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RVでの小旅行。

作用機序不明2

2011-05-26 22:42:28 | Innocent joke
福島第一原発の事故で撒き散らされた放射性物質が、直ちにではなく今後、環境に及ぼす影響は、素人である私には予測も付かない。長期間に亘ってもナンの影響を及ぼさないカモ知れないし、統計的には僅かにガン患者が増えるだけカモ知れないし、被曝した年少者の将来に少なからぬ影響を与えるカモ知れないし、被曝者やその子孫迄に重篤な影響を及ぼすのカモ知れない。起きてしまった事故を修正する事は出来ないのだから、今となっては、影響が本当に軽微なのなら将来に亘って不安がない事を強烈にアピールすべきだと思うし、影響が無視できないレベルなのなら国家として影響を最小限に抑える措置を講じるベキだと思う。

世の中には様々な考え方をする人が居るのだろうから、ここ迄でも納得出来ない方も居るカモ知れない。実際に発生してしまった事象が及ぼす影響の大小は、人々の心の有り様とは無縁であるならば、人々の心の有り様を左右させる施策は不要だと云える。だが、私は・・・、そうは思っていない。

首都圏に於ける放射線量は政府公報の通りに心配するには当たらないとして、その原因が招く最悪の結果は、10万人当たり数名程度のガン患者が増える程度なのだそうだ。凡そ、統計的に見て、そんな差異は誤差の範囲であり、無視できる危険でしか無いのだろう。

但し、その首都圏周辺に住んでいて、今後ガンを発症した人なら・・・、その10万人当たり数名の不運な人が自分自身ではないかと思うカモ知れない。ガンの発症メカニズムは概略として理解に至っているが、その人個人の発症の原因は特定不可能である。

ここからが私個人の持論・・・と云うか漠然と思っている事だが、人の心の有り様が疾病の発症を左右する可能性を捨て切れない。福島第一原発の事故の影響で余分に浴びた放射線に依ってガンを発症するカモ知れないと思う人と、絶対に自分は影響を受けないと思っている人が、同じ発症確率であると(私は)思っていない。

これは似而非科学の領域だ。科学とは、科学的方法(手法)に則って「物事を調査」し「結果を推論」し、新たな知見を導き出して、その知見の正しさを「適切な証拠から、適切な推論過程によって演繹されている事」で立証される。つまり、扱う対象が、定量的に測定可能である事が必要となる。

「作用機序不明」と云う過去のエントリーの中で、「作用機序不明」の代名詞として認知されているホメオパシーをネタにしてしまった事は大失敗だったと後悔したとコメント欄に書いたが、似而非科学であるホメオパシーに限らず医薬品としてエビデンスベースを通過した薬でも作用機序不明であるモノは多い。治験の時点に於いて、「客観的な疫学的観察や統計学による治療結果の比較に根拠を求め」効能が適切な証拠に基づいて科学的に立証されたにも関わらず、実際の臨床現場では偽薬効果以上の効能が得られない医薬品も多い。この部分にこそ、定量的に測定不能で、統計学的手法に頼らない再現性が無い科学的手法が導入し難い「人の心の有り様」が疾病治療には大きな影響を占めている事は・・・古典的な意味合いでの再現性が無い事象ではあるが統計学的には・・・科学的に立証されている。

偽薬効果とはホメオパシー並の「作用機序不明」の治療では無いだろうか?私自身は、そのエントリーの中でもホメオパシーの作用機序は偽薬効果であると書いた。だが、ホメオパシーの悪と闘って居られる戦士の皆さんにホメオパシーには百害あって一利無しと念押しされたダケだった。「善人なおもて往生す、いわんや悪人をや」の悪人正機では無いが、「偽薬なおもて治癒す、いわんや真薬をや」であるから・・・、(この部分に賛同が得られないのは残念だが)従来の治療で治癒しない疾病が治癒するとするならば偽薬も上手く活用すべきでは無いか?と云う主張は、百害あって一利無しなホメオパシーの正当化に荷担する悪の一派に認定されてしまった次第。世の中では、悪いモノは悪い・良いモノは良いと二極化させる事が好まれる・・・のだろう。その方が分かり易くて簡単だ。良いモノとされるモノにも悪い部分があるとか、悪いモノとされるモノにも良い部分があるなんて複雑すぎるから・・・だろう。

