私の「認識台湾」

個人的な旅行(写真)の記録を主眼としつつも、実態は単なる「電子落書き帳」・・・・

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「台湾之子」、粘り勝つ!~NUCと統一綱領、歴史のゴミ箱へ

2006年03月01日 | 台湾

 <"I'd like to ask you something: Is A-bian [Chen] wrong? Is A-bian wrong? Is A-bian wrong by returning the right of choosing their future to the 23 million people of Taiwan?" he said in Hoklo (also known as Taiwanese).>
(「皆さんにお尋ねしたい:阿扁(陳)は間違っていますか? 間違いですか? 台湾の将来の決定権を2300万の台湾人民にお返したいという阿扁の言い分は間違いですか?」氏はホーロー語(台湾語として知られる)で聴衆に語りかけた)
<The audience responded, "No, no, no.">
(「いいえ、いいえ、いいえ」と観衆はそれに応えた)

〝國語〟でなくホーロー語で国民に直接語りかける陳総統とそれに応える国民・・・・アツい、アツいですねぇ!「迷惑メール問題」でぐだぐだやっている永田町の連中をTVで見ると月末の疲れがどっと出るとともに、何だか台湾が羨ましく思えてきます。

◆Taiwan leader ends unification committee(USATODAY)
◆Chen signs NUC, guidelines into history(Taipei Times)
◆陳総統「台湾の現状維持のため国統会と国統綱領の運用停止を決議」(台湾週報)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
問:国家統一委員会と国家統一綱領が廃止決定に至るまでの一連の陳総統の行動の評価としてふさわしいことわざを次のア~エから一つ選び、記号で答えなさい。
ア. 溺れる者は藁をも掴む
イ. 窮鼠猫を噛む
ウ. 山椒は小粒でもぴりりと辛い
エ. キジも鳴かずば撃たれまい
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
以前教育産業に従事していたせいか「こういう設問作って日本のマスコミ各氏に回答してもらったら面白くね?」とふと思った次第ですが、
・『しかし、昨年末の統一地方選で大敗したことを受けて、「内向きな発想に基づく人気回復策にすぎない」という見方も少なくない』(産経)→ア・イ
・中国は「廃止は独立への危険な動きだ」と批判しており、中台関係が今まで以上に悪化する可能性がある。(西日本)→エ
・米国も陳総統の対中政策に懸念を示している。(産経)→エ
・・・・日本の新聞をざっと見てみると「中国の反発は必至だ」といった論調ばかりが目立ち、一連のワシントンとの攻防を踏まえた評価と検証という視点が欠如しているようです。まぁ、台北駐在の記者何てJR九州が宮崎地区に配属する車両みたいなものなのかもしれません(一般人にはよく解らん比喩ですね)が、こういう場合は北京ではなくワシントンに焦点を据えるのが適切だったかと思いますけどね・・・・(今後も概してそうでしょう)

<The U.S. government has consistently opposed any change to the China-Taiwan status quo, fearing the consequences of being drawn into hostilities in the region.>
(合衆国政府は台湾海峡での紛争に巻き込まれる事態を恐れ、中台の如何なる現状変更にも一貫して反対の立場を表明してきた)

メリケンが陳総統の提案に反対の意向を表明した理由はAP配信のUSATODAYの記事(日本語訳)の記事のとおりなのですが、陳総統の「正論」と「固い決意」には抗しきれないと見た合衆国政府は、『陳総統が談話で使用する国家統一綱領の「廃止(abolish)、「凍結(freeze)」、「中止(suspend)」といった用語の持つニュアンスについて26日深夜まで台湾側と協議』(なる台NEWS)し、最終的に、

<"The National Unification Council will cease to function," Chen said. "The National Unification Guidelines will cease to apply.">
(陳総統は「国家統一会議は運用を停止します」「国立統一綱領の適用も終了します」と述べた)

