とやま新聞童話

富山新聞に掲載された山口弘信作成の童話です。

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白蛇の恩返し

2017-07-16 20:46:18 | 童話

 

平成27年4月9日 富山新聞掲載

 

    白蛇の恩返し

 

 

 日本が、太平洋戦争を始めるだいぶ以前に、高岡市伏木矢田の、お百姓さんの家にあった、本当のお話です。

 そのころ、日本の村人たちの間に、食事事情と栄養に対する知識不足から、脚気になる人が、大勢居りました。

 脚気は、ビタミンの不足から、かかる病気で、足がむくみ、だるくて、歩けなくなる病気です。

 ひどい時には、それがもとで死んでしまうこともありました。

 ある天気の晴れた日に、矢田のお爺さんが、山の畑に仕事に出かけました。

 すると、白蛇が大きな鳥に襲われて、大きな切り株の上に、鳥の鋭い爪で押さえつけられ、必死に体をくねらせて、逃れようとしていました。

しかし、逃れることができずに、今にも食べられてしまいそうでした。

 お爺さんは、白蛇がかわいそうになり、大声で「こらー、何しとる!」と叫び、持っていた柄の長い草刈鎌を振りかざし、大きな鳥を脅したところ、大きな鳥はビックリして、白蛇を、そこに置いたまま、どこかに飛び去ってゆきました。

 白蛇は、少しの間、そこに残って、お爺さんを見ていました。

 その眼には、涙がいっぱい溢れていました。

 しばらくして、白蛇は、何度もお爺さんを振り返りながら、藪の中に消えて、見えなくなりました。

 その晩、お爺さんの家に、旅の尼僧が訪ねてきて、一晩泊めてくれるように、と頼まれました。それまでも、その家では、しばしば、旅人とか、托鉢修行のお坊さんとかを、お泊めすることがあったのです。

 その尼僧さんを、お泊めしてあげたところ、その尼僧は、その家のお婆さんに、「脚気を治す灸を教えてあげましょう」と言って、親切、丁寧に教えて、いつの間にか、いなくなっていました。

 次の日の晩に、お爺さんの夢に、白蛇が現われて、「昨日泊めていただいたのは,助けていただいた私です。この方法で治療すれば、脚気は治りますから、脚気で苦しむ人々をなおしてあげてくださいね」と告げられました。

 それから、お婆さんは、脚気で困っている人に、その灸をやってあげると、皆さん、たちまち元気になり、その評判が、村を超えて周辺に広がり、沢山の人が灸の治療を求めてくるようになりました。

 歩けなくて、リヤカーで運ばれてきた人も、帰りには、しゃんしゃんと歩いて帰るほどによくなりました。

 こうして、長い間、脚気の患者さんを治し、喜ばれてきましたが、近年、治療に対する規制が厳しくなり、無許可治療が認められなくなり、その治療も終わりました。

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