今度、どこ登ろうかな?

山と山登りについての独り言

乾徳山・黒金山

2009年09月30日 | 山登りの記録 2009
平成21年9月27日(日)
乾徳山2,031m、笠盛山2,072m、黒金山2,231.6m

 5連休(シルバーウィークとか?)の月火と南アルプスに出かけ、まだ中3日しかたっていないが、秋本番で晴れ予報の日曜は前々から計画中の谷川岳向かいの爼(まないたぐら)を登ろうと準備していた。ところが、出発する直前の天気予報で、群馬県北部・新潟県は日曜が曇り予報に変わってしまった。谷川近辺は、天気が悪くなる予報の時はガスに包まれて全く視界が無くなることが多い。昨年それで爼に登り損ねて居ることを考え、行き先を急遽変更した。

 変更したはいいが、じゃあ何処に登ろう…。長野や山梨方面は晴れの予報だが、余り遠くは今からじゃ(土曜の夜7時時点)無理だし、そんなに遠くばかり行ってられないなあ。ここ何年も登ろうと思っていながら、登り損ねて居る山も結構多いが、そんな中から、いつもその登山口を素通りしていた乾徳山が浮かんだ。乾徳山から黒金山まで行けば、そこそこ楽しめそうだ。乾徳山は人も多いだろうが、黒金山は静かそう。ということで、行く山は決まったが、地図が無い…エアリアの奥秩父(雲取山・両神山)が直ぐ手元にあったので、ちょっと見たら乾徳山がはじっこの方にオマケのように出ていたので、それを持って出発した。しかし、この地図には黒金山から大ダオ方面の記載が切れていて、後で不自由した。(同じ奥秩父のもう一つのエアリア、金峰山・甲武信には詳細に載っていたが、帰ってきてから見つけた)

 土曜の夜8時頃家を出た。秩父で買い物をして、雁坂トンネルを越え三富の旧役場先で右折し徳和集落へ向かう。徳和集落の最後の釣り堀から林道を上がっていくが、登山口周辺には適当な駐車場がないから、少し戻って徳和集落の直ぐ上の林道駐車スペース(7,8台置ける)に停めてシュラフに潜った。アラームを5時半にセットして置いたが、もう少し遅くても大丈夫だろう。夜中に雨がパラパラ降っている音がしていた…。目が覚めると車が1台他に停められていた。アラームは時刻を前日の日付に間違えていたが、目が覚めたのは5時45分で全く問題ない。後から来た車の主は、車外にシートを広げて支度の最中だった。高校生くらいの息子とその父親らしい二人連れ。そうか、そういえば子供たちも、もう一緒に山に登らなくなったな、と感慨新た。

 6時8分に出発。親子連れは、ぼくより15分くらい先に出発していた。ぼくが支度している間にも2台ほど車が先に進んでいった。やはり知名度の高い乾徳山(200名山だとか)だから、日曜日はそれなりに人も多いのだろうか?(この山は岩山でクサリ場もあり、展望が良いことで人気があるようだ)まあ、乾徳山はささっと通過し、静かな黒金山方面でまったりしよう。

 林道を少し上り返し、立派な看板が立った登山口から階段を登り始める。しばらくは杉の植林で直ぐに赤松の林になった。傾斜がゆるんで駒止という看板がある平地を過ぎ、直ぐ先で銀晶水というちょろちょろ水場を通過して、小岩がごろごろした細いブナやナラの登りを少し行くと落葉松の植林に変わり7時48分に金晶水という水場に着いた。30歳くらいのカップルがばかに急いで登っていった?持ってきた水を金晶水の水に入れ替える。余り冷たくない、特に旨いとは感じなかった。

 金晶水の水場から落葉松の中を緩やかに登っていくと、先が明るくなり国師が原という標識が立てられたカヤトの原に8時1分に上り着いた。ここから、写真で良く見る乾徳山が現れた。原の上にそそり立って錦に紅葉が始まった山。頂上部は岩山で、なかなか見事な山容だ。乾徳山の右肩もやはり原になっている。ここが扇平という平坦地のようだ。国師が原で道が3つに分かれている。真ん中の道が直接登るクサリ場がある道、右が道満尾根へ、左がいわゆる下山道でクサリ場を経ないで頂上に向かう道だった。そのまま直上し、少しの上りで一面ススキに覆われた扇平に8時24分に着いた。ここから見る乾徳山は、頂上の岩が紅葉したドーム状の山体にほぼ隠れている。振り返ると雲が多くて眺めは良くないが、うっすらと富士山が見えた。晴れの予報だったが、雲が多く、青空は余り見えない。ガスが道満尾根方面から這い上ってきて、今日の展望は期待できないかも…です。

 扇平の外れに月見岩という岩があって標識が付いていた。この岩の上に立って月見をするのだろうか?2㍍くらいの高さの黒い小岩だ。尚も気持ちの良いススキ原を乾徳山方面に進んでいくと、乾徳山のドーム状山体の手前に『扇平』の標識があった。ここから乾徳山まで1時間ということだ。

