Cosmos Factory

地方は終焉を迎え、無秩序な空間は途方もなく宇宙まで続く。

魔除け

2017-11-03 23:32:06 | 民俗学

 

 同僚が現場の近くの家で玄関先におもしろいものを掲げていると教えてくれた。場所を聞いて行ってみたのだが、聞いた段階で同僚が見たという家々が、いずれも箕輪町の南小河内だったということもあって、それが何なのかは気がついていた。あらためてその家を訪ねて見て、すぐにそれがオサンヤリの破片だとわかった。オサンヤリについては、「大堰とともに・後編」で触れた。そしてそこでもこの玄関先の魔除けについて記した。魔除けの掲げ方は家々によって若干異なるが、玄関先に掲げることはほぼ共通している。『長野県上伊那誌 民俗篇上』(昭和55年)にはこの魔除けについて次のように記されている。「見物のものは周囲に集まって、貫の破片や笹の葉など争い取り、これを持帰って家の入口にしばりつけておけば、一年中の災厄を除けられるとしている。子供たちもおさんやりを持ち帰って、表の立木などへ立てかけておく。これも同じ冥力があると信じられている。」というもの。

 玄関先に掲げられるものとしてはよそでは見られないようなものであるから、同僚が「おもしろいもの」と捉えたのもわかる。掲げられているのは木片と竹笹である。木片はおさんやりに造られた舟の破片。舟の枠は頑丈なものだから簡単には壊れないのだが、これを盆の最期、16日の晩に壊してしまう。舟形に舳先が張り出しているのだが、それらには竹笹が使われる。枠を壊した木片と、舳先の竹笹をセットで奪い取って家に持ち帰るというわけだ。木片と竹笹を縄で縛って玄関先に吊るす、あるいは縛り付ける。おそらくほとんどの家は翌年のおさんやりまで玄関先に掲げた魔除けはそのまま残ることになるのだろう。1年間掲げられた魔除けが、その後どうされるかについては聞き取っていないことをこの文を書いていて気がついた。

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