Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

アレチウリ

2006-09-12 08:03:56 | 自然から学ぶ
 「アレチウリ」を検索すると、長野県内での記事が多く沸いてくる。そして駆除行動が行なわれているのも長野県ばかりである。アレチウリが蔓延しているのは長野県ばかりなのか、そんな錯覚に陥る。よそではアレチウリをどうしているのだろう。

 先日生家の下流、与田切川と天竜川が合流する地点の対岸にある県道を走った。天竜川からは岩場が立ち上がり、県道の両側も岩場が剥き出しになっているような道路である。そんな状況だから県道とはいえ、道幅は狭い。にもかかわらず、休日ということもあってけっこう車が通る。駒ヶ根市吉瀬にある天竜川吉瀬ダムからの送水トンネルが、この道路に沿って中川村渡場にある南向発電所まで通じている。ちょうどこの合流点の対岸あたりにその送水トンネルの余水吐きなのだろうか、ゲートがある。その場所も道は狭い。その近くの道端にガードレールを被うように草が生えていた。すぐに何だかわかった。アレチウリである。北米原産の帰化植物で、ツル植物で1年生草本、青森県以南の日本各地で広がりつつあるという。

 このアレチウリの河川沿いの生息場所が長野県のホームページにある。なぜ河川沿いに集中しているのかについては、なかなか的を得た説明はされていない。天竜川の近在の一覧からその生育場所をあげると次のようになっていた。

 1.天竜川 飯島町 本郷地区飯沼橋右岸上下流
 2.天竜川 飯島町 田切中平地籍天王橋上下流河川敷(右岸)
 3.天竜川 南箕輪村 天竜橋から大清水川との合流点
 4.天竜川 中川村 飯沼橋~天竜橋

 わたしがアレチウリに遭遇した場所は、飯沼橋の上流にあたるから、1.や4.の近くである。正確に言えば、2.と4.の間にあたるだろうから、この一覧には掲載されていない場所である。「天竜川飯沼橋上流左岸」というのが正しいかもしれない。車から降りて、川の方をのぞくと、川沿いの方から上に向って伸びてきている。場所によってはガードレールが見えないくらいに覆い尽くしている。犬の散歩をしているおばさんがいて(こんな近くに集落も家もない場所を犬の散歩をしている人を見たのは初めてであった)、「それってアレチウリって言うんだよ、知っている?」と言うので、思わずうなづいてしまった。このあたりはアレチウリに覆われ尽くしていて困る、というようなことを口にした。駆除活動が報道されるが、こんな危険な場所は、なかなか手を出すこともできないだろう。アレチウリが木々を覆っている姿を見ると、覆われた木が可愛そうになるくらいで、実際そんなことが要因で枯れてしまうこともよくある。多様な植物が、覆われることでアレチウリに席巻されていくわけだ。

 このアレチウリの花が盛んに咲いている。そのアレチウリの花を巡ってさまざまな虫がやってきている。このごろ花に注目しているから、花にやってくる虫たちの姿を盛んに見ている。しかし、アレチウリほど多様な虫が集まる植物は、最近では見ていない。とくにたくさんやってくるのは蜂である。アカバチ、アシナガバチ、ミツバチなどたくさんやってきている。そして、チョウではベニシジミ、コミスジのほかセセリ系のチョウもやってきている。甲虫類もたくさんいる。写真は花にやってきている大型のアリである。

 アレチウリにすべて覆われているのかとよく見てみると、クズの葉がずいぶん混じっている。アレチウリが繁茂するまではクズの独壇場だったのだろうが、アレチウリにとって変わられようとしている。しかし、アレチウリが多様な生物の集まる場所であるということは意外な事実であった。

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3 コメント

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外来植物同士の戦い (ボッケニャンドリ)
2006-09-12 08:52:18
 うちの近所、千曲川の土手ではアレチウリとニセアカシヤが勢力争いしてるようです。相手が小さな木だとアレチウリが優勢なようです。



 河川敷にあるニセアカシヤは大水で抜け易いようだけど、アレチウリが繁殖すると木が弱ることによって更に抜け易くなるような気がします。
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大きな木もやられます (trx_45)
2006-09-13 21:21:50
 大きな木でもアレチウリに絡みつかれ、そのうちに覆われてしまう姿もよく見ます。ですから、アレチウリ対策が盛んなのかもしれません。
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うちも(恵那市)なんとかしないと・・ (ブン)
2006-11-01 08:01:52
アレチウリがはびこって困っているのは長野県だけではないと思います。長野県民は危機意識が高いのではないでしょうか。私は岐阜県恵那市在住ですが、今、送ればせながら市にアレチウリの実態調査を申し入れたところです。そのくらい遅れています。
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