 扇平からダケカンバやコメツガの樹下に大きな岩がごろごろした登りとなって、眺めの良い大きな展望台の様な岩の上に出た。這い上ってくるガスに隠されがちで、甲府盆地の上にうっすら富士山が見える他はほとんど見えない。岩の下は黄色く色づいたダケカンバが美しい。見下ろす扇平はその名の通り樹林の中に扇形の草原になっている。ここから一番目のクサリ場になるが、ホールドもスタンスも多く、階段状の大きな岩はそのまま登っていける。幾つもの岩を絡み、ハシゴで裏側に回ったりして、最後の岩が大きな衝立を開いた様な形で突き立っていた。その本のページを開いた様な岩の真ん中の窪みに、クラックが縦に走ってクサリがぶら下がっていた。斜度が意外に緩いから簡単そうだが、クラックの幅が靴幅より狭いのと、沢山の人が登るため岩がつるつるに磨かれているから、上部は結局クサリ頼りに腕力で登ってしまった(なんと、このちょっとの腕登りの所為で筋肉痛になった…しょぼ)。岩を越えたらそこが頂上だった。

 乾徳山頂9時27分着。先客が4人居た。2人は先発の親子連れで、もう2人はどこから登ったのか?関西弁の熟年夫婦だった(急いで登っていったカップルはもう居ませんでした?)。のんびり登ったから、3時間20分も掛かった(エアリアを見ると3時間45分のコースタイム)。頂上には石祠や標識類は賑やかだが、ここに三角点は無い。晴れていれば展望が良いのだろうが、あいにく上空は晴れ間も見えるが、雲が山にまとわりついていて眺めは良くない。石祠の前に荷物を置いて、パンを食べて小休止。

 先着の4人が直ぐに下っていって、静かになった。ぼくも、余り長居してもしょうがなさそうなので、9時48分に入れ替わり登ってきた人に挨拶して下る。下山道は黒金山側に岩場を下って分岐がある。北側から見る乾徳山は更に鋭角で、岩を積み上げた様に見える。この付近の紅葉が一番進んでいる。下山道分岐から黒金山には樹林帯の稜線沿いに進むが、いきなり踏跡が薄く不明瞭なルートになった。とは言っても、赤い番号が付けられた方形プレートやピンクテープ・赤テープにアサヒビールと書かれた大きな丸い番号プレート(乾徳山から黒金山まで25分割して番号が振ってある)やら、かなり昔に付けられたと思われる標識類がたくさんあって、迷うのは至難の業?と思われるから、どうと言うこともないが…。緩い上り下りの道で、いかにも奥秩父といった雰囲気の鬱蒼としたコメツガの森は楽しい、こんな山の中を歩くのは好きだなあ。

 苔むしたごろごろ岩にコメツガの根が絡みついた上りを登り終えると、新旧の山名標識が立つ笠盛山に10時40分に着いた。ここを下り始めたら、後続の単独ハイカーが早足で通り過ぎていった。黒金山を回って下るまでは、この人が唯一出会った人で、このコースは人も少ない様だった。その後も相変わらず眺めのない樹林帯の緩い上下を繰り返した。大ダオ分岐手前で北面に少し眺めが得られる所があったが、あいにくガスで展望は良くない。やや広い樹林の中の大ダオ分岐に11時31分着。実は、持ってきたエアリアは「奥秩父・雲取山、両神山」で、この地図には大ダオ方面の記載が切れてしまって無い。家に残してきた「奥秩父・金峰山、甲武信岳」には詳細に記載があったのだが…。黒金山から大ダオを回って徳和に下れるルートがあるという、不確かな記憶を頼りに、今回は周回することになった。(このルートはエアリアで破線ですが、問題なく歩けます)

 大ダオ分岐には、年代物の標識類や新しい標識類が賑やか。これらを見ると、最近はやや寂れているが、かつては乾徳山から黒金山の周回ルートはメジャーなコースだった様な感じを受けた。確か、昔買った『東京付近の山』や『東京周辺の山』等のガイドブックにはオススメコースになって居たように記憶しているが?

 大ダオ分岐から一登りで、黒金山の山頂部に出た。樹林の中でどこが山頂かな?と思って周囲を見回すと、足元に消えそうなプレートが落ちていた。赤字で「山頂→」と書いてあった方に進むと、土台がむき出しの三等三角点と山梨百名山の標柱・最近立てられた方面標柱があり、その先に大きく空間が広がっていた。黒金山山頂に11時36分着。乾徳山から2時間弱、エアリアでは2時間40分だが、ゆっくり歩いてこんなもので意外にあっけない。

 黒金山はてっきり樹林の中で展望が無いものと思っていたが、北面は樹林が無く岩ごろの斜面が広がり国師岳方面に広闊な眺めがある所だった。ただ、残念ながら、その国師岳は雲に隠れていた。大ダオ方面や真下の林道、西沢の様子は薄いガスの向こうに見えている。時々日が差すが、これ以上晴れていく様子は見られない。今日はこんなお天気で終わりそうだ。

