完結編・中学生にこそウエイトトレーニングが必要です!~障害予防&回復のためにスクワットをしよう~

2016年10月28日 | セルフケア

さて、前回の「続々・中学生にこそウエイトトレーニングが必要です!~障害予防&回復のためにスクワットをしよう~」 の続き、ながなが引っ張ったシリーズの完結編です。

さて、

前回の記事では、

私たちの運動学習のベクトルは運動の効率化がメインテーマにあって、

その効率化の過程は、試行した個々の動きの「エネルギー効率」の比較によって「(より)正しい」運動の選択がなされるという前提があるため、

バーベル(重量物による)負荷を加えることで、その「比較」による『「(より)正しい」運動の選択』をさらに加速させる効果が期待できるといった意見を紹介させていただきました。

今回はその理由について説明したいと思います。

 

まずは私たちが「運動」を学ぶ時の道筋についてお話ししましょう。 

私たちの身体は氷河期を超えて生き残っていたので、身体は省エネが大好きなんです。

氷河期のような「十分な栄養をコンスタントに手に入れることのできない環境」では、無駄にエネルギーを消費しちゃうとすぐに死んでしまうので、そうした適応をしたんだと考えられているようです。

だもんですから、使わない筋肉は溶かして吸収しちゃうぐらい無駄を嫌います。

脳神経も然り!

寝たきりになっても天上のシミばっかり眺めさせてるとあっという間に恍惚の人になってしまいますからご注意を!

 

…(-_-;)

話を戻しますね。

 

つまり私たちの身体は目的の仕事をこなすのに最小限のエネルギーで賄いたいんです。

えっと、そうだなぁ…

ようは10個ワンパックの卵を極力安く買いたい!

そんな感じです!(投げやり!!)

 

でも、初めて行う運動には「これが一番効率的(経済的)」といった答えを持ち合わせていませんから、

試行錯誤の中で「答え」を模索する時期というものを設けます。

例えばバーベルなどの重量物を持ち上げようとしたとき。

始めのステップは、「とにかくそのバーベルを持ち上げる」という結果を得るために、私たちの脳は今までの経験を参考に様々な運動プログラムを作り出します。

始めはエネルギー効率はそっちのけで、結果をもぎ取ることのみに努力のベクトルが向けられます。

そして、フォームはひっちゃかめっちゃかでも「バーベルを持ち上げる」という第一段階をクリアすると、

今度は「もっと少ないエネルギーで目的を成し遂げる」ための試行錯誤に移ります。

そして、試行錯誤の中で同じ「バーベルを持ち上げる」という結果を得るのに「10の力を要する方法」と「5の力で足りる方法」に出会ったとします。

すると私たちの脳は「5の力で足りる方法」を記憶に刻み込みます。

 

その「5の力」分効率がいい「5の力で足りる方法」は「10の力を要する方法」と比較して筋で生み出す力を効率的に運動に変換できる方法ということになりますので、筋と骨格の構造上も無理のない運動となってゆくのです。

こうして私たちの運動は洗練されてゆきます。

しかし、「必要な力」の差が小さかった場合、どちらの運動プログラムの方が優れているのか、私たちの脳はその差を見分けることが難しくなります。

そうした運動は効率化が起こりにくく、関節構造にも負担の多い非効率的な運動が修正されずに続いてしまうわけです。

すると、何が起こるのか?

軽い負荷とはいえ繰り返し無理を強いられた関節周囲の構造物に傷をため込み、累積した傷はやがて大きな炎症を生じるようになります(反復性緊張損傷:RSIというケガを負う、ということ)。

腱鞘炎や五十肩、変形性の関節症なんてのはその最たるもの。

ではどうしたらいいのでしょうか?

そんな時こそウエイトトレーニングの出番です!

なんて言うと突飛な意見に聞こえるかもしれませんが、実はリハビリの現場ではごくありふれた手法の一つなんです(やってる技師自身にその自覚はないかもしれませんが…)。

 

リハビリの現場では運動の効率化を引き出すためにウエイトを活用する手法があります。

例えばパーキンソン病でのリハビリでの一幕。

 

パーキンソン病では病気の影響で足がすくんでうまく歩くことができなくなってしまいます。

そんな時には手足に重りをつけて歩く練習をするんです。

ただでさえ動きの悪いところにさらに重しをかけるわけですから、一見動きは悪くなりそうなもの。

ですが、アンクルウエイトとリストウエイトを付けると急に足取りが確かになったりするんですから身体って面白い。

なぜそんな現象が起こるのでしょうか?

私たちは目的を達するための運動プログラムを脳で作り上げて、そのプログラムを末梢神経を経由して筋肉に伝えます。

その指令を受け取った筋肉はプログラムに沿って動き出すわけです。

そして、関節に運動が起こると今度は関節周囲や筋腱にあるセンサーから実際に生じた運動の情報をこれまた末梢神経に乗せて脳に報告します。

脳では下した指令通りの運動ができたのかどうか、またその運動で目的は達成できるのか?をこのループを通じて確認します。

そして、現場(関節)で生じた動きが指令通りの動きでなかったり、その指令通りの動きでは目的を達成できない時には補正案としてのプログラムを組み立てて再度指示を飛ばします。

 

さて、本題。

 

脳機能に障害を受けると、関節への指示が上手に出せなくなるだけでなく

関節からの情報もうまくキャッチできなくなってしまいます。

イメージでいうと、耳の遠いおじいちゃんと電話で話すような感じです。

お孫さん(関節周囲のセンサー)からの電話の声がうまく聞き取れない。

そんな感じ。

すると、無駄のない動きに必要な緊張と不必要な緊張をより分けることができなくなってしまいます。

結果として、がちがちに手脚に力を込めてしまうことになり、滑らかな運動ができなくなってしまうんです。

これに対して、重りを付けると何が起こるのでしょうか?

