哲学の科学

science of philosophy

生物学の中心教義について(1)

2017-07-15 | yy58生物学の中心教義について

(58 生物学の中心教義について begin)




58 生物学の中心教義について

生物学の中心教義(central dogma)とは、DNA構造の発見者であるフランシス・クリック(一九一六―二〇〇四)によって一九五八年に提唱された地球生物すべてに共通する生物体の構成法則です。
細菌、動植物あるいは人間であろうとも、あらゆる生物の身体は物質として同一の部品から同一の構成法則に従って作られています。
DNAの配列(genotype)からアミノ酸の配列順序が一義的に決まっていて、それによりタンパク質の構造が決まり身体の形状や動き(phenotype)が決まってくる。身体の形状と動きがそのDNA配列を複製する能力を維持できる場合、その生物は自身と同じ形状の子孫を残し種として存続する。そういうような物質分子の部品が秩序よく複雑かつ巨大に組み上げられたシステムが生物である。という法則です。
たしかにこれは現代生物学の基礎原理です。
しかしこの法則を中心教義と名づけたことがおもしろい。

中心教義とは、ふつう宗教で使う信仰の原理などを指す語です。科学の仮説なのに、クリックはなぜこんな宗教のような用語を使ったのでしょうか?後日クリックが語ったところによると、彼は単純にキャッチコピーとしてインパクトの強い語を使いたかったというだけだったそうです。
しかし現代生物学の父祖ともいえる業績を残したクリックの教えはまさに偉大な教義とも言ってよいでしょう。自分が基礎を作った学問が巨大な科学に育っていくことを見越して、彼は、教祖のような言葉を残してみたかった、と言えなくもありません。

筆者は大学生のときアメリカ帰りの新進の若い生物学助教授からこの言葉を聞き、それこそこの世の謎を解き明かす秘儀を教わったような気になりました。生命の神秘というものはこれだったのか、というような意味で、まさに秘密の教義でした。

その後数十年、今日までに分子生物学は大発展し、多くの生物のDNAは解明され、細胞構造はもちろん細胞を構成するタンパク質、核酸、糖鎖その他重合分子の構造、機能、システム機構が詳細に解明されてきました。遺伝子工学の技術は生物種を改変し人体を改造する可能性までを示しています。










自然科学ランキング
ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 宇宙人はいるか(11) | トップ | 生物学の中心教義について(2) »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
ブログ作成者から承認されるまでトラックバックは反映されません。