昔ばなし

春に父の13回忌を迎える。

母親はもういない。

16の時に家を出て行った。

父は単身赴任、自分と母は新居で新しい生活をスタートした。

自分は高校生、母は初めてパートに出た。

母は仕事に慣れず、すぐに辞めてしまった。

そのうち、友人ができたそうで、夜に外出するようになった。

当時は同じ部屋で布団を並べて寝ていたが、

自分が2階から下りてくると、0時を過ぎてもまだ帰っていなかった。

布団に枕や毛布を入れて、寝ているように工作していた。

誰と会っているか聞いても答えなかったが、

髪型や服装が変わり、

急に音楽を聴くようになり、

男と会っているのだと気づいた。

親父にバレるぞと呆れて警告したが、笑って聞き流していた。

つづく