択肢が制約されてしまう場合もあります。登記事項の変動を放置しているとペナルティが課される場合もあります。会社を消滅させるには一定の登記手続が必要です。登記を甘く見てはいけないのです!

登記手続をしたのは業者かもしれませんが、登記したことや登記事項に責任を負うのは自分自身であることを絶対に忘れてはなりません。