20世紀の初頭、ある日本人がニューヨークの不動産ビジネスで財を成し、「日本のカーネギー」とまで呼ばれるようになった。しかしその男は、一方で「日米を股にかけたペテン師」とも噂されていた。この本は、著者がその人物岡本米蔵の前妻岡村品子(離婚後旧姓に)との出会いをきっかけとして、その波乱万丈な記録をまとめあげたものだ。根気よく丁寧な取材と検証は、ファミリーの歴史にとどまらず、この時代の日本とアメリカの関わり方を個人のレベルから描き出している。文献として、そしてノンフィクションドラマとして、貴重で完成度の高い一冊だ。
それにしても、この物語は濃い。当時の日米関係の始まりがここに凝縮されているのではないかと思うほどだ。津田梅子など歴史上の人物はもちろん、史上初の米国大統領専任フォトグラファーとなった長男の岡本陽一や日本の広告会社でも働いた次男の岡本王堂のことなど、ページをめくる手が止まらなかった。
読後あらためて思ったのは、歴史を知ることは今を知ることなのだなぁと。日米の仲は相変わらず少し斜めな友好関係が続いているけれど、この先に待つ変化のためにも貴重な知見がある。残念ながら絶版となっているようだけど、久しぶりにお勧めしたい一冊。
それにしても、この物語は濃い。当時の日米関係の始まりがここに凝縮されているのではないかと思うほどだ。津田梅子など歴史上の人物はもちろん、史上初の米国大統領専任フォトグラファーとなった長男の岡本陽一や日本の広告会社でも働いた次男の岡本王堂のことなど、ページをめくる手が止まらなかった。
読後あらためて思ったのは、歴史を知ることは今を知ることなのだなぁと。日米の仲は相変わらず少し斜めな友好関係が続いているけれど、この先に待つ変化のためにも貴重な知見がある。残念ながら絶版となっているようだけど、久しぶりにお勧めしたい一冊。
百年の夢―岡本ファミリーのアメリカ | |
村上由見子 | |
新潮社 |