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「分水工を探る」其の2

2009-11-15 14:44:59 | 分水工を探る

西天竜の「分水工を探る」其の1より

 ■ 久保19号乙

 北側から順次と思っていたが、そううまく現場が近くにあるというものでもなく、近くに行った際についでということでランダムに紹介していくことにする。

  第2回は久保19号乙分水工である。分水工ごとに番号が付されていて、第1回に紹介した辰野町伊那富のものが1番。そこから下流に向かって順次勘定されていく形になっている。ただし甲乙丙という具合に同じ番号のものでも複数あったりする。これは関係者(耕作者)の関係によるものと思われるが、加えて中間に「号外」と言われるものがあったりと、必ずしも円筒分水工からすべての支線用水路が発しているわけではない。ちなみに番号は41まで数える。19ということでほぼ真ん中あたり、上伊那郡南箕輪村久保地籍にこの分水工はあるが、60メートルも北側は箕輪町との境になる。ちなみに19号甲はこの円筒分水工から直線距離で320メートルほど北の箕輪町木下地籍にある。岡谷市川岸で取水後18.6キロ下流にあたる久保19号乙分水における灌漑面積は『西天竜史』によれば39.4ヘクタールとある。現在の土地利用状況を計測してみると若干減っているようだ。ここから東へ約1キロ余の間の水田地帯を潤すことになる。

 

 図に示したように羽北1号甲とは違い、完全な円筒分水工である。25個の堰窓を持つ円筒の直径は3.3メートルある。堰の窓は巾15センチが23個、巾9~10センチのものが各1つずつある。高さ30センチあるが、上部は円形に加工されている。またその円筒の天端も図に示したように縁が付けられ頂部も円形に装飾されている。この装飾が当初からあったものか定かではなく、その理由は躯体の周囲にモルタルで補修された痕跡があるからだ。円筒内部の付け根の辺りにずいぶん亀裂や磨耗の形跡があり、その周辺上部の表面劣化とは大きな違いが見受けられる。ようは痛んだためモルタルで全面を補修したことがあったはず。そのため躯体の寸法も表示はしたものの、場所によって相違が見られるので、平均的な値と解釈した方がよい。補修のおかげで見た目はそれほど古くは見えないのだが、おそらく造成当時のもの、ようは戦前に造られたものではないだろうか。ただ、『西天竜史』には堰の数が23個と記されており、実際の25個との相違は何を意味するのかは定かではない。巾の小さめの堰は後に設けられたものなのかもしれない。また当初はこの円筒分水工がすべて露出して上から見えていたのだろうが、後に道路を拡幅した際に、円筒分水工の上にスラブを掛けて道路にしてしまったようだ(斜線の部分)。

  この図もほぼ上が西にあたり、下が東になる。3方向に分水しているが、図でも解るように東へ向かっている分水がメインの水路となる。図では解りづらいが、東へ向かっている水路には堰窓の比率では22/25の水が分水されることになる。実際は南への分水と北への分水の堰巾は9から10センチという小さなものが付けられているから、用水比率では9割以上東へ行っているといって良いだろう。ちなみに図では22/25に見え難いが、北側に分水している水路は円筒外の側水路の上部を立体交差して渡って行っている。

 東へ向かった水路は100メートルほど下流で角型の大きな分水工でさらに3方向に分水されている。角型の大きな水槽の中に隔壁を設けて水流を減勢させ、隔壁の下から次の水槽に移った水が3方向に分水されるという西天流に多い形式の分水工である。

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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
一通り西天竜をまわりました。 ( (小沢 純))
2009-11-22 13:09:52
一通り西天竜をまわりました。 (小沢 純)
2009-11-17 04:00:11
素晴らしい図面をありがとうございます。
やはり水路を追跡してみるといろいろあるのですね。
まだまだ、見落としているものが多いという事だと理解しました。

リンクに撮影した写真を並べました。こちらへのリンクも入れさせていただきました。
歴史ですね (trx_45)
2009-11-22 13:10:41
歴史ですね (trx_45)
2009-11-18 12:27:20
つきなみですが、水を引くということへの思い入れはすごいものがあると思います。今の時代、みながそうした思いを持って何かにまい進するというものがなくて、当たり前のように日々が過ぎていくから、逆に言うと「無駄」などを追求したくなるのでしょうね。
書き直させていただきました。 (trx_45)
2009-11-22 13:11:52
上記のコメントについて、当初のページからコピーさせていただきました。わけあって当初のページを削除しまたので・・・。

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