関節には重りの分だけ負荷がかかります。

すると関節にあるセンサーから脳へ挙げられる情報をグンと増やすことができます。

つまり、電話口でお孫さんが大声で語りかけてくれるようになるんです。

耳お遠いおじいさんも聞き取れる声で、語り掛けてくれる。

つまり、関節に起こっている状況を受け取りが弱くなった脳へしっかりと届けることができるわけです。

要件が解ればおじいちゃんだってちゃんと正しい返事を返してくれるでしょう⁉

重りを付けることで正しい運動プログラムを脳が選択し、手足へと送ることができるようになるんです。

そうして、歩きつき(歩容と言います)が改善される、という仕組みなんです。

ちなみに、この変化は重りを外してもしばらくの時間持続します。

促通(ファシリテーション)という現象なのですが、その話はまたいずれ。

 

このシナリオは当然中学生にも当てはまります。

重りをしょって、ゆっくりと意識して動かすことで関節を傷つけてしまうような異常運動はより明確に気づく(脳でキャッチさせる)ことができます。

明確にエラーに気づくことができたら修正プログラムを脳で作り出すことができます。

また同時に、同じ重量でありながら「軽く感じる挙げ方」と「重く感じる挙げ方」に気付くこともできます。

これは「あっ!なんか今の良かった⁉」なんてレベルでなく「むむっ!今の軽い!!」ってなります。

そしてそうした運動は「正しい運動」として私たちの記憶に刻まれるわけです。

ウエイトトレーニングを中学生から取り入れる意味は、いえ、意義は

 

「正常な関節運動を学び取ること」

 

ここにこそあるんです。

 

これが自体重での運動では起こらないというわけではないのですが、

現実問題として、いったんエラーを生じてしまうとなかなか正しい動きに気付くことが難しいようです。

これに対してウエイトを用いた運動では上述の理由からも臨床経験上の事実からも変化が導きやすい!

こうした仕組みをこと成長期特有理由で動きが崩れやすい中学生には使わない手はないんじゃないかい⁉

というのが私の意見です。

以上!

ふぃ~(;´∀`)

やっと終わった!

 

<あとがき> 

しっかしまぁ…思いのほか引っ張っちゃったなぁ(-_-;)

ま、それだけ子供たちを取り巻くトレーニング環境とその現状に納得ができていないんです、私。

やれることはまだいっぱいある。

沢ッ山ある。

現状、子供たちへの最善なんか全然尽くされてなんかない(大人に対してもそうですが…)。

このシリーズを読んだ方はお気付きのことと思いますが、私は「ウエイトトレーニングは高校から」という思考停止に不同意を突き付けます。

ウエイトトレーニングのもたらす効果は単に身体をぶ厚くするだけなんかではないんです。

「正しい動き」を学ばせる過程を加速させることで「しなくていい故障」から子供たちを守り、

競技を通して獲得し得る学びのその「ベース」を神経のネットワークに刻み込むことで

より高いゴールへとたどり着く切符をプレゼントすることができる。

私の見解では「成長期の子供には自重のトレーニングしか許されない!」とするからこそ成長期に必ず生じるマルアライメント症候群に陥ってしまうんです。

そこからの出口の鍵がウエイトトレーニングなんだというのが私の主張です。

ちなみに「背が伸びなくなる」ってのも根拠なしの迷信です。

理屈で考えればむしろ、骨の成長には前向きな条件となるはずです。

実際、うちの息子に関しては両親ともに小柄なのにリフティング始めてからグイグイ伸びてます。

なのに、どこの施設もほぼ中学生のウエイトトレーニングは禁止されています。

ヘタに怪我されたら困るからって大人の理由が香ってきますね。

今の中学生、教えたら教えた分だけちゃんとできますよ⁉

ちゃんとできなかったら大人であろうが施設利用はご遠慮いただくのが筋ですよね。

逆にキチンとマナーを理解できていたら中学生にも使わせてあげるってんじゃダメなのでしょうかね?

 

皆さんご存知ですか?

世界最高峰のバーベルトレーニングの器具を作っているのは日本にある「ウエサカ」という会社だってこと。

世界中がその品質を認める会社がある日本がいつまでもウエイトトレーニングの後進国であるなんて、

悪い冗談にしか聞こえないですよ。

もったいないですよ!

いったい何がそうさせているのでしょうか?

いつだって新しい試みへの一歩は勇気と共にあります。

見込める報酬(メリット)と、未知なる損害(デメリット)。

大きな報酬を獲得するために挑戦を選ぶのか、あるかどうかわからないデメリットに怯えて目を逸らすのか。

ビジネス書なんかを見ても、リスク管理では想定できる範囲一杯のデメリットを想定して対策を用意して…

なんて書いてますでしょう⁉

これはどんなご商売でも起業に際して同じく踏む手順のはずです。

でも、ことトレーニングに関してはそこに踏み込めない。

リスクの前に踏み込もうとしない。

これは既往症を抱えた中高年者の運動施設への受け入れでも同じ状況が聞かれますよね。

運動の効果は知れ渡っても、なかなか実践には移れない現状があるわけです。

そんな現状を打破するのに必要なものってなんでしょうか?

それは未開の地に踏み込む勇気なんじゃないでしょうか。

子供たちの未来のために、今、大人たちの勇気が問われているなって感じるのは私だけでしょうか?

結果なんていつだって不確かです。

でも、不確かな中でもより確かな成功をつかむために努力をするわけですから、

ここは臨む結果に向かって足掻いてみることから始めても良いのではないか?

と強く思うんです。

思うだけで終わらずに、まずは自分の脚で小さくても前への一歩を重ねようと思う今日この頃なのでした。

=終わり=

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