Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

〝長野県民俗地図〟の悩み

2017-02-20 23:11:37 | 民俗学

 

 最近よく利用している長野県内の分布図は、かつて〝『長野県史民俗編』調査地点図を見て思うこと〟に記したエクセルを使った自前の作成ソフトによって表している。この民俗地図の作成ソフトについては、平成26年4月に開催された長野県民俗の会第190回例会において自ら発表したもので、その後同会通信241号へ福澤昭司氏によって「パソコンで民俗地図を作る」と題して例会報告がされている。その後〝あらためて「民俗地図」〟の中で記したが、「当時の例会で地図作成ソフトについて報告した折に、『県史』で行われた民俗地図作成の手法となった地図重ね合わせを容易に行なう方法を求められた。もちろんそれを前提にしたソフトに取り組んでいたわけであるが、あれから2年間、要望に応えることもできず時を費やしてしまっている。」と嘆いた。何を悩んでいたかといえば、時代はすでにウインドウズ8に移行し、オフィスもそれに沿って新しいソフトに更新されているのに、新時代ソフトに追随できなかったからのこと。それを書いてからも既に1年半ほど経過している。

 実は最近利用している分布図はいまだにエクセル2003を利用して作成している。わたしのОSはいまもってウインドウズ7である。そういう人もけして少なくないのだろうが(会社でも最新ОSが7のまま)、そこへエクセル2003をインストールして動かしている。冒頭の地図は左側が昨日の日記に使ったひな祭りの分布図である。エクセルへ県内424地点を入力しておいて、事例データを番号で分別入力したものをマクロを起動させて自動的に長野県図に記号を配置させたもの。マクロ起動をさせて約20秒ほどだろうかこの図が作成終了するのは。今回は同じ地点に別のデータが重なった地点があったため、隣接地に別データを配置させて、出来上がったあとに記号の位置を修正して昨日の分布図を完成させている。データ数が少なかったのでそうした修正にもほとんど時間は要していない。データさえ入力が終われば、完成品を作成するまで1分もあれば良いという自分にとっては優れモノなのだが、これをエクセル2007年以降のソフトで起動させると、同じような図にはならない。それが右側の図である。見てのとおり、記号が小さく、また歪んで配置されるとともに、意図する位置に配置されない。これは記号に限らずグループ化した図(この場合長野県図)においても配置先がずれてしまって旧型エクセルと同じようなことができないのだ。仕事でも写真の配置をさせる際に同じようなマクロを使ってエクセル上に配置させることをするのだが、かつて作成したものが、今のエクセルでは思うよに動かず困ったものだった。もちろんこの問題は解消されていない。オブジェクトやグループの名称は、エクセル上で自動的にナンバーが配置されるため、これに追随できないのと、そもそも2007以降のエクセルはオブジェクトの基本的動作が大きく変更されたが故のこと。したがってこの作成ソフトは、残念ながら2003をインストールすることができる限りの命なのである。

 この既に限界域にあるソフトでは、県図と県図に市町村枠を載せた図(続々〝かにかや〟で使った図)、さらにマーキングされた位置を実際の地点と確認するための地点名図をマクロによって入れ替えられるように作成してある。例会報告で福澤氏は「市町村堺以外に白地図に加える要素はないかということです。昔の県史での議論を思い出していました。ここに藩領の境、宗派の境、江戸時代の主要街道、標高千メートルの稲作限界線、水田優先地帯と畑作優先地帯等。いくつか考えましたが、いずれも顕著な分布への影響をたどれなかったり作るのが難しかったりした覚えがあります。結局今回も白地図に加えてもらうのは、川ということにしました。表示の色を変え、必要無ければ消せるようにお願いしました。こうした白地図に重ねる情報がないか話しているうちに、できあがった分布図を複数貼り付けることで、重ね合わせられないかということになりました。これこそが民俗分布図を超えた民俗地図として私たちが考えたことです。」と述べている。命ある限りというソフトのため、積極的になれずいまだ希望通りのものになっていないのだが、川を載せるといった操作は簡単なこと。とりあえず今は、自分で命の短いソフトを使って活かせてあげようと試みている。

『長野県史』民俗編調査地点名図

 


コメント    この記事についてブログを書く
« 流しびなのこと | トップ | アララギに鰯 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

民俗学」カテゴリの最新記事