TRATTORIA MAGARI

大田区洗足池のイタリアン・トラットリアマガーリのブログ。「マダムのひとりごと」

小川三夫さんの不揃いの木を組む

2017年02月09日 | マダムのひとりごと
小川さんが棟梁として鵤工舎という宮大工養成所を作ったのは40代のころ。この本のインタビュー当時は54歳というからびっくり。というのも、本に載っている彼の顔は還暦をとうに超えたものに感じるからでした。
大声では言えないものの、私も半世紀生きてきた身。当時の彼と大して年は違わないものの、あと数年たっても彼の重厚感ある顔つきにはなれないだろうな~と素直に敗北感。

宮大工育成を通して人を育てる、人に育てられる事を語ってくださっているこの本。印象に残った点がたくさんありました。それをちょっとご紹介↓↓

1.一つ一つの部材の精密さより、狂ったものを組み立てた時に正確であれ。法隆寺は小数点以下の組み合わせで1300年以上も建っているワケではなく、木は生き物。小数点以下に気を取られて人を育てると部分だけしか見有られなくなる。今の時代、全体を把握した人間ができにくいのは小数点以下を重視しがちだから。

2.人の賢さはそのばの雰囲気が読めるかどうか?仕事の感覚も先を読み、段取りを読み取れるかがセンス。それが早かろうが遅かろうが、そこはあんまり問題ではないと。

3.今は頭重視の教育過ぎる。身体がついていかない。

4.宮大工の一生懸命は2~3百年後、建物を解体した時に、解体した大工がこういう丁寧な仕事をしてくれていたんだなと俺たち工人の顔を思い浮かべてくれるようなこと。

5.建築基準法を作って悪くなった。それはそれが最低の基準なのに、何故だか目標になってしまったから。

6.腕も考えも同じ位が集まってもろくなことはない。不揃いが良い。不揃いが社会の基本。不揃いの材で作った法隆寺や薬師寺の塔は1本1本が支え合って総持ちで立っている。総持ち、これは非常に良い言葉。皆で持つ。不揃いこそ社会の形として建物の柱として安定感があり強い。均一は良さそうだが幅がない。不揃いは人間も木も大変だけど、不揃いの木の癖を生かしてそれを組んだとき、千年を超える塔を支えられる。


うわ~~~~~~ぞわぞわした。。仕事が2,3百年後に評価されることを考えてずるせず、一生懸命にやる。気のなが~い話だけど、それって凄い良い。
ずっこいことをしたら千年を超える建築なんてありえないし、それを正直に気を長くもって他の美味しいところに目をくれず真っすぐやれる人。そんな強靭な人って
学校でお勉強ができたから出来るものではなく、やっぱり若いころから身体をある使い、身体が出来上がって、場数踏んでいくうちに心も出来上がって、心技体一体となった人なんですよね。

デジタルに一方通行で何事をも評価し、美味しい所にやたらと敏感な人達が多いこのご時世。
やっぱり一回ガラガラっぽんって見直すのもいいのかも知れませんね。



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