Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

山の神

2018-01-06 23:32:48 | 民俗学

 

 

 国道19号線の山清路から旧八坂村役場方面を経て大町市に通じる県道大町麻績インター線へ分岐するあたりの岩山にはたくさんの石仏が山肌に点在している。この山を金戸山(かなとこやま)と言う。金戸山百番観音と言われ、寛政10年ころから文化7年ころに宇留賀の人々が中心になって建てたものと言われる。宇留賀とは県道大町麻績インター線沿いにある集落を言う。分岐して少し大町寄りに行ったところに崖上に登る階段がある。この階段を登っていくと県道のモルタル吹付工の頭に出、その上に大きな岩穴のような場所があり、中央に如意輪観音が祀られている。そこからさらに上に登っていくと、巨岩を屋根にしたような場所に石祠と石像が安置されている。モルタル吹付のてっぺんを歩いて登っていくわけで、枯葉が多いこの時期には、足元が悪く滑りやすい。もちろん足を滑らして落ちたら、あの世行きである。石像は生坂村では珍しいと言われる山の神像である。主尊の足元に二神を配置した三尊形式の像であるが、山の神像そのものの事例が少なく、これをもって山の神という明確な形式はないようだ。像高は64センチ。

 県道端の入口にある看板には、「岩穴から転び落ちていた」とあり、信仰が篤かったとは考えられず、忘れ去られていたといった方が正しいのかもしれない。

 山の神から振り返ってみると、眼下に犀川とともに山清路の谷と国道19号線が望める。

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