『国家統一綱領の「廃止(abolish)」という強い表現は自粛し、国家統一委員会は「運用を停止(cease to function)」、国家統一綱領は「適用終了(cease to apply)」という言葉を使うことで合意』(なる台NEWS)したようです。
国務省のエレリー副報道官は、国家統一委員会(綱領)は「廃止」でなく「凍結」されたものであり、従って一方的な現状変更には該当しないという見解を示しました。とはいえ、この見解は雑誌の「廃刊」を「休刊」と表現するような苦し紛れのレトリックであり、国務省のサイトを見ると、果たせるかな「〝廃止〟と〝凍結〟ってとどのつまり同じことじゃね?」というツッコミが来ています。

<MR. ERELI: Sir, all I can say is that President Chen has said he is committed to the status quo, he is not changing the status quo and he is committed to his inaugural pledges.>
(エレリー副報道官:私が申し上げたいのは、陳総統は現状維持を表明しており、現状を変更することなく公約を遵守しているという点です)

・・・・改めて「現状維持」の意向を表明することも、すぐれて北京を意識した米台の合意事項だったかと思われますが、国務省は「四不一没有」という言葉をいつの間にか引っ込め、「現状維持」という言葉に置き換えて(すり替えて)逃げ切りを図っており、大変興味深く思えます。(今回のワシントンとの攻防は今後の教訓に活きる重要な機会だったといえるでしょう)
 今回ワシントン側は台北を刺激するような表立った非難の言葉は抑制していました(03年のパウエル発言で台北の猛反発を食らったことも念頭にあったのでしょう)し、北京側も犬の遠吠えのような非難を散発はしたものの、感情的な非難という域を越える行動に出ようとは感じられませんでした。北京はワシントンに間接的に圧力をかけ、同時にワシントンも北京を牽制している構図が見え隠れしていましたが、『外務省の劉建超副報道局長は米国に「実際の行動で台湾独立に反対することを求める」と要請した』(日経)という件などは、まさに語るに落ちたなといったところですね。(北京は台湾を直接どうこう出来ないと自ら告白したも同然ですし、何より「一つの中国」という内政問題じゃなかったの?)

私としては、総じて合衆国・中国・台湾野党筋の「往生際の悪さ」が目立ったような印象を受けるとともに、「台湾で高まっている市民パワーやナショナリズムこそが大国を振り回し、台湾の民意こそが台中両岸関係の帰趨を決定しようとしている」(『台湾 したたかな隣人』酒井亨著)という痛快な場面を目の当たりにしたような爽快さを感じました。

※写真・・・・国家統一委員会の「運用停止」と統一綱領の「適用終了」を発表する陳水扁総統(現地時間17:10分:民視)

3千数百円の年間予算では、国家統一委員会の委員の皆様の「慰労会」は無理?

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7 コメント

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Unknown (猫研究員。(高峰康修))
2006-03-02 01:49:55
>台北駐在の記者何てJR九州が宮崎地区に配属する車両みたいなものなのかもしれません



この比喩の意味がなんとなく分かってしまった私は一般人ではないのか?というのは、ともかくとして、<問>の私の回答は<ウ>ですね。「台湾の自由と民主と人権と和平の現状を維持」という論拠は完璧だと思いますもん。「自由・民主・人権」「現状維持」って米国の戦略のキーワードなんだから、文句をつけた米国のミステークだと思うなあ。これで行ける!と踏んで陳政権自らひねり出したのか、米国との協議の中から出てきた表現か、ちょっと興味あるところです。前者かなとは思うのですが…。
比喩 (むじな)
2006-03-02 01:54:26
>・・・日本の新聞をざっと見てみると「中国の反発は必至だ」といった論調ばかりが目立ち、一連のワシントンとの攻防を踏まえた評価と検証という視点が欠如しているようです。

>



台北駐在記者は、一般に中国語屋で、米国のこと知らんからです。

ただ、その中では、中日、読売、日経、朝日が、この順番でよかったと思います。

日経って最近、中国批判、台湾寄りが強まっているな。2年前には最も親中国的だったのがうそのよう。



>まぁ、台北駐在の記者何てJR九州が宮崎地区に配属する車両みたいなものなのかもしれません(一般人にはよく解らん比喩ですね)

