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御園座公演(S46年2月)

2006年08月14日 | 舞台公演
(「演劇界」S46年3月号より引用)

中京通信(岡安辰雄)

御園座
ここは昨年九月の林与一・朝丘雪路についで二度目の自主企画興行で、こんどは千恵蔵を軸に天知茂、津川雅彦、東千代之介、石井均、そして阿部洋子、加茂さくら、三浦布美子、鳳八千代らを集めた混成一座の公演である。

自主企画といっても内容そのものが作品本位ではなく、あくまでスター中心の企画興行とあって、だしものは『鼠小僧初姿』に『水戸黄門』『宮本武蔵』といずれも娯楽本位の大衆作品ばかり、こくのある舞台など望むべくも、といった舞台である。

三作品のうち看板の千恵蔵が主演するのが『宮本武蔵』と『水戸黄門』の二本。当人にとっては初の名古屋公演とあって大した張り切りぶりではあるけれども、ともに脚本の出来が悪く、味の薄い舞台に終わっている。

芯となるはずの『武蔵』にしても、巌流島の決闘まで、まるでかけ足で走ったようなダイジェストぶりで、武蔵の人間的な成長、内面をえぐるような苦悩といったものはまるでなく、なんとも中途半端な作品になっている。

また『水戸黄門』も同じで脚本の腰の弱さが致命的。肩のこらない大衆劇を、とはいっても娯楽味さえとぼしいのっぺり舞台に終わっている。大衆娯楽に徹するならば、それはそれで脚本・企画から大事に検討すべきであろう。

天知の『鼠小僧』は『水戸黄門』に比べれば多少なりともポイントのある芝居ではあるけれども、これとて演出のテンポのなさ、じめつきが目立ち、爽快な娯楽作とは遠いものになっている。 映画スターの実演と割り切ればそれまでのこと、が、もう少し動ける役者がいないことには、という気が先に立つ。いくら自主企画といっても、作品があって適役を選ぶというようにならなければ、それも無理というものか。[終]

*巌流島の決戦シーンの舞台写真あり(天知=小次郎がやたら男前←贔屓目じゃなく)

*舞台至上主義の雑誌だからか、ライターさんにも演劇人>映画人>テレビ人という偏見が最初からあるのかもしれない
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