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地方は終焉を迎え、無秩序な空間は途方もなく宇宙まで続く。

ため池決壊の背景

2017-07-16 22:50:27 | 農村環境

 九州豪雨はいまだ不明者がおられるほど甚大なものだった。東北の震災以降、農業用ため池が話題になっている。地震によってため池が決壊した事例が幾例かあったため、地震時における耐震性がどうなのか、そんな診断がここ数年来盛んに行われた。そして規模が大きく耐震性のないため池については改修計画が進んでいる。しかしながら地震によるため池の決壊発生確率はかなり低いと考えるが、東北の震災以来ため池に対する不安は増大しているのも確かだ。ところが、では東北から遠い、例えば長野県でどうかといえば、東北の地震翌日に発生した栄村の地震のほか、その後大きな地震が県内を震源として発生しているにもかかわらず、実際のところため池に対する危惧は、地元でもそれほど高まってはいない。長野県内にはそれほど大きなため池が多くないということもあるだろうが、いっぽうで管理の行き届いていないため池は多い。

 ため池のことはわたしの日記でも何度となく触れてきた。今回の九州豪雨においてまたまたため池が話題、いいや悪者になっている。被害を大きくした要因にため池があるという報道が盛んにされている。考えてみれば、地震によるため池の決壊発生率に比較したら、現代の短時間雨量発生状況から、今後豪雨によるため池の決壊危険度は上がることだろう。たびたび登場する朝倉市山田にある山の神ため池は、被災後の光景を見ると、ここにため池があったのかと思わせるほどだ。Googleで計測すると水面積1.2ヘクタールほど。かなり大きいため池というわけではない。この規模のため池は長野県内でも少なくない。おそらく水源の乏しい地域ではこの程度のため池はたくさんあるだろう。何といっても長野県は山の中だから背後地がそこそこあるから、それほどため池に水源を依存する地域はそう多くはない。しかしながら、この背後地がため池の大きさと関わってくる。背後地がないからため池を造って水を貯めておくわけで、用水を必要とする水田が大きければ背後地と雨量とため池と、という具合に関係して不足料をため池に依存することになる。山の神ため池は、奈良ケ谷川という谷を堰止めた形で造られていた。ようはその流域が荒れれば流木が発生する。決壊の要因となっている洪水吐はおそらく200年確率(200年に一度という雨量)で大きさが決定されているから、そこそこの雨量に耐えられるものだったはず。しかしながら雨量には対応していても流れてくる雑物のことは考えていない。盛んに大学などの模型実験が放映されるが、流木が洪水吐を塞げば素人でも水の行きどころがなくなってため池が溢れて「決壊」ということになることは解る。今回の山の神ため池の背後地は、田ノ口峠までの大きく見積もっても2km2弱といったところ。それほど大きいというわけではない。この規模で今回のような流木がやってくることを想定して洪水吐を造ることはできないだろう。

 かつて県内で災害が発生した際に、盛んに言われたのは根の浅い森林を育てたことへの警鐘だった。森林の衰退、そして想定外雨量の常態化、こうした流れを見る限り、九州豪雨のような被害はどこで発生しても不思議ではない。より一層ため池がクローズアップされてきているが、そもそもため池の必要性が問われる時代になっているのだろう。規模が小さいから良いものの、かつてのようなため池への依存は、現在の農業からはだいぶ薄れてしまっている。それに比例して管理されないため池が増えている。いろいろなことが絡んでいるのだ。

国土地理院より確認

山の神ため池

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