 早速湯を沸かし、カップ蕎麦を食べる。誰もやってこない静かな山で、この岩がごろごろのロケーションもなかなか素敵。晴れて居れば素晴らしい展望台だったろう。12時半に山頂を下るまで、のんびり静かな山を独り占めした。少し岩に横になってうとうと…。思いがけなく?静寂な山を堪能した。

 大ダオ分岐まで下り、ここから手持ちのエアリアには情報は無いが、標識類もしっかりして問題無さそうだったし、例の丸いアサヒビールのプレートに今度は大ダオから徳和までの番号が書かれていたので、そのまま大ダオに向かって下った。コメツガの深々とした樹林の下りを終えると、時々倒木やシカ道で不明瞭の箇所もあるが、標識やテープは間断なくあり、間もなく平坦になって広々した笹原に出た。笹原の真ん中に標柱が立って、最近付けられた青い『大ダオ』のプレートがあった。12時57分に大ダオ着。この大ダオは大変気持ちの良い鞍部で、真下に笹を刈られた道が下っていた。徳和にはこれを降りていくようだ。乾徳山が良く見える。紅葉した稜線の上に岩の砦を載せた様な山だった。

 笹原の真ん中で小休止。乾徳山をぼーっと眺める。時々真っ青な青空が覗き、その時は笹原が銀色に光って、ダケカンバの木肌も白く爽やかな気分を誘う。静かで何の音も聞こえない。しみじみと山の良さを味わうのだった。1時13分に徳和に向けて刈られた笹の道を急降下する。沢の流れに降り立つまでは比較的はっきりした道だったが、沢からしばらく林道に出るまでは荒れて不明瞭なルートだ。それでも、点々とある赤テープを拾って堰堤が出ると林道に2時45分に降りた。林道から登山道の入り口には『入口』と赤ペンで書かれた石があった。

 コンクリートの良い舗装林道が、荒れた未舗装林道になったり、また舗装路になったりして延々と続いた。徳和渓谷遊歩道と案内された渓谷沿いに歩き、3時半に駐車場に戻った。駐車場には4台ほど車が停まっていたが、みな乾徳山の往復だったようだ。

 帰りは三富村営だった頃に一回入った事がある『笛吹きの湯』にゆっくりと浸かって汗を流した。前回の蝙蝠ピストンの1/10くらいの疲労度だった。と、こんな風にメリハリの付いた山登りで色んな山が楽しめるなあ。だから、次はハードかな…。秩父で夕飯を食べ、家路についた。

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4 コメント

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乾徳山はカヤトの原が特徴ですね (ノラ)
2009-10-01 10:07:47
あさぎまだらさんの記録を読んで自分の撮った写真を見て,乾徳山はカヤトの原に浮かぶ山頂が特徴の一つなんだと思ってます。展望は良く,初冬の青空の中にうねうねと続く山並の後ろに富士山が写っていました。やはり黒金山は行っていないようです,枯れたカヤトの扇平の後ろに浮かぶ岩峯をやたらに撮っていました。
あさぎまだらさんの行かれたこの時期はまだカヤトはさすがに枯れていないでしょうから,茎が緑で穂が金色なんだろうなと想像しています。青空でなかったのは残念でしたね。
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岩山 (あさぎまだら)
2009-10-01 22:30:46
ノラさんこんばんは。
登る時期によって、山の印象は随分違ってきますね。カヤトの山ですか。ぼくは、岩山という印象でした。初冬ならカヤトが印象に残るのでしょうね。眺めは良いのでしょうが…あいにくのガスでした。午後になって、下るときの大ダオからは青空の下に乾徳山が見えてました。
黒金山周辺の静かな樹林帯が気に入りました。
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乾徳山から国師岳に行きたい (やまぼうし)
2010-05-21 17:15:50
乾徳山は展望の良さとスリルのある岩山が人気なんですね。大ダオからの乾徳山は素晴らしいですね。ここから西沢渓谷に残雪のあるときに行きましたけれど、今度は国師岳方面に行ってみたいと思っています。迷いやすいとガイドブックに書いてあるので心配です。
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破線コースですね (あさぎまだら)
2010-05-21 23:00:27
やまぼうしさん、初めまして。
大ダオ付近は静かで良い所ですね。大ダオから先は分かりませんが、トサカ・ゴトメキ辺りは高低差が少なく、わりと平坦な地形ですね。察するに、針葉樹林帯に笹が茂っている様子です。エアリアで破線のコースですが、経験的に言うと、赤テープ類はあるでしょうし、残雪のある時に西沢渓谷まで行かれたキャリアからすれば、問題ないのでは?と思います。笹にシカ道が縦横という雰囲気でしょうが…。ゴトメキから国師方面、奥千丈辺りは人も随分歩いているようですから、心配ないでしょうね。
いずれにしても、静かな山が楽しめそうですね。
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