【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

事業所得が赤字?(会社の利益とは計算方法が違いますよ!)

2009-03-05 06:00:00 | 所得税の確定申告
このブログでも再三にわたってこの件についてはお伝えしておりますが、確定申告の申告期限を直前に控え老婆心ながらお伝えしておきます。

事業所得が本当は赤字ではないのに、赤字で申告している人のほとんどが会社の利益の計算と個人事業者の所得の計算を混同しています。

●会社の利益の計算
利益=売上-仕入-人件費と諸経費(人件費に役員報酬(給与)=経営者の取り分を含む)
⇒利益には「法人税」が、役員報酬(給与)には「給与所得」として「所得税(給与所得からの源泉徴収)」が課税されます。

●個人事業者の所得(事業所得)の計算
所得=売上-仕入-人件費と諸経費(人件費に事業主の取り分を含まず)
⇒「所得=事業主の取り分」に「所得税(確定申告が必要)」が課税されます。

間違って必要経費(上記算式の人件費と諸経費)に「事業主の取り分」を含めて差し引いていませんか?

青色申告決算書や収支内訳書で「給料賃金」という必要経費に含めていませんか?
必要経費に生活費を含めていませんか?

大丈夫ですか・・・?

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★医療費、国民健康保険料、国民年金保険料

医療費、国保料、年金保険料は必要経費ではありません。「所得控除」です。医療費は「医療費控除」、国保料と年金保険料は「社会保険料控除」として必要経費とは別に差し引きします。必要経費は青色申告決算書や収支内訳書で収入から差し引くのに対して、医療費や国保料は申告書の「所得から差し引かれる金額(所得控除)」で差し引きます。

★生命保険料と地震保険料

これも所得控除です。必要経費には含めないでください。

★借金の返済

経営が苦しいときに借金でしのぐ場合があります。つまり、借金して必要経費の支払いをすることがあります。ここまではご理解いただけると思います。問題は借金の返済です。返済すればお金が出てゆきます。そこで、「これは必要経費だ」と考えてしまう人がいます。借金相当の必要経費はすでに差し引いているのですから、返済額相当を必要経費にすれば、必要経費の二重計上になります。

「実際、金がなくなるではないか!!」と憤慨されるかもしれません。

しかし、お金の出入りで収入と必要経費を計算されるならば、なぜ、「なぜ、借金したときに収入としないのですか?借金したときにはお金が入ってくるではないですか?」。(利息は必要経費となります。)