>



私もこの手の「オタク比喩」をよく使うことがあって(たとえば台湾の政治状況についてラトビアを持ち出したり、レバノンの宗派対立を持ち出したりする)。

でも、比喩って普通は、「説明しようとする現象よりも一般的に知られているもの」を引き合いに出すから比喩になるのであって、さらにマイナーなものを引き合いに出すのは、比喩になっていない、とある研究者の友人から揶揄されたことがあります。



ちなみにその友人は、私の近著について「よくまとまっていて、珍しく怪しさがない」といってくれました(わら)。





Unknown (むじな)
2006-03-02 01:57:27
今回の日本の報道では、中日、読売、日経、朝日がわりとマシでしたが、逆に産経と毎日が一番ひどかった。産経は案の定「台湾の声」にたたかれている。

まあ産経なんてもともと国民党べったりだったんだから、しょうがないんだけどね。
そもそもメリケンに言いたいのは・・・・ (tsubamerailstar)
2006-03-03 10:15:15
>猫研究員様



>文句をつけた米国のミステークだと思うなあ。



「一方的な現状変更に繋がる動き」を容認しないというのであれば、そもそも昨年の「反国家分裂法」こそがそれに該当する訳で、その時点で強硬に動いておくべきだったんですよね。まぁ、全人代での成立をを見越して2月の「2プラス2」で動いてはいるのですが、あのコミュケの文言では甘いと思いました。(実際何をどうしたいのか不明ですし)



虎の巻ですね! (tsubamerailstar)
2006-03-03 11:26:31
>むじな様



>ただ、その中では、中日、読売、日経、朝日が、この順番でよかったと思います。



なるほどですねぇ。中日の佐々木記者の「世界の街角から」は毎回楽しみにしておりますし、讀賣は昨年一番意欲的だった気もします。

産経は河崎記者も精彩を欠く感じで、聯合報とかの垂れ流し記事が多いなぁとは思ってましたが、交替しちゃいましたね。何か後任は駄目っぽいですねぇ。

サンケイ新聞社の『蒋介石秘録』はヤフオクで2千円くらいで買いましたが、この化石みたいな「日中友好」の本も国民党史観というものをうかがう意味では興味深いものがありました。



>さらにマイナーなものを引き合いに出すのは、比喩になっていない、とある研究者の友人から揶揄されたことがあります。



確かにそうだと思います。(笑)





>ちなみにその友人は、私の近著について「よくまとまっていて、珍しく怪しさがない」といってくれました(わら)。



「草の根の視点から描かれた初の台湾現代史」という集英社のコピーは的確で巧いですね。その背景等に触れながら00年以降の台湾の動向を簡明かつ客観的に記しているという点に於いては実際類書は存在しないのではないでしょうか?

私みたいに言葉も解らん、住んでもいない一旅行者にとってはまさに「目から鱗」の「虎の巻」といった感じですが、特に日本の親台湾派とされる(「自由中国派」なのか?な部分もありますが)議員は早急に目を通すべき一冊だと思いますね。

































tsubamerailstarさまへ (猫研究員。)
2006-03-04 20:57:14
>2月の「2プラス2」で動いてはいるのですが、あのコミュケの文言では甘いと思いました



これは、全く同感で、中国には微妙なニュアンスで意思を伝達するなんていうのは無理なのではないかと思いました。単刀直入に言うべきなんだろうと…。



>「草の根の視点から描かれた初の台湾現代史」という集英社のコピー



思わずブログで書評書いちゃいましたよ。著者に、台湾人気動物事情について教えてもらったお礼というわけでもないのですが。何だそりゃ…(爆)
Unknown (通りがかり)
2006-03-05 11:10:02
阿扁錯了口馬?は、台湾のテレビニュース

で見る限り、国語でした。



聴衆は、「没有」と国語で答えていましたよ。



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