Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

描かれた図から見えるもの [23]

2017-02-26 23:37:55 | ひとから学ぶ

描かれた図から見えるもの[22]より

 

 

 


 先日の全社研修の折、昼を旧上山田町内でとった。その際入った店に置いてあった上山田温泉内の店を紹介している図を見て「なんだこれ」となった。それは図を見ても自分たちがいる店の位置がすぐに見つからなかったからだ。その図が冒頭の図である。千曲川がやや傾いでいるが、横に配置してあるから川を渡って入る構図で自分たちの位置を探す。万葉橋を渡ってきたからそこから探すとようやく店の位置がわかった。万葉橋からほぼ直線で山に道は向かっているのだが、この図はその道が直線で無い。さらにその道から左側をかなり縮めて描いているからイメージがわかないのだ。さらに街の中をほぼ楕円形に主たる道を描いているから、実際はある程度矩形のはずだから、街の中の道の配置がまったく印象と違うのだ。この不思議な図をじっとながめてぶつぶつわたしが言っていると、店の奥さんが「地図としては見ない方が良い」と言う。まあその通りなのだが、描いた人にはきっとこのイメージが最良だったのだろう。きっと協賛している店をバランスよく描くとこうなってしまったのだう。

 街の中の道の配置はともかくとして、この図を知らない人が見ると、街が山の上に向かって傾斜しているようにも見える。図上の真ん中あたりを頂点として山のように描いているから明らかに「山」を意識している。上山田温泉を訪れたことのある人は、山の中腹に「戸倉上山田」と看板があって、善光寺大本願別院の建物があることを印象として持っているだろう。それが図の左手中腹に描かれている。ということは、やはり頭上真ん中あたりを山として捉えているのだが、その頂き近くにも街が描かれているからイメージ通りに頭の中で描けなくなるのだ。その山の背景に青い空を描き、おそらく西陽になるであろう右手に太陽を描いている。実際上山田の街の中から山を仰ぐと、山の上はこんな感じなのだ。かなり極端にイメージ化されているが、おそらくここに日々暮らしている人たちにとっては、山が近いから山の稜線と空のイメージはよく表されているのかもしれない。2枚目の図は冒頭の図とは違って地図として見られる図になっている。とはいうものの、万葉橋を渡ったところにある万葉通りの左手はかなり縮めて描いているから、このエリア内はイメージと異なるかもしれない。

 上山田温泉は千曲川の向こう側にあるマチという印象で描くのが通常なのだろう。したがって山が上に配置され、川が下に描かれる。いわゆる伊那谷で描かれるイメージと同じだ。以前から触れているように公共のパンフレットにあっては、今は図の上を北に配置することが一般的となっているから、この上山田温泉のある千曲市のパンフレットは北を上にして上山田を示しているかと思いきや、やはりこれらの図と同様に千曲川を下に配置して南側(正確には西南西)の山を上に配置している。このイメージがすでに定着しているから変えられないのかもしれない。「川」を渡って目的地を示す場合、やはりこのような配置になるのだろう。上山田温泉は背後に山があるから図上山が描かれるが、こういうケースでは背後が山でなくともこうした配置がされるかもしれない。

続く


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