日本の心

激動する時代の日本人に多大な影響を及ぼした人物の思索をたどる。

大川周明 月間 『日本的言行』 はしがき

2016-10-14 15:59:05 | 大川周明

                                             大川周明 --ウィキペディア    
 


大川周明 月間『日本的言行』  はしがき

 茲に『日本的言行』と題して刊行する小冊は、過去数年にわたり、各地において試みたる国民幾回の講演の要約である。予は八篇のうちに含まれる思想を、いろいろなる会合において、いろいろなる題目の下に講演した。講演はすべて草稿なしに試みたが、講演を終わり、後にその内容を想起しつつ自ら筆を執り、これを再現し、多くはこれを吾等の機関たる月間『日本』の誌上に発表した。

 これを一巻とするに当たり、各篇に若干の雌黄を加へ、かつ出来得る限り思想の内面順序に従ってこれを配列し、吾等の抱く日本主義の少なくとも外廊だけは彷彿せしめようと努めた。

 国家主義、国民主義を奉ずる者に対して挑まるる議論は、常に下の如きものである。曰く「人は第一に人間であらねばならぬ、人間たるの根本が立って、初めて国民たることもできる。それ故に日本国または日本人ということに固執するのは、真個の人間となる所以でない」と。この主張は、一見、甚だ道理あるが如く見えて、実は抽象的断見に陥れるものである。

 試みに問う。いずれの処に桜に非らず。梅に非ず、牡丹に非ざる「花」があるか。花は一個の理念としては存在する。しかもこの理念は、必ずや桜・桃・梅・菊等の特殊の花として、咲き出ずることによって、初めて実際となるのでは。 

 それ故に梅花は梅花として咲き出ずることによって、初めて実在になるのである。それ故に梅花は、梅花として咲く以外に、決して花足ることが出来ないのである。梅花として咲くことによって、花の理念が初めて実現され、花の花たる所以が発揮される。これは正しく人間の場合に於いても同然である。

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