Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

フォーク

2016-08-02 23:51:36 | 農村環境

 商品名「ホーク」あるいは「フォーク」と言われる道具があるが、最近はあまりお目にかかることはなく、認知度も低い。先ごろ業務で受けた草刈作業は、刈るのも容易ならなかったが、刈ったあとの処理がさらに厄介な仕事だった。そもそも用水路法面の草刈は、足を踏み外したら幅2メートル以上もある用水路に落ちてしまう。それほど流れは早くないが、水路内から這い上がれるようなものはなく、流れの中で脱出するのは簡単ではない。そんな法面にある背丈ほどにも伸びた草を刈るのは、ふだん草刈に慣れていても気を使う。その法面に刈り倒された草を水路空間から出すのに、法上にあるフェンスを乗り越えなければならない。法面側に立つと、法上で見ているフェンス髙より遥かに高い。頭上に上げるように出さなくてはならず、大量の草をこの空間から脱出させるのは、草刈作業以上に厄介かもしれない。草刈で疲れているから、さらにこの作業が辛いものとなる。熊手で固めた草を、抱えて頭の上へ上げてフェンスの向こう側に落とす、そんな作業をするわけであるが、昨年からこの作業のために、フォークを持参するようにした。

 先日も触れたが、刈った草をそのままにしているような人たちには無縁な道具だろうが、草処理をするのにはけっこう“使える”道具だと思って、わたしは刈払機とともにいつも持って移動する。ため池の草刈をした際にもまるめた草をフォークで突き刺して運ぶと、抱えて運ぶよりは意外に楽に運べる。重いんじゃないかと言う人もいるが、もちろん今は軽量化されたものもあるのだろうが、従来の鉄製のものでも使われている鉄の量が少ないから意外に軽い。かなり大きくまるめた草でもそのままの姿で持ち上げられるので、とりわけフェンスの上を越させようという際にもそれほど重いとは感じない。身体より離れた位置で持ち上げられるから、抱えて上げるよりは、高い位置まで上げることもできる。

 ふだん刈った草を“運ぶ”手間が多い我が家の草刈空間では必需品なのである。というものの、我が家ではわたし以外に使う者はいない。そもそもこういう作業でフォークを使うというイメージができていなかったようだ。では何のためにフォークを買ったのか、そのあたりははっきりしないが、わたしの生まれ育った空間ではフォークを“使う”という姿は印象深く残っている。そもそもこの道具は酪農家がよく使う道具。いわゆる干し草を運んだり、ばらしたりする際には必需品だ。かつての農家は数頭の牛を飼っている農家がほとんどだった。我が家でも父が牛を飼っていて、餌にするために干し草をサイロに入れる作業をよく手伝わされた。もちろんこの際には草をそこそこ持ち上げなくてはいけないので、フォークが必ず使われた。そのイメージがあるから、わたしにとっては草=フォークというくらい道具として当たり前の図式ができあがっている。家畜がいなくなった現代の農村においては、フォークという道具をどんな時に使うのか、イメージされていない人は多いと思う。


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2 コメント

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Unknown (猛虎過江)
2016-08-05 02:33:19
我が家の納屋にも、蔵置してありますが、一度も使用したことがないです。”フォーク”という名称で呼ばれているのは知りませんでした。以前、川で”葦草?”を大鎌か、草刈機でなぎ倒して、軽トラで運んで、果木の下に敷いて、雑草があまり出ないように利用していたが、近年は、あまりやりません。果木(梅、ミカン等)は、周りの雑草を刈ってこのフォークを使って、寄せ集めることはなく、そのため、多分3~5回くらい、紐で刈りますが、それ以外、手の届かない箇所は、丸歯で、なぎ倒します。
貴殿も、草刈で御苦労されていると思いますが、くれぐれも、ハチに刺されないようにご留意ください。

ちなみに小生は、地元の郷土研の会員ですが、役員を降りたので名ばかりの会員ですが、貴殿の精力的な理路整然とした文章を拝見して、たまには、会誌”かわのり”に投稿するよう努力したいと思いました。


Unknown (trx_45)
2016-08-07 23:06:21
猛虎過江様
いつもありがとうございます。
先日のため池の草刈でも、そして今日の柿の木下の草刈でも蜂の巣に寸前で気がついて刺されることはありませんでした。

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