学説として、ホメオパシーに似た考え方の放射線ホルミシス仮説と云うモノがある。

欧州で主流である放射線は徹頭徹尾怖い・・・と云う根拠としてのLNT仮説・・・曰く「放射線はどんな少量でも確実に細胞を損傷し、その損傷量は放射線量に比例して、これ以上は有害これ以下は無害という閾値が存在しない」に対して、「放射線に対して生体は防御機構をもっており、少量の放射線はこの機構を活性化して、逆に免疫量が高まる等のプラスの効果がある。ある値でプラスの効果とマイナスの効果が拮抗しその閾値を超える放射線量では細胞が損傷して害を及ぼす」と云うのがホルミシス仮説である。日常的にラドン温泉やラジウム温泉等の放射線の多い温泉に入浴している人達や、主に温泉地や火山周辺の環境放射線量が多い地域に住んでいる人達のガン発症率が有意に低い事が統計学的に明らかにされていて放射線ホルミシス仮説に一票と云う考え方が日本では根強い様だ。放射線被曝をする為にラドン温泉やラジウム温泉に積極的に行こうと思う人が存在する事からも明らかだ。誤解を招く恐れがあるので線量は書かないが、そう言った温泉浴場内の放射線量はかなり高い。私自身も・・・放射能泉を有り難がる典型的な日本人だが、正直な話・・・偶に放射能泉に入浴する位では特段の健康増進効果を実感した事は無いのだが、何となく良さそうな気がしている典型的な日本人である。

LNT仮説とホルミシス仮説を分かり易く表現すると、42℃の風呂に1回1分94回入浴すると100℃の風呂に1分入浴したのと同じ悪い効果が起きる・・・だろうか?(これは、ホルミシス仮説推進派の言い分に有利な表現なのカモ?)

LNT仮説の立場に立ったWebページは見つけられなかったので、片手落ちで申し訳ないがホルミシス仮説推進派のWebページURLを記しておく。

ホルミシス臨床研究会
放射線と健康を考える会

この放射線と健康を考える会のWebページには、「ヒトにおける低線量放射線ホルミシス」と云うページがあり・・・、その信憑性の程は素人の私には判断できかねるが、「年間20ミリシーベルト」と云う政府の「新」安全基準よりも過酷な環境に在っても一般よりもガン発症が低い例が数多く報告されている。

そもそも、放射線ホルミシス仮説を提唱したミズーリ大学教授トーマス・D・ラッキー博士は、NASAより依頼された大気圏外での作業に従事する宇宙飛行士への宇宙放射線の影響を調査した結果、高レベルの放射線は生体に有害であるが、低レベルの放射線は有益であるという「放射線ホルミシス」現象を発見したのだそうだ。その仮説には、素人の私も少々驚いたが・・・、「最も理想的な環境は自然放射線の100倍」だそうだ。日本の旧基準である年間1mSvの100倍と云えば、年間100ミリシーベルトである。これは1時間に置き換えると11.4マイクロシーベルトとなる。まして・・・、年間2.4mSvを許容量としていた国際放射線防護委員会(ICRP)数値の100倍なら・・・27.6mSv/hとなってしまう。

流石に・・・、旧基準の100倍である11.4mSv/hの環境でも怖いと思ってしまうのだが、もしも事実なら日本の(新)基準は政府公報の通り・・・健康に問題は無いのだろう。基準値が現実に合わなくなると基準値自体を引き上げたと国民サイドに思わそうとするバイアスがマスコミ側に存在したのだろうか?勿論、放射線ホルミシス仮説は仮説であるから・・・鵜呑みにする事をお薦めする気はない。

福島第一原子力発電所事故で放射性物質が飛散した地域では、今後・・・統計的に有意にガン発症が減少する・・・のだろうか?又は、冒初に書いた通り・・・人の心の有り様でガン発症が増えてしまうのだろうか?このままの国民不審を継続させた状態で国家規模の社会実験を行うベキなのか・・・、人の心の有り様への手当を行い不安を払拭した上で純然と放射線ホルミシス仮説の効果を立証すべきなのか・・・、流石にガン発症者が1人でも減る事を願う事を否定されるとは思えないので、当該地域に住まう方々の不安を払拭すべく政府やマスコミが協調すべきだと思う。昨今のマスコミ報道を見ていると・・・、当の政府も含めて風評被害を大きくしようと活動している風にしか思えない。

福島第一原子力発電所事故を良かった事と位置付ける気は私には無い事は、誤解の無いように書き添